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総合福祉部会 第12回 H23.2.15 資料8

第1期作業チーム報告書に対する厚生労働省からのコメント

厚生労働省社会・援護局
障害保健福祉部
平成23年2月15日

  1. 「法の理念・目的」部会作業チーム報告書
    1. 法の理念・目的等について
    2. 国・地方自治体の義務について
  2. 「障害の範囲と選択と決定~障害の範囲」部会作業チーム報告書
  3. 「障害の範囲と選択と決定~選択と決定・相談支援プロセス(程度区分)」部会作業チーム報告書
    1. 相談支援について
    2. 支給決定について
  4. 「施策体系~訪問系」部会作業チーム報告書
    1. パーソナルアシスタンス等について
    2. 移動支援事業について
  5. 「施策体系~日中活動とGH・CH、住まい方支援」部会作業チーム報告書
  6. 「施策体系~地域生活支援事業の見直しと自治体の役割」部会作業チーム報告書
  7. 「医療」合同作業チーム報告書

1 「法の理念・目的」部会作業チーム報告書

① 法の理念・目的等について

【総論】

第5回部会で示された論点に沿って第5回~第7回部会で厚生労働省が示した主な留意点 〔・法の理念・目的・範囲(新しい法制の理念規定や目的規定のあり方について)〕
○ 障害者自立支援法では、障害者の自立及び社会参加支援等のための施策に関する基本的理念を定める障害者基本法にのっとることを謳っており、基本的理念の定めを障害者基本法に委ねている。(障害者自立支援法には基本的理念に関する規定を置いていない。)
部会作業チームの報告のポイント

【法の名称】
障害者の社会生活の支援を権利として総合的に保障する法律

【前文の必要性】
前文でこの法の精神を高らかに謳うことが改革を成功させるためにも不可欠

【新法の守備範囲】
従来の障害者福祉の分野を基本としながらも、教育・司法・労働等にも横断的に適用できるような法制度

【見直しの理念のポイントを明記する規定】

  • 法の目的
  • 保護の対象から権利の主体への転換を確認する理念規定
  • 社会モデルへの転換に関する理念規定
  • 他の者との平等の権利の保障
  • 個別事情に最も相応しい(合理的配慮を尽くした)支援の保障
  • 障害者の公的支援を請求する権利
  • 地域で自立した生活を営む基本的権利
  • 支援選択権の保障
  • 情報・コミュニケーション支援請求権の保障
  • 移動の自由の保障の重要性
  • 就労支援の実現の必要性の確認
  • 介護保険との選択権保障
  • 相談支援を受ける権利の保障
厚生労働省の主なコメント

○ 障害者総合福祉法(仮称)の検討に当たっては、障害者基本法の見直しの動向や、児童福祉や高齢者福祉といった他の福祉法制との整合性等も踏まえて、その目的規定や理念規定のあり方等を検討する必要があると考えられます。

○ 給付法である障害者自立支援法に代わる障害者総合福祉法において、具体的な権利を規定することについては、日本国憲法との関係や既存の法体系との整合性等を考慮した検討が必要と考えられます。児童福祉や高齢者福祉といった他の給付法では、給付種類、給付の対象範囲、給付手続等を主に定めていることも踏まえ、障害者のみ「権利法」とすることの是非についても議論が必要と考えられます。

○ また、国が社会保障としていかなる施策を行うかについては、そのための財源を確保する必要がある中で、他の福祉施策及びその他国全体の諸施策との間で均衡を図りながら、実現可能性や国民的な合意の必要性等を踏まえた検討を経て、そのあり方を決定するという政策的な判断が必要であると考えられます

② 国・地方自治体の義務について

【総論】

第5回部会で示された論点に沿って第5回~第7回部会で厚生労働省が示した主な留意点 〔・障害者の福祉支援(サービス)提供にかかる国並びに地方公共団体の役割について〕

【地方自治体の事務等のあり方】
○ 地方自治体の事務のあり方等については、閣議決定された「地域主権戦略大綱」等も踏まえ検討する必要がある。

【財源について】
○ 障害福祉サービスに係る給付費は、(中略)障害者自立支援法においては、必要なサービスを確保しながら、制度を安定的に運営することができるよう、訪問系も含めてサービスに関する国及び都道府県の負担を義務的なものとした。
○ このように国の費用負担を義務化することで財源の裏付けを強化する一方、障害福祉に係る国と地方自治体の間の一定の役割分担を前提に限りある国費を公平に配分するため、市町村に対する精算基準として国庫負担基準を定めている。

部会作業チームの報告のポイント

【国の義務】

  1. 国の法制度整備・充実義務
  2. 国のナショナルミニマム保障義務、地域間格差是正義務
  3. 国の財政支出義務
  4. 国の制度の谷間解消義務
  5. 国の長時間介護等保障義務

【都道府県の義務】

  1. 市町村が行う障害者支援が十分に保障されるよう、市町村に対する必要な助言、情報の提供、財政支援その他の援助を行うこと。
  2. 市町村と連携を図りつつ、必要な障害児者支援を総合的に行うこと。
  3. 障害者に関する相談及び助言のうち、専門的な知識及び技術を必要とするものを重点的に実施すること。
  4. 市町村と協力して障害児者の権利の擁護のために必要な援助を行うとともに、市町村が行う障害者等の権利の擁護のために必要な援助が適正かつ円滑に行われるよう、市町村に対する必要な助言、情報の提供その他の援助を行うこと。
  5. コミュニケーション支援について支援が不十分な自治体に居住する障害者の社会生活上の不利益が生じることのないよう、都道府県が直接支援事業を実施することを含めて責任を負うこと。

