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総合福祉部会 第2回 H22.5.18 資料1

障がい者制度改革推進会議総合福祉部会意見書

提出委員名:全国知事会社会文教常任委員会委員 奈良県知事 荒井 正吾

障がい者総合福祉法 (仮称)制定までの間において当面必要な対策について

  • 総合福祉部会において、平成25年8月までの障害者自立支援法の廃止と障が い者総合福祉法(仮称)の制定に向けて検討を進めることとなるが、現在の障害 者福祉施策には大きな課題が山積している。本部会においては障害者の「自立」 という理念そのものは維持した上で、現行制度の不備を解消するとともに障害者 福祉を大きく飛躍させるため、障害児に対する支援教育や心身障害者扶養保険制 度の見直しなどを含め、根本までさかのぼった、国、都道府県、市町村それぞれ の責任・役割分担の明確化も含めた骨太な議論を期待する。
  • 検討に当たっては、審議を実りあるものとするため、部会の検討対象の明確化、 論点の整理、新法制定までのスケジュールの明確化等を早期に行っていただきた い。
  • また、障がい者総合福祉法(仮称)制定までの約3年間においても可能な限り 施策の改善を進めていくべきであり、法律改正を必要とする見直し、政省令改正 による見直し、予算措置等による見直し等の仕分けを行いながら、改善すべき事 項に着実に対応すべきである。
  • 今後、部会の審議状況に対応して、全都道府県の意見を集約して、新たな制度 について積極的に提言していきたい。

1 相談支援体制の充実・強化(「基幹相談支援センター」の設置、財政措置の充 実)

障害者に対する相談支援は障害者を支える上で最も重要な施策であることか ら、法改正を待つことなく、昨年国会に上程された障害者自立支援法の一部改正 案に盛り込まれていた市町村への「基幹相談支援センター」の設置を予算措置に より推進するとともに、財政措置の充実等により自立支援協議会を中核とした相 談支援体制の充実・強化を図るべきである。

2 グループホーム・ケアホームの整備促進(整備補助の充実及び家賃補助制度の 創設)

グループホーム・ケアホームについては、障害者が地域移行するうえで の受け皿として、積極的に量的拡大をはかる必要があることから、整備を促進す るため、整備費補助金の充実(単価改善、採択箇所数の増加)、家賃等の費用に 対する補助制度(補足給付見合)を創設すべきである。

3 地域生活支援事業の財源確保等

地域生活支援事業については、市町村の必須事業と位置づけられた事業に おいても、果たすべき役割や機能、体制の水準等が明確ではなく、また、財源措 置も十分ではなく、市町村間での取組みの格差が大きいことから、事業実施の方 法や単価についての標準的なモデル等の提示や十分な財源確保を図るなど、必要 な事業の実施を確実にするための措置を講ずるべきである。

4 特別対策事業の継続実施

特別対策事業は、障害者自立支援法の円滑な実施を図るため、平成19年 度からスタートしたが、現行制度の下、平成23年度限りである。特別対策事業 による嵩上げ補助等によって、自立支援法に基づく事業所への移行や制度の円滑 な運営が実施されてきたこともあり、新たな制度が構築される平成25年度まで の間、必要な事業については継続して実施すべきである。

5 介護給付や訓練等給付における報酬等の見直し

障害者福祉サービスの報酬単価については、平成21年度に一定の見直しが実 施されたが、全体的に水準が不十分であることから、以下の事項について改善す べきである。

●居宅系訪問サービスについて
・重度訪問介護及び居宅介護(家事援助)を中心に報酬を見直すこと

●介護系施設サービスについて(生活介護・療養介護) ・障害程度区分のみによるサービスの利用制限の見直しを図ること

●訓練系施設サービスについて(自立訓練・就労継続支援・就労移行支援)
・標準利用期間については延長可能にする等、柔軟な制度にすること
・特別支援学校卒業後の就労継続支援B型の新規利用が可能となるよう利用 プロセスを見直すこと

●居住系サービスについて(共同生活介護・共同生活援助)
・小規模の事業所でも安定した運営ができるよう、現状を十分に把握した上で、報酬単価の見直しを検討すること ・夜間支援員の設置義務化など夜間支援体制の強化を図るよう、報酬体系と併せて検討すること

●施設入所支援について(施設入所支援・短期入所)
・施設入所の要件については、障害程度区分のみでなく、サービス利用の必要性を個別に判断する制度にすること
・日中支援と夜間支援のバランスを勘案し、報酬の見直しを行うこと

●指定相談支援について
・サービス利用計画作成費の支給対象者の範囲を拡大すること
・サービス利用計画の作成について、アセスメントを行なった時点から報酬を算定するよう見直すこと

●その他
・生活介護や就労継続支援B型などの日中サービス全般において長期間利用がない利用者等に対する、家族との調整等の支援について、報酬上評価すること