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地域でともに生活するノーマライゼーション社会をめざして

岡山県障害者長期計画1999-2010

序章 計画の背景

計画策定の背景

 障害者施策の展開とそのあり方について、国では、平成7年(1995年)度に「障害者プラン(平成8(1996)~14(2002)年度)-ノーマライゼーション7ヵ年戦略-」が策定され、個々の施策に具体的な数値目標が設定され、現在、それに基づいて各種施策が実施されています。

また、我が国の今後の障害者施策の展望について、国の審議会で検討され、平成11年(1999年)1月に「今後の障害保健福祉施策の在り方について」の意見具申がありました。この中で、今後進められる社会福祉基礎構造改革の動向を踏まえながら、福祉サービスを利用する場合に、これまでの利用者の申請に基づき行政機関が決定する措置制度から、利用者が事業者と対等な関係に基づきサービスを選択できる利用制度への移行や、障害者の地域で自立した生活を支援するとの視点から、在宅・施設サービスを全般的に見直す等の方向性が示されています。

本県では、障害者施策の推進については、「岡山県総合福祉計画」(第5次計画平成8~12年度)に基づき取り組んできましたが、時代の変化に対応し、21世紀に向けて力強く歩む岡山県の道を切り拓くため、平成10年(1998年)4月に「岡山県長期ビジョン」(目標年次平成22(2010)年)を策定し、この中で障害者の自立、社会活動への参加促進が重点施策に位置づけられています。

このような障害者施策を取り巻く様々な情勢の変化を踏まえて、今後、本県が進めるべき障害者施策の方向性を示すとともに、きめ細かくかつ総合的に展開するための計画として、この「岡山県障害者長期計画」を策定しました。

障害者の現状

 本県の障害者は、高齢化の影響もあって年々増加し、現在、身体障害、知的障害、精神障害を有する人を合計すると約123,700人となっています。

[障害者の状況]
(単位:人)
年齢区分 障害種別
身体障害 知的障害 精神障害
身体障害者手帳所持者(H10.3.31現在) 療育手帳所持者(H10.3.31現在) 精神障害者保健福祉手帳所持者(H10.3.31現在) 厚生省「患者調査」(H8実施)
18歳未溝 1,392 1,815 約3,000
18歳以上65歳未満 24,561 6,613 約32,000
65歳以上 41,899 403 約12,000
小計 67,852 8,831 1,298 約47,000
手帳所持者計 77,981
合計 約123,700人

(注)

  1. 合計欄は、精神障害者で手帳を所持しない者を含む人数です。
  2. 精神障害者保健福祉手帳所持者については、精神障害者保健福祉手帳制度が平成7年10月から創設され、制度として新しいことから実態の障害者数を反映していません。
  3. 厚生省「患者調査」では、障害者手帳交付の対象とならないの軽度の人を含みます。
  4. 知的障害の療育手帳所持者の人数については、平成7年度精神薄弱児(者)基礎調査によれば、84.4%が「療育手帳を所持してしいる」となっています。

身体障害児(者)

 身体障害者は、高齢化、重度化の傾向が見られ、平成10年3月31日現在、手帳を所持している身体障害児(者)は、在宅者66,914人、施設入所者938人で合計67,852人であり、その内訳は、18歳未満の身体障害児1,392人(在宅者1,246人、施設入所者146人)、18歳以上の身体障害者が66,460人(在宅者65,668人、施設入所者792人)となっています。

 [身体障害児(者)の状況]
(1)障害別による状況 (平成10年3月31日現在)(単位:人)
年齢区分 障害区分
視覚障害 聴覚・平衡機能障害 音声・言語等 肢体不自由 内部障害 合計
18歳未満 68 219 14 783 308 1,392
18歳以上65歳未満 2,198 1,987 319 14,841 5,216 24,561
65歳以上 4,563 4,803 401 24,810 7,322 41,899
合計 6,829 7,009 734 40,434 12,846 67,852


(2)年齢別による推移 (各年度3月31日現在)(単位:人)
年齢区分 平成元年 平成5年 平成9年
人数 構成比 人数 構成比 人数 構成比
18歳未満 1,354 2.3% 1,435 2.2% 1,392 2.0%
18歳以上65歳未満 27,133 46.2% 26,322 40.5% 24,561 36.3%
65歳以上 30,229 51.5% 37,231 57.3% 41,899 61.7%
合計 58,716 100.0% 64,988 100.0% 67,852 100.0%