【市町村の義務】

  1. 障害者が自ら選択した場所に居住し、全国どこにおいても等しく自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう、当該市町村の区域における障害者の生活の実態を把握した上で、必要な支援を実施、保障する。
  2. 障害者の支援に関し、必要な情報の提供を行い、並びに相談に応じ、必要な調査及び助言を行い、並びにこれらに付随する業務を行うこと。
厚生労働省の主なコメント

○ 国及び地方自治体の費用負担や事務のあり方については、閣議決定されている「地域主権戦略大綱」において「住民に身近な行政はできる限り地方公共団体にゆだねることを基本とし、基礎自治体が広く事務事業を担い、基礎自治体が担えない事務事業は広域自治体が担い、国は、広域自治体が担えない事務事業を担うことにより、本来果たすべき役割を重点的に担っていく」こと等の一定の方向性が示されています。特に、近年の福祉法制については、その実施主体を住民に身近な市町村としており、この流れを踏まえた 検討が必要と考えられます。

○ 国の財政支出については、財源に制約がある中で、他の福祉施策及びその他国全体の諸施策との間で均衡を図りながら、実現可能性や国民的な合意の必要性等を踏まえた検討を経て、国と地方自治体の役割分担を踏まえて、その配分を決定するという政策的な判断が要ることにも留意が必要と考えられます。

【各論】

報告の該当箇所 厚生労働省の主なコメント
【市町村の説明責任と申請妨害に対する制裁】
○ 市町村が前項の義務に違反し、障害者の申請権行使を妨げた場合、本法施行令の定めに従い、市町村長個人及び妨害行為者個人は検察庁の処分に基づき過料の制裁に服する。
○ 他の福祉制度に同様の規定はないことや国家賠償法等既存の法制度との関係性から適当か十分議論することが必要と考えられます。
【事業所整備義務が国・地方公共団体にあること】
○ 障害者福祉は本来、国・地方公共団体の責任で履行されるものであり、事業所のない地域が生じないよう、事業者への財政援助、育成を含めた、基盤整備義務が国、地方公共団体にあることをここに確認する。

○ 提供体制の確保については、事業者の数や地方自治体の財政状況等地域の状況に応じて、計画的に整備を行っていくことが必要と考えられます。

【参考】第6回部会で厚労省が示した留意点
○ 障害者福祉計画については、(中略)都道府県及び市町村に障害福祉計画の作成を義務付け、当該計画に沿って、提供体制の確保が計画的に図られるよう障害者自立支援法に規定することとしたもの。

【国民への広報、啓蒙】
○ (略)教育・広報等により、幅広い世論の共感が得られるよう、努力する義務がある。
○ 国民の理解を深めるための施策を講じる義務は、既に障害者基本法に定められているところであり、同法との関係を整理する必要があると考えられます。
【障害福祉分野の労働者の人権保障の必要性の確認】
○ (略)障害者支援の事業所に経営努力義務があることが前提であるが、この法律は、障害福祉分野の人件費が適正水準を下回ることが障害者の尊厳ある生活を受ける権利を侵害することを認め、そのような事態を生まないための努力義務が国・地方公共団体にあることを確認する。
○ 障害福祉分野に従事する労働者の適正な労働条件については、障害者に対する福祉サービスの給付法である障害者総合福祉法(仮称)に規定することが適当か検討することが必要と考えられます。

2 「障害の範囲と選択と決定~障害の範囲」部会作業チーム報告書について

【総論】

第5回部会で示された論点に沿って第5回~第7回部会で厚生労働省が示した主な留意点 〔・ 障害の範囲(法の対象規定及び手続き規定のあり方について)〕
○ 法律に基づく給付対象については、範囲が不明確である場合、実際の給付の場面で、対象が特定されない恐れがある等の課題がある。大きな地域格差が生じないようにするためにも何らかの基準等によりその範囲が明確であることが必要。
部会作業チームの報告のポイント ○ 障害者の定義を「身体的または精神的な機能障害(慢性疾患に伴う機能障害を含む)を有する者と、これらの者に対する環境に起因する障壁との間の相互作用により、日常生活又は社会生活に制限を受ける者をいう。」とする。
厚生労働省の主なコメント ○ 障害者の定義については、どのような機能障害(種類、程度、継続期間など)であれば法律に基づく給付の対象となるのか、どのような日常生活又は社会生活の制限を受けている場合に対象となるのか、国民にとって分かりやすく、市町村で全国一律に透明で公平な手続きにより判断できるようにしていく必要があると考えられます。

【各論】

報告の該当箇所 厚生労働省の主なコメント

障害者の定義について

  • 障害者の定義を「身体的または精神的な機能障害(慢性疾患に伴う機能障害を含む)を有する者と、これらの者に対する環境に起因する障壁との間の相互作用により、日常生活又は社会生活に制限を受ける者をいう。」とする。

○ 障害者の定義については、法律に基づく給付の対象となる人が地域や認定機関によって大きく異なることにならないよう、対象となる人を全国一律に透明で公平な手続きにより判断できる基準や仕組みが必要であると考えられます。

○ 例えば、医学的な疾患概念が確立していないもの等(例えば、引きこもり等)を対象とするのか、するのであればどのような状況の方であれば対象にするのかといったことを明確にしていく必要があると考えられます。

手続き規定について

A 支援の必要性を示す指標

A1 「機能障害」を示す客観的指標(支援の必要性を示す客観的側面。障害者手帳、医師の診断書・意見書、その他の専門職の意見など)

A2 本人の支援申請行為(支援の必要性を示す主観的側面)

A3 環境による障壁との相互作用により、日常生活または社会生活に制限を受けている事実の認定

B 支援の相当性の確保
 支援の必要性に応じた相当な支援計画の策定のための方法

○ 様々な専門職(国家資格でないものや業務独占でないものを含む)による意見や障害当事者団体が有する認定基準によって機能障害を認定する案が提示されていますが、妥当性や信頼性等が確保できるか検討が必要であると考えられます。

○ 手続きについては、広く国民の理解を得られるようなものとするという観点から、全国で格差なく統一的に行える、透明で公平な認定の手続きとなるよう検討していくことが必要と考えられます。

手帳制度について
  • 本作業チームでは十分に議論することができなかったが、現行の手帳制度については、よりよいものとするために、その問題点や具体的改善策などを議論する場を別途設けた上で、議論を尽くす必要があるとの意見が出されている。
○ 手帳制度のあり方については、現在、様々な場面で利用されていることも踏まえ、更に整理・検討していくことが必要と考えられます。

3 「障害の範囲と選択と決定~選択と決定・相談支援プロセス(程度区分)」部会作業チーム報告書

① 相談支援について

【総論】

第5回部会で示された論点に沿って第5回~第7回部会で厚生労働省が示した主な留意点 〔・自己決定支援・相談支援(必要とされる自己決定支援・相談支援のあり方について)〕
○ 平成20年12月に取りまとめられた社会保障審議会障害者部会の報告においては、地域における相談支援体制の充実強化を図ることや、ケアマネジメントのあり方として、サービス利用計画の作成について、支給決定後ではなく支給決定前に作成することとし、対象者を原則としてサービスを利用するすべての障害者に拡大するべきであるとされている。
 また、自己決定支援やセルフマネジメントなどの視点が必要であるとされている。
部会作業チームの報告のポイント

○ 地域相談支援センター、総合相談支援センター及び広域専門相談支援センターからなる「多層的相談支援体制」を提案。
 地域相談支援センター、総合相談支援センターは当事者の立場に立って支援することから、市町村行政やサービス事業所からの独立性が担保される必要がある。また、都道府県が指定するとともに、財源は、国庫補助事業として、出来高払いではなく人件費相当の 義務的経費による。

○ 当事者の交流や相互支援をおこなうエンパワメント支援事業を提案。

○ 本人中心支援計画(本人のニーズに基づく総合的な生活プラン)、サービス利用計画(法が求めるサービス利用計画)を分けて定義。

厚生労働省の主なコメント ○ 一般的な相談支援に係る財源は、既に地方自治体が自らの財源(地方税+地方交付税交付金)で実施すること(一般財源化)となっています。この財源の扱いについては、「地域主権戦略大綱」(平成22年6月22日 閣議決定)等で示された地域主権の流れ(補助金の一般財源化)を踏まえた検討が必要と考えられます。
※ 地域主権戦略大綱(抄)
 地域のことは地域が決める「地域主権」を確立するため、国から地方への「ひも付き補助金」を廃止し、基本的に地方が自由に使える一括交付金にする。

【各論】

報告の該当箇所 厚生労働省の主なコメント

2.相談支援の機能と体制について

(1)多層的相談支援体制の整備充実と各相談機関の役割と機能

(2)地域相談支援センターの規模と役割

(3)総合相談支援センターの規模と役割

○ 地域相談支援センター及び総合相談支援センターについて、今後、国庫補助事業とすることを検討するとのことですが、一般的な相談支援に係る財源は、既に地方自治体が自らの財源(地方税+地方交付税交付金)で実施すること(一般財源化)となっています。この財源の扱いについては、「地域主権戦略大綱」(平成22年6月22日 閣議決定)等で示された地域主権の流れ(補助金の一般財源化)を踏まえた検討が必要と考えられます。

○ 相談支援事業の「財源は出来高払いではなく、人件費相当の義務的経費による」としていますが、サービス利用計画作成部分にかかる費用については、計画作成数に応じて増えるものであるため、実際に要した費用に対して公費を支出すべきとの考え方から、実際の業務量に応じて支払う出来高払いの仕組みを残すべきとの考え方もあり得ると考えられます。

○ 今般の障害者自立支援法改正法において、サービス等利用計画案の作成に係る事業者の指定権限は一番身近な自治体である市町村となっており、指定権限をどうするのか更に検討が必要ではないかと考えられます。
 また、報告書において、指定と委託の用語が混乱しているので、更に整理が必要と考えられます。
※ 障害者自立支援法における整理
指定…一定の基準を満たす(裁量無し)者に特定の事務を行う権限を認める行為
委託…自らの判断で選んだ(裁量有り)者に本来自らが行う事務を行わせる行為

(5)地域におけるエンパワメント支援(C-1-2)について

○ エンパワメント支援については、障害当事者やその家族だけでなく相談支援事業所など他の者も行うことができるため、「エンパワメント」と「ピアサポート」の考え方の整理や、他の相談支援との役割分担等についての整理が必要であると考えられます。

○ 「新成長戦略実現2011」(平成23年1月25日 閣議決定)等で示された規制改革の流れの中、事業の実施主体や実施の条件等を制限する新たな参入規制を設ける場合には非常に厳しい説明責任が課せられます。
 ピアサポートを行う実施主体について、「当事者やその家族が過半数を占める協議体によって運営される団体」に限定するという参入規制については、このような規制の是非や、より規制の度合いが低い代替措置の有無、現に多様な主体がピアサポートを実施している実態なども踏まえた検討が必要と考えられます。

※ 「新成長戦略実現2011」(抄)
規制・制度改革については、新成長戦略を推進するための政策ツールとして更に強力に推進する。

3.相談支援に基づく本人中心支援計画、サービス利用計画の策定について ○ 本人中心支援計画とサービス利用計画との関係が分かりづらいと考えます。もしこれらを分けて考えるとするならば、それぞれの計画の具体的内容や作成の仕方、作成後の対応などについて、更に検討が必要と考えられます。