(3)障害等級別による推移 (各年度3月31日現在)(単位:人)
障害級等 平成元年 平成5年 平成9年
人数 構成比 人数 構成比 人数 構成比
1級 12,444 21.2% 15,403 23.7% 18,302 27.0%
2級 10,824 18.4% 12,101 18.6% 12,437 18.3%
3級 8,351 14.2% 9,160 14.1% 9,323 13.7%
4級 11,051 18.8% 12,803 19.7% 13,778 20.3%
5級 8,253 14.1% 8,017 12.4% 7,168 10.6%
6級 7,793 13.3% 7,504 11.5% 6,844 10.1%
合計 58,716 100.0% 64,988 100.0% 67,852 100.0%

2 知的障害児(者)

療育手帳を所持している知的障害児(者)は、年々増加する傾向にあり、平成10年3月31日現在、在宅者6,475人、施設入所者2,356人で合計8,831人であり、その内訳は、18歳未満の知的障害児1,815人(在宅者1,215人、施設入所者600人)、18歳以上の知的障害者が7,016人(在宅者5,260人、施設入所者1,756人)となっています。

[知的障害児(者)の現状]
(1)障害等級別による状況  (平成10年3月31日現在)(単位:人)
年齢区分 障害等級
療育手帳A 療育手帳B 合計
18歳未満 774 1,041 1,815
18歳以上65歳未満 2,735 3,878 6,613
65歳以上 211 192 403
合計 3,720 5,111 8,831


(2)障害等級別による推移 (各年度3月31日現在)(単位:人)
障害等級 平成元年 平成5年 平成9年
人数 構成比 人数 構成比 人数 構成比
療育手帳A 2,914 44.8% 3,433 44.5% 3,720 42.1%
療育手帳B 3,597 55.2% 4,274 55.5% 5,111 57.9%
合計 6,511 100.0% 7,707 100.0% 8,831 100.0%

3 精神障害者

精神障害者は、増加する傾向にあり、平成8年度患者調査等によれば、入院患者約5,300人、社会復帰施設等入所者約200人、在宅患者約41,500人、合計約47,000人となっています。

[精神障害者の状況]
平成8年 厚生省「患者調査」の概要 (単位:人)
区分 人数
血管性及び詳細不明の痴呆 3,000
精神作用物質使用による精神及び行動の障害 1,000
精神分裂病、分裂病型障害及び妄想性障害 21,000
気分「感情」障害(そううつ病を含む) 8,000
神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害 9,000
その他の精神及び行動の障害 1,000
アルツハイマー病 1,000
てんかん 3,000
精神疾患計 47,000

第1章 計画の基本目標と基本理念

基本目標

障害は、いつでも生じる可能性があるものであり、誰にとっても身近なことです。障害のある人もない人も等しく人権が尊重され、ともに支え合い積極的な社会参加や地域での生活の促進を通じて、自己実現を図り、日々快適にいきいきと暮らすことができる地域社会の形成により、「快適生活県おかやま」を実現することを基本目標とします。

基本理念

障害のある人もない人も、社会の一員としてお互いに尊重し、支え合いながら、地域の中で共に生活する社会が自然なことであるとするノーマライゼーションの考え方を基本理念とします。

計画期間

この計画の期間は、「岡山県長期ビジョン」の計画期間と整合を図ることとし、平成11(1999)年度から平成22(2010)年度までとします。
ただし、国の「障害者プラン」の終期に合わせて、平成14(2002)年度に数値目標等の必要な見直しを行います。

計画の性格(位置付け)

この計画は、障害者基本法第7条の2第2項で規定されている障害者のための施策に関する基本的な計画であり、「岡山県長期ビジョン」、「第5次岡山県総合福祉計画」を踏まえながら、長期的視点に立ち、障害者施策の基本的考え方を示すとともに、その方向に沿った施策目標を実現するためのもので、県民すべての参加と協力により推進するものです。

第2章 計画の視点と障害保健福祉圏域の設定

1 基本的な視点

1 ノーマライゼーション理念の追求

障害のある人もない人もすべての人が、ともに支え合い、豊かな人間性のつながりの中でともに生活し、互いに誇りをもち、充実した人生を歩むことができる社会が、本当に豊かな社会となります。
このような社会の実現に向け

  • ノーマライゼーション理念についての普及・啓発活動
  • 障害者への自立生活支援
  • 社会・教育・文化活動への参加
  • 障害者に対する権利擁護

などの施策を強力に進め、障害者の自己実現をめざします。
また、県民の福祉に対する関心と理解を深め、地域に根ざした個性ある福祉の文化の創造をめざします。

2 地域での生活を支えるサービスの充実

障害のある人もない人もすべての人が、住み慣れた地域社会の中で社会活動に参加することへの要望は、ますます強くなっています。障害のある人が、身近な地域社会の中で必要なサービスを受け、スポーツ・文化。芸実等の活動を楽しみ、生活の質をさらに高めながら、自己を実現し生きがいのある生活をしていく、ことが一層必要なことから