②支給決定について

【総論】

第5回部会で示された論点に沿って第5回~第7回部会で厚生労働省が示した主な留意点 〔・「選択と決定」(支給決定)プロセスとツール(協議・調整による支給決定プロセスや、支給決定に当たって必要なツールについて)
○ 制度に係る費用を負担する国民(納税者)の理解を得るためにも、実際に制度を利用する者の間における公平性と、支給決定プロセスの透明性が確保されていることが重要であり、支給決定のプロセスを検討するに当たっては、このような公平性・透明性をどのような形で担保するのか、検討が必要である。
 支給決定プロセスの検討に際しては、地方公共団体における障害行政の実情を踏まえて検討される必要がある。(全国の市町村において円滑に運用できることが必要である。)
部会作業チームの報告のポイント ○ 支給決定にあたっては、本人(または本人及び相談支援事業所)と行政の協議調整を前提とする。
(1)本人(または本人と相談支援事業所)がサービス利用計画を策定し、市町村に申請する。
(2)市町村は、ガイドラインに基づいてニーズアセスメントを行う。(ガイドラインのあり方については第二期で詳細に検討)
(3)さらに個別ニーズに応じて、協議調整により支給決定を行う。(なお、支給決定に関してのニーズアセスメントのあり方や合議機関のあり方については、第二期で検討)
厚生労働省の主なコメント ○ 支給決定プロセスの公平性・透明性をどのような形で担保するのか、基準(ガイドライン)の具体的な内容及び位置づけなどについて、引き続き検討が必要と考えられます。
 また、その際には、全国の自治体で円滑に運用できるよう、自治体の実情や意見を踏まえた検討が必要と考えられます。

【各論】

報告の該当箇所 厚生労働省の主なコメント
4.支給決定の仕組みについて

○ 支給決定プロセスの公平性・透明性をどのような形で担保するのか、基準(ガイドライン)の具体的な内容及び位置づけなどについて、引き続き検討が必要と考えられます。

○ 協議・調整とは、具体的にどのような仕組みなのか、更に検討が必要と考えられます。 その際、知的障害や精神障害などの特性に応じた検討が必要と考えられます。

○ 支給決定プロセスの検討に際しては、地方公共団体における障害行政の実情を踏まえる必要があります。
 例えば、行政が全ての人に対して一人ひとり直接会って話し合いながらその場で具体的な調整を行わなければならないとすると、非常に時間がかかることとなります。
 ※ 例えば、横浜市のサービス利用者数は11,730人(平成22年10月時点)であり、大きな自治体でも運用可能な制度とする必要があります。
 ご提案の支給決定プロセスにおいて、自治体担当職員は自ら障害者のアセスメントや協議・調整を行う必要性があり、自治体で対応が可能かや、職員の配置、資質の向上の方策について、自治体の意見も踏まえた検討が必要と考えられます。

○ 市町村が設置する第三者機関として、合議機関と不服申し立て機関の二つを設置するとのことですが、これらの関係について、引き続き検討が必要と考えられます。

4 「施策体系~訪問系」部会作業チーム報告書

① パーソナルアシスタンス等について

【総論】

第5回部会で示された論点に沿って第5回~第7回部会で厚生労働省が示した主な留意点等

〔・社会参加サービス(総合福祉法のサービスでカバーする範囲について)〕
○ 障害者の社会参加の点から就労・就学に際しての介護、通勤・通学の介護が大きな課題との指摘があるが、総合福祉法のサービスでどこまでカバーすると考えるか、その際、労働行政や教育行政との役割分担や財源をどう考えるか。

〔・義務的経費化と国庫負担基準(サービスを含めた義務的経費化と国庫負担基準について)〕
○ 国庫負担基準は、訪問系サービスについて、国の費用負担を義務化する一方で、障害福祉に係る国と地方自治体の間の一定の役割分担を前提に、限りある国費を公平に配分するため、市町村に対する精算基準として定めているものであり、介護の必要度が高い者が多い市町村にはその人数に応じて国庫負担を行える仕組みとなっている。  したがって、仮に国庫負担基準を廃止した場合にあっては、国の厳しい財政事情を考慮し、国費を公平に配分する機能をどのような形で担保するのか、検討が 必要である。

部会作業チームの報告のポイント

1.重度訪問介護の発展的継承による「パーソナルアシスタンス制度」の確立
○ 「パーソナルアシスタンス制度」の確立に向けて、現行の重度訪問介護を改革し、充実発展させる。
○ 対象者は「重度の肢体不自由者」に限定されるべきではない。
○ パーソナルアシスタンスとは、①利用者の主導(含む・支援を受けての主導)、②個別の関係性、③包括性と継続性を前提とする生活支援である。
○ 重度訪問介護の利用に関する利用範囲の制限をなくし、支給量の範囲内で通勤・通学・入院時・1日の範囲を越える外出・運転介助にも利用できるようにすべきである。

4.見守りや安心確保も含めた人的サポートの必要性
○ 現行の重度訪問介護を知的障害者や精神障害者等にも拡大する際には、家事援助・身体介護・移動支援的対応だけでなく、金銭やサービス利用の支援、さらには、見守りも含めた利用者の精神的安定のための配慮や適切な対応等が提供される便宜の内容として位置づけられるべきである。

6.シームレスな支援と他分野との役割分担・財源調整
○ 例えば、重度訪問介護等において支給量の範囲で「通勤・勤務中、通学・授業中、通院・入院中、1日を超える外出、通年かつ長期にわたる外出、自動車運転中」をサービス利用の対象に位置づけるべきである。
○ シームレスな支援を確保するために、障害者雇用納付金や介護保険、教育など関連分野の財源を調整する仕組みの検討が必要である。

Ⅲ おわりに
○ 24時間の支援を含む長時間利用者の市町村負担の低減のための財政調整、国・都道府県の財政責任強化と国庫負担基準廃止も含めた見直し

厚生労働省の主なコメント

○ パーソナルアシスタンスにおいて、通勤や通学、入院時等も含めたシームレスな支援を行えるようにすべきであり、そのための財源を確保するために障害者雇用納付金や介護保険、教育などの関連分野の財源を調整する仕組みの検討が必要とのことですが、まず、事業者や学校による合理的配慮の議論も踏まえた上で、それぞれの場面において誰がどこまで責任を有するのか、それを踏まえて、どの分野の施策においてどのような対応を行うべきなのかを議論する必要があると考えられます。

○ また、対象となる障害の範囲の拡大や、見守りを含めた精神的安定のための支援については、障害者一人ひとりに介護職員(ヘルパー)が常時付き添うということになれば、非常に多額の財源及び人材が必要となるため、国民の理解を得ながら検討する必要があります。財源や人材の制約を踏まえ、また、制度に係る費用を負担する国民の理解を得るためにも、一人で地域で生活を営めるような自立訓練や困ったときに対応してくれる相談支援体制の充実といった他の代替手段の活用など、様々な地域資源の活用により総合的に対応することについても検討が必要と考えられます。

○ 国庫負担基準については、訪問系サービスについて、国の費用負担を義務化することで財源の裏付けを強化する一方で、障害福祉に係る国と地方自治体の間の一定の役割分担を前提に、限りある国費を公平に配分するため、市町村に対する精算基準として定めているものであり、介護の必要度が高い者が多い市町村にはその人数に応じて国庫負担を行える仕組みとなっています。国の厳しい財政事情を考慮し、国費を公平に配分する機能については、今後とも必要と考えられます。

【各論】

報告の該当箇所 厚生労働省の主なコメント
1.重度訪問介護の発展的継承による「パーソナルアシスタンス制度」
3)パーソナルアシスタンスの基本条件と利用制限の撤廃
○ パーソナルアシスタンスとは、①利用者の主導、②個別の関係性、③包括性と継続性を前提とする生活支援である。
○ 「利用者主体のサービス提供組織」が、「意思決定機関及び実施機関の責任者が障害者であること」かつ「意思決定機関の構成員の過半数が障害者であること」等を要件とするサービス提供組織のことであるとすると、「新成長戦略実現2011」(平成23年1月25日 閣議決定)等で示された規制改革の流れの中、事業の実施主体や実施の条件等を制限する新たな参入規制を設けることとなり、非常に厳しい説明責任が課せられます。
 したがって、そのような規制の是非や、より規制の度合いの低い代替措置の有無、現に多様な主体が重度訪問介護を実施している実態なども踏まえた検討が必要と考えられます。
1.重度訪問介護の発展的継承による「パーソナルアシスタンス制度」
3)パーソナルアシスタンスの基本条件と利用制限の撤廃
○ パーソナルアシスタンスの確立に当たっては、重度訪問介護の利用に関する制限を無くし、通勤や通学、入院時等にも利用できるようにすべき

○ パーソナルアシスタンスにおいて、通勤や通学、入院時等も含めたシームレスな支援を行えるようにすべきであり、そのための財源を確保するために障害者雇用納付金や介護保険、教育などの関連分野の財源を調整する仕組みの検討が必要とのことですが、まず、事業者や学校による合理的配慮の議論も踏まえた上で、それぞれの場面における対応について誰がどこまで責任を持つのか、それを踏まえて、労働施策や教育施策なども含め、どの分野の施策においてどのような対応を行うべきなのかを議論する必要があると考えられます。

○ また、「施策体系~地域生活支援事業の見直しと自治体の役割」部会作業チームの報告書においては、「教育・雇用などの場面での移動支援は、当該分野の法律で保障することも求められる。」「今後検討の上で立法化が予定されている差別禁止法の中で、合理的配慮とは何か、を定めた上で、総合福祉法の中でカバーできない(福祉以外の立法がカバーすべき)部分について規定すべきである。」とされており、整理が必要と考えられます。

1.重度訪問介護の発展的継承による「パーソナルアシスタンス制度」
2)対象者の拡大

  • 「重度の肢体不自由者」に限定しない
  • 児童についても介護に欠ける場合などには対象とする

3.現行の居宅介護(身体介護・家事援助)、並びに行動援護の改善

4.見守りや安心確保も含めた人的サポートの必要性

○ 対象となる障害の範囲の拡大や、「家電の故障時や大家さんに謝る場合等に介護職員が側にいるといないで大分違う」といった見守りを含めた精神的安定のための支援については、障害者一人ひとりに介護職員(ヘルパー)が常時付き添うということになれば、非常に多額の財源及び人材が必要となるため、国民の理解を得ながら検討する必要がありま す。財源や人材の制約を踏まえ、また、制度に係る費用を負担する国民の理解を得るためにも、一人で地域で生活を営めるような自立訓練や困ったときに対応してくれる相談支援体制の充実といった他の代替手段の活用など、様々な地域資源の活用により総合的に対応することについても検討が必要と考えられます。

○ 児童については、保育所における障害児保育や特別支援学校、放課後支援、短期入所など、様々なサービスがある中で、パーソナルアシスタンスが必要となる条件について更に検討が必要と考えられます。

7.パーソナルアシスタンスと資格等のあり方

  • 入り口を幅広く取り、OJTを基本とする
○ パーソナルアシスタンスをはじめとしたサービスに従事する介護職員の資格等のあり方については、福祉サービス体系全体の中で、それぞれのサービスに従事する者に求められる資質について整合性がとれるような形で検討する必要があると考えられます。
Ⅲ おわりに
① 24時間の支援を含む長時間利用者の市町村負担の低減のための財政調整、国・都道府県の財政責任強化と国庫負担基準廃止も含めた見直し
○ 国庫負担基準は、訪問系サービスについて、国の費用負担を義務化する一方で、障害福祉に係る国と地方自治体の間の一定の役割分担を前提に、限りある国費を公平に配分するため、市町村に対する精算基準として定めているものであり、介護の必要度が高い者が多い市町村にはその人数に応じて国庫負担を行える仕組みとなっています。国の厳しい財政事情を考慮し、国費を公平に配分する機能については、今後も必要と考えられます。