  • 地域で生活する障害者のための総合的な相談体制の確立
  • 保健・福祉サービスの充実
  • 在宅で介護する家族への支援の充実
  • 生活の場の確保
  • 障害者に配慮したまちづくりなどの地域環境の整備
  • 雇用施策と連携した就労支援策の充実

など障害者の地域での生活を支援します。
また、心の通いあう地域生活の支援のため、障害者同士の支え合いやボランティア活動など幅広い支援活動の推進を図ります。

3 ライフステージを通じたサービスの展開

障害のある人が幼年期から少年期、青年期、高齢期にいたるまでのすべてのライフステージにおいて、社会の一員として多様なライフスタイルの中から自分の生活を自らの意思で選択・決定し、積極的に社会参加し自己実現のできる社会をめざします。
このため、医学的・教育的・職業的な分野を通じて障害者の能力を最大限に発揮し、社会参加を進めていくリハビリテーション理念のもとに、生涯を通じて多面的に支援する各種施策の充実を図り

  • 幼年期から少年期・青年期の成長過程では、社会生活に適応できるように、障害の状況に応じた療育や教育の機会提供に一層努めるとともに、障害のある子どもとその保護者に対する相談と支援の一層の充実
  • 青年期、高齢期では、就業や生活安定の施策の充実等のほか、介護保険サービスや老人保健福祉サービスとの連携の下に、障害者やその家族に最も身近な市町村で、きめ細かいサービスの提供や相談等が効果的に実施できる体制の整備

などを進めます。

4 障害保健福祉施策の総合化

これからの障害保健福祉サービスは、身体障害、知的障害、精神障害のいわゆる三障害に係る施策間の整合性や共通性に着目するとともに、障害の種別・程度に十分配慮しながら、それぞれの障害特性を踏まえたサービスが利用者のより身近なところで総合的かつ継続的に提供されることが必要なことから

  • 利用者のニーズを総合的に把握し、必要な保健・医療・福祉の総合的なサービスを教育・就労・住宅・交通など生活関連分野とも連携を図りながら、効果的に提供できる体制づくり
  • ホームヘルプサービス、ショートステイ、デイサービス等の障害者と高齢者がともに利用できる事業については、施策の相互利用の促進
  • 身近な市町村が主体となり、関係団体、民間企業等の参入など多様な事業主体の参画のもとで、保健・医療・福祉の専門性が確保されたサービスの提供
  • 身近なところでの高度・専門的なサービス提供が困難なものについては、更生相談所、精神保健福祉センターなど専門的機関による広域的な支援体制の強化を図り、市町村等への高度専門的な技術支援、広域的、先駆的なサービスの提供

など施策の推進を図ります。

5 住みよい福祉のまちづくりの推進

障害のある人が、自立し、社会活動への参画や主体性をもった生活ができ、ゆとりとやすらぎを感じながら暮らしていけるような社会環境の整備が必要なことから

  • 日常生活の場としてのまちや生活の基盤となる住宅等の物的なバリアフリー(障壁をなくすこと)の推進
  • 差別や偏見の解消、思いやりのある心を育む教育の充実、地域での支え合いの推進、ボランティア活動の促進等、心のバリアフリーの推進

などすべての人に社会参加の機会均等が保障されるバリアフリー社会の実現を推進します。
このようなバリアフリー社会を表現するために

  • 福祉のまちづくりの条例制定
  • 建築物、道路、公園、公共交通機関等の整備に当たり、設計の当初からすべての人が安全で利用しやすいものとするユニバーサルデザインの考え方の導入促進
  • 啓発活動、福祉教育、人材育成、ボランティア環境の整備

など様々な関連施策の展開を図り、ハード・ソフトの両面から福祉のまちづくりを総合的かつ計画的に推進します。

また、障害のある人が、主体的に地域で生活を送るため、住宅や生活施設等を質・量ともに、より一層充実した生活の場の選択肢を広げる必要があります。
このため、県、市町村、関係団体等との連携を図りながら、多様なニーズに対応した住宅や生活施設の普及、指導に努めるとともに、障害のある人の災害等における情報提供、支援体制の整備を図り、日常生活の安全確保を進めます。

6 県民すべての参加による計画の推進

障害のある人が地域での生活と自立を実現するためには、県民すべての参加により身近な生活圏域で計画的に必要な支援やサービスを提供することが必要です。
このため、県、市町村、障害者関係団体・機関、保健福祉関係者、民間事業者、医療機関、教育・研究機関、企業、マスメディア、ボランティア等々、障害者を含む県民すべての参加と協力によりその役割と連携の下に計画の推進を図ります。また、この計画の着実な推進を図るため