② 移動支援事業について

【総論】

第5回部会で示された論点に沿って第5回~第7回部会で厚生労働省が示した主な留意点

〔・支援(サービス)体系のあり方について(個別給付と地域生活支援事業の区分について)〕

○ 義務的経費の対象となる個別給付のサービスに係る主なメリット

  • 人員、設備及び運営に関する全国一律の基準等を設けることから、全国どこで提供されるサービスであっても一定の質が確保される。
  • サービスの内容が均一となり、サービスに係る費用が一定となることから、国等がその費用の一部を義務的経費として負担することが可能となる。

○ 裁量的経費の対象となる地域生活支援事業(補助事業)のサービスに係る主なメリット

  • 人員、設備及び運営に関する全国一律の基準等を設けないことから、地方自治体が地域の実情等に応じて柔軟にサービスを提供しやすくなる。(地域でサービスの内容や提供方法などの工夫が可能)
  • 複数の利用者に対応する事業や利用者個人に着目しない事業など、個人に給付を行う仕組み(個別給付)に馴染まない事業を実施することができる。
部会作業チームの報告のポイント

○ 視覚障害者・児のみならず他の障害者・児の移動支援も基本的に個別給付として、国の財政責任を明確にすべきである。

○ 個別給付化を行うに当たっては、「他の者と平等」な参加ができるよう、対象者・利用目的(通所や通学や入院・入所者等の外出を含む)・支給決定量や方法・ヘルパー研修等、先進的な自治体の取り組みをふまえて柔軟にできるようにすべきである。

○ 当面、地域生活支援事業の中の移動支援部分のみ別枠で、国1/2・都道府県1/4 の補助金精算という仕組みにする等、国・都道府県の財政支援を強化すべきである。

○ 車を使っての移動介護は不可欠な場合があり、報酬の対象とする。

厚生労働省の主なコメント

○ 移動支援事業については、一対複数で行う移動支援やバスなどを利用した移動支援など様々な形態の移動支援がある中で、全国一律の基準で行う個別給付、あるいは地域で柔軟に行うことができる地域生活支援事業とするのかを、必要となる財源や人材の確保の観点なども念頭に入れつつ、国民の理解を得ながら検討する必要があると考えられます。
 移動支援事業を個別給付に位置づけた場合、人員、設備及び運営に関する一律の基準が課せられることになるため、柔軟な仕組みというのは難しいと考えられます。したがって、義務的経費となる個別給付とすべきものと裁量的経費となる地域生活支援事業で実施すべきものについて、更に検討が必要と考えられます。

○ また、通勤や通学などの利用目的を対象とすることについては、事業者や学校による合理的配慮の議論も踏まえた上で、それぞれの場面において誰がどこまで責任を有するのか、それを踏まえて、どの分野の施策においてどのような対応を行うべきなのかを議論する必要があると考えられます。

5 「施策体系~日中活動とGH・CH、住まい方支援」部会作業チーム報告書について

【総論】

第5回部会で示された論点に沿って第5回~第7回部会で厚生労働省が示した主な留意点 〔・支援(サービス)体系のあり方について(介護給付費と訓練等給付の区分について)〕
○ 介護給付費の支給決定に当たっては、障害者の介護の必要度を明らかにするため、障害程度区分を認定することとしている。
 一方、訓練等給付に係るサービスについては、障害者の介護の必要度と、サービスの必要性が直接は関係しないことから、障害程度区分の認定は必要としないこととしている。
部会作業チームの報告のポイント

1.日中活動
○ 標準利用期限の設定は、個々人の状況に応じたものとするべき。 ○ 日中活動サービスは、従来の創作・趣味活動、自立訓練、生産活動とともに、居場所の提供なども含み広くとらえることが必要。支援体系は、例えば、デイアクティビティセンター(仮称)とし、そこで個別のニーズに応じたプログラムを提供する、よりシンプルな体系にすることが必要。一方、個別のニーズに応じたプログラムの提供を一定水準保障する職員の配置等を確保するための基準と計画行政の観点から一定の事業体系(サービス体系)の設定も考慮。

2.グループホーム・ケアホーム
○ グループホーム・ケアホームの区分について、グループホームに一本化することが妥当。定員規模は家庭的な環境として4~5人の規模を原則とすることが必要。 ○ グループホーム等で提供する標準的サービスと一人ひとりが必要に応じて利用するサービスとの関係を検討・整理し、居宅介護等の訪問系サービスの活用を含めた生活支援体制を確保することが必要。

厚生労働省の主なコメント

1.日中活動
○ 日中活動系のサービス体系のあり方については、障害者の自立や社会参加に向けて、単なる居場所ではなく、必要な方に必要な支援ができるよう、目的に応じて必要な人員を配置できるような事業体系とする必要があると考えられます。

○ 訓練系の事業は、効果的・効率的に訓練を実施するために、人員配置や報酬を厚くした上で、一定の利用期間(標準利用期間)を設定しているものであり、訓練の趣旨や報酬との関係も含め検討が必要と考えられます。

2.グループホーム・ケアホーム
○ グループホーム・ケアホームについて、軽度の障害者から重度の障害者まで一緒に利用できるようにした場合の生活支援体制のあり方(人員配置基準等)や、外部サービスとの関係について、更に検討・整理が必要と考えられます。

【各論】

報告の該当箇所 厚生労働省の主なコメント

1.日中活動

  • デイアクティビティセンター(仮称)とし、シンプルな体系にすることが必要。
  • 居場所(たまり場)の提供などが必要。
  • 医療的ニーズへの対応として看護師を手厚く配置する。

○ 日中活動のサービス事業のあり方については、障害者の自立や社会参加に向けて、単なる居場所ではなく、必要な方に必要な支援ができるよう、目的に応じて必要な人員を配置できるような事業体系とする必要があると考えられます。

○ 訓練系の事業は、効果的・効率的に訓練を実施するために、人員配置や報酬を厚くした上で、一定の利用期間(標準利用期間)を設定しているものであり、訓練の趣旨や報酬との関係も含め検討が必要と考えられます。

○ 居場所(たまり場)の提供については、地域の特性や利用者の状況に応じた柔軟な事業を実施できる地域生活支援事業として地域活動支援センターで実施されていますが、個別給付とすることについては、その必要性や、全国一律の人員、設備や運営に関する基準を設けることが必要となることを踏まえ検討することが必要と考えられます。

○ 医療ニーズへの対応については、看護師の確保の観点も踏まえ、訪問看護との連携により対応していくことなども考えていく必要があると考えられます。

2.グループホーム・ケアホーム

  • グループホームに一本化。
  • 居宅介護等の訪問系サービスの活用を含めた生活支援体制を確保することが必要。
○ グループホーム・ケアホームについて、軽度の障害者から重度の障害者まで一緒に利用できるようにした場合の生活支援体制のあり方(人員配置基準等)や、外部サービスとの関係について、更に検討・整理が必要と考えられます。

6 「施策体系~地域生活支援事業の見直しと自治体の役割」部会作業チーム報告書について

【総論】

第5回部会で示された論点に沿って第5 回~第7回部会で厚生労働省が示した主な留意点

〔・支援(サービス)体系のあり方(個別給付と地域生活支援事業の区分について)〕

○ 義務的経費の対象となる個別給付のサービスに係る主なメリット

  • 人員、設備及び運営に関する全国一律の基準等を設けることから、全国どこで提供されるサービスであっても一定の質が確保される。
  • サービスの内容が均一となり、サービスに係る費用が一定となることから、国等がその費用の一部を義務的経費として負担することが可能となる。

○ 裁量的経費の対象となる地域生活支援事業(補助事業)のサービスに係る主なメリット

  • 人員、設備及び運営に関する全国一律の基準等を設けないことから、地方自治体が地域の実情等に応じて柔軟にサービスを提供しやすくなる。(地域でサービスの内容や提供方法などの工夫が可能)
  • 複数の利用者に対応する事業や利用者個人に着目しない事業など、個人に給付を行う仕組み(個別給付)に馴染まない事業を実施することができる。
部会作業チームの報告のポイント ○ 地域生活支援事業は、できるだけ自立支援給付・義務的経費化し、自治体の裁量として残す方が良いものは残すという方向にする。
厚生労働省の主なコメント ○ 全国一律の基準で義務的経費により実施する自立支援給付、地域の実情等に応じて補助金により柔軟に実施する地域生活支援事業のそれぞれのメリットを踏まえて、サービス毎に検討される必要があると考えます。

【各論】

報告の該当箇所 厚生労働省の主なコメント

1.コミュニケーション支援の確立について

  • 義務的経費で無料とする
○ コミュニケーション支援事業については、行事や会議など複数の利用者がいる場合にも柔軟性のある支援を行うため、地域生活支援事業として実施しています。

2.移動支援の自立支援給付化(個別給付化)について

  • 自立支援給付化が求められる
○ 移動支援については、重度の障害者に対しては自立支援給付の対象とする一方、複数の者の移動の同時支援や、車両を用いた支援など柔軟性のある支援を行うため、地域生活支援事業として実施しています。

6.補装具と日常生活用具のあり方について

  • 日常生活用具給付等事業は補装具と同様に個別給付自立支援給付とすべきである。

○ 身体の欠損又は損なわれた身体機能を補完等するものを自立支援給付である補装具費として支給する一方、日常生活用具給付等事業は、障害者の日常生活の便宜を図ることを目的としていることから、個々の利用者の状況に応じて柔軟な取扱いができるよう地域生活支援事業として実施しています。

○ 以上のように、それぞれのサービスの自立支援給付化に当たっては、自立支援給付、地域生活支援事業のそれぞれのメリットを踏まえて、検討される必要があると考えます。

5.福祉ホーム及び居住サポートについて

  • 福祉ホームについては自立支援給付とするとともに、公営住宅等の活用を含め、居住の確保の点から整理。
○ 福祉ホームは、住居の確保を主たる目的としており、グループホーム・ケアホームの目的と異なることから、福祉ホームのあり方については、グループホーム・ケアホーム等の住まい方支援全体の中で検討する必要があると考えられます。

7 「医療」合同作業チーム報告書について

【総論】

障害者基本法改正に当たって厚生労働省が第28回推進会議に示していた主な留意点等

〔・精神障害者に係る地域移行の促進と医療における適正手続の確保〕
○ 現在も、医療の必要性や法に基づく適正な手続により入院医療が行われているところ。

〔・健康、医療及び精神障害者に係る地域移行の促進と医療における適正手続の確保〕
○ 精神医療のあり方については、現在、「障害者制度改革の推進のための基本的な方向について」(平成22年6月29日閣議決定)を踏まえ、「新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム」において検討を開始したところ

合同作業チームの報告のポイント

○ 障害者基本法改正について、いわゆる「社会的入院」の解消、医療保護入院に係る同意を含む「保護者制度」の解消、適正手続の確保、精神医療の質の向上、一般医療における問題点の解消について、根拠となる規定を設けること。