  • 定期的に保健福祉サービスの実施状況の把握や点検・評価
  • 障害者、関係団体等の意見・要望を十分聴取しながら必要な見直しなど計画の進行管理を行います。

2 圏域の設定

障害保健福祉サービスの実施に際しては、障害者が生活する「市町村」を基本的な単位として、きめ細かいサービスを提供することが最も必要です。
また、市町村単位で実施が困難な事業については、事業の内容やニーズに応じた広域的な地域単位を設定し、地域間で格差がないようにサービス提供体制づくりを進める必要があります。

1 市町村圏域

 この圏域は、身近な地域で障害者の日常的な相談や、関係機関と適切な連絡調整を図りつつ、障害者の需要に応じた在宅・入所サービスを提供する圏域です。

2 障害保健福祉圏域"

 この圏域は、市町村圏域だけでは対応困難な各種サービスを地域的な視点から整備することにより、広域的なサービス提供網を築くために複数市町村を含む圏域として設定するものです。
この「障害保健福祉圏域」の設定に当たっては

  • 本県の地理的特性や歴史的背景
  • 地方振興局区域
  • 保健福祉施設等の入所・通所に際しての障害者の地域間移動
  • 「岡山県高齢者保健福祉計画」、「岡山県地域保健医療計画」等で定められている計画圏域

等を踏まえた上で、県域を3分割し、備前圏域、備中圏域、美作圏域の3圏域に設定します。

●サブ圏域
3圏域とする障害福祉保健圏域の地理的な関係と「岡山県地域保健医療計画」の二次保健医療圏が5圏域に分かれていることを考慮して

  • 備中圏域を「倉敷・井笠地域」と「高梁・阿新地域」
  • 美作圏域を「真庭地域」と「津山・勝英地域」

に細分し、サブ圏域として位置付け、施設整備に係る適正配慮や医療施策との連携に配慮し、適切な機能分担によるサービス提供体制の構築を図ります。

3 全県域

 この圏域は、市町村間や障害者保健福祉圏域間の調整、より広域性、専門性の高い分野の業務を行う圏域です。

障害者保健福祉圏域ごとの状況

圏域 圏域の状況
障害児(者) 障害児(者)数 入所施設定員 グループホーム・
福祉ホーム等定員
通所施設定員 小規模作業所
備前圏域 3市16町
(岡山・東備局管内)
身体障害者 28,652人 310人
(約11人)
58人
(約2人)
30ヵ所
人口:893,859人
(対県比45.7%)
知的障害者 2,929人 784人
(約268人)
81人
(約28人)
230人
(約79人)
障害児(者)数:55,530人 障害児 1,449人 619人
(約427人)
215人
(約148人)
面積:1,771.82km2
(対県比24.9%)
精神障害者 約22,500人 45人
(約7人)
病床数
3,403床
60人
(約10人)
29人
(約5人)
15ヵ所
備中圏域 6市20町2村
(倉敷・井笠・高染阿新局管内)
身体障害者 25,389人 290人
(約11人)
20人
(約1人)
13ヵ所
人口:802,537人
(対県比41.0%)
知的障害者 2,869人 805人
(約281人)
91人
(約32人)
239人
(約83人)
障害児(者)数:48,619人 障害児 1,361人 120人
(約88人)
196人
(約144人)
面積:2,660.26km2
(対県比37.5%)
精神障害者 約19,000人 50人
(約11人)
病床数
1,704床
16人
(約3人)-
13ヵ所
美作圏域 1市20町10村
(真庭・津山・勝英局管内)
身体障害者 12,419人 130人
(約10人)
35人
(約3人)
2ヵ所
人口:259,601人
(対県比13.3%)
知的障害者 1,218人 350人
(約287人)
27人
(約22人)-
90人
(約74人)
障害児(者)数:19,534人 障害児 397人 48人
(約121人)
40人
(約101人)
面積:2,671.90km2
(対県比37.6%)
精神障害者 約5,500人 30人
(約14人)
病床数
853床
38人
(約18人)-
3ヵ所

(注)

  • 人口は、「岡山県毎月流動人口調査」によるH9.10.1現在の人数です。
  • 身体・知的障害者及び障害児数は、H10.3.31現在の手帳所持者数です。
  • 精神障害者数は、平成8年厚生省「患者調査」による人数です。
  • ( )の人数は、障害者手帳所持者千人当たり施設定員数です。
  • 面積は、児島湖を除くH9.10.1現在の面積です。

障害保健福祉圏域

障害保健福祉圏域の図

主題・副題:地域でともに生活するノーマライゼーション社会をめざして-岡山県障害者長期計画-
発行者:岡山県
頁数:1頁~16頁
文献に関する問い合わせ:
〒700-8570 岡山県岡山市内山下2-4-6
障害福祉課
電話:086-224-2111
FAX:
岡山県ホームページ:http://www.pref.okayama.jp/
障害福祉課(岡山県)ホームページ:http://www.pref.okayama.jp/hoken.shofuku/shofuku.htm