○ 精神医療の法体系のあり方については、一般医療と区別せずに適正手続法を設けるべきとの意見と、精神医療に特化した法律を存置すべきとの意見。

○ 精神病院における認知症患者については、削減した精神病床を認知症患者に転換することを認めるべきでないとの意見と、精神科医は専門的観点から対応すべきとの意見。

厚生労働省の主なコメント

○ 現在、厚生労働省において、障がい者制度改革推進会議の第1次意見を受けた平成22年6月29日の閣議決定に基づいて、社会的入院の解消については平成23年内に、強制入院等のあり方等については平成24年内を目途に結論を得るべく検討を進めています。

○ 具体的には、厚生労働省内に設けられた関係者等から構成される「新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム」において、

  1. 平成22年9月から12月にかけて、社会的入院の観点も含め、認知症と精神科医療について議論を行い、12月22日に中間とりまとめを行ったところであり、今後、中間とりまとめの具体化を目指して検討を進めることとしています。
  2. 平成22年10月からは、保護者制度・入院制度について議論を開始したところであり、今後、保護者制度について平成23年夏を目途に検討を行い、その後、入院制度のあり方についても検討を進めて、全体について平成24年内を目途に結論を得ることを目指しています。

【各論】

報告の該当箇所 厚生労働省の主なコメント
はじめに
  • 精神障害者の非自発的な入院や身体拘束が、「精神保健福祉法」、「医療観察法」等で法的に規定されていること等が、人権保護上問題があるのでは
○ 現行の精神保健福祉法等においては、指定医による診察や入院措置等についての本人への書面告知、入院患者の病状等に関する定期的な報告や患者本人等からの退院請求・処遇改善請求について第三者機関である精神医療審査会による審査を義務づけるなど、精神障害者の人権確保に配慮した規定を設けています。

1 障害者基本法改正に関連して

(1) いわゆる「社会的入院」を解消し、自立(自律)した生活及び地域社会への包摂のための施策の根拠となる規定を設けること。

  • 精神病床の削減を前提
○ 病床数の削減を行うとすれば、アウトリーチ(訪問支援)体制の推進や急性期精神科救急医療などの地域精神科医療体制の構築に関する施策や、福祉や住まいの場の確保などの地域の受け皿の構築に関する施策が必要であり、これらの施策について併せて検討を進めていくことが必要と考えられます。

1 障害者基本法改正に関連して

(2) 医療保護入院に係る同意を含む「保護者制度」を解消するための根拠となる規定を設けること。

  • 医療保護入院に係る同意を含む「保護者制度」について、これを抜本的に見直し、例えば、司法機関や地方公共団体等の公的機関が責任を負う制度に改めることが必要

○ 保護者制度については、厚生労働省の検討チームにおいて、現行法創設時(昭和25年)に設けられた保護者へ課せられる義務規定が現在まで存置されてきたことについて、それらの義務規定の存廃の可能性について、詳細な検討を行っているところです。

○ 医療保護入院は我が国の入院形態の4割近くを占め、その数も12万人にのぼっているものであり、そのすべてを司法機関や行政などの公的機関で担うことは困難であると考えられます。今後、厚生労働省の検討チームにおいて、そもそも医療保護入院の数をどのように減らしていくかも含め、現状に照らして丁寧に検討していくことが必要と考えられます。

1 障害者基本法改正に関連して

(4) 精神医療の質の向上に努めることの根拠となる規定を設けること。

○ 人員配置については、看護職員などの医療従事者数の確保の状況、地域医療への影響等を見極めながら、病床のあり方とともに検討していくことが必要と考えられます。

2-1 精神医療の法体系のあり方について

  • 精神医療は医療を受ける者本人の自発的意思に基づいて提供される(精神医療を一般医療と区別しない)ことを法体系の基本としたうえで、やむを得ず非自発的入院や行動制限が行われる場合における人権確保のための適正な手続を定める法律(適正手続法)を設けるべきという意見。

○ 精神疾患に罹患する者の数は今後ますます増加していくことが考えられますが、一般の医療とは異なる配慮も必要であることに留意が必要と考えられます。

○ 現行法は、精神科医療について、指定医による診察や入院措置等についての本人への書面告知、入院患者の病状等に関する定期的な報告や患者本人等からの退院請求・処遇改善請求について第三者機関である精神医療審査会による審査を義務づけているなど、精神障害者の人権確保に配慮した規定を設けています。

○ 今後さらに、検討チームにおいて、精神保健福祉 法上の保護者制度・入院制度について検討してまい ります。

2-2 精神病院における認知症患者の受け入れについて

※削減した精神病床を認知症患者に転換することを認めるべきでないとの意見と精神科医は専門的観点から対応すべきとの意見

○ 認知症と精神科医療については、認知症について「社会的入院」の問題が繰り返されることがないようにしなければならない、という指摘があることも踏まえ、厚生労働省の検討チームにおいて、検討を進め、平成22年12月22日に、中間とりまとめを行っています。

○ 中間とりまとめにおいては、

  • 入院を前提と考えるのではなく、地域での生活を支えるための精神科医療とする。
  • BPSD(徘徊や大声など認知症の行動・心理症状)や身体疾患の合併により入院が必要となる場合には、速やかに症状の軽減を目指し、退院を促進する。
  • 症状の面からみて退院可能と判断される患者が地域の生活の場で暮らせるようにするため、介護保険サービスを含めたシステムづくりを進める。

と指摘されており、厚生労働省としては、今後、この方針に沿って取り組んでいくこととしています。

3 地域生活支援・地域移行に関する議論の整理 ○ 地域移行(地域移行支援システム、住居確保として医療費扶助・住宅扶助の要件緩和及び賃貸物件の公的保証人制度の確立と運用等)、就学支援、就労支援について指摘がされていますが、これらについては、既に設けられている「就労」合同作業チーム、「障害児支援」合同作業チームや、今後新たに設けられる「地域移行」部会作業チームにおける検討も必要と考えられます。