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総合福祉部会 第7回 H22.9.21 参考資料3

新法へのねがい

きょうされん利用者部会
部会長 林 優子

 きょうされんは、結成以来ずっと障害のある人の気持ちを受け止め、その思いを真ん中に据え「利用者が主人公」を大切に活動しています。私たち「きょうされん利用者部会」は、2007年12月に結成し、一人ひとりの思いや願いを大切にしながら、全国大会や利用者学習交流会などで、全国のなかまたちとつながりを深めあい、みんなの願いが実現するように取り組んでいます。
 障害者自立支援法廃止にむけての運動では、私たち利用者も各地で積極的に動きました。
 最大の問題である応益負担の廃止に向け全国で、地方で、種別や立場の違いを越え多くの人と手をつなぎ、精一杯の運動を展開しました。立法府や行政府に声を届けるだけではなく、司法府にも訴えようと障害者自立支援法違憲訴訟がおこりました。裁判に訴えるために、テレビや新聞の取材など、プライバシーをさらけ出すことなど、たくさんの葛藤があっても「障害を自己責任とする考えからの負担はおかしい。」「なぜ働くのに利用料?」この気持から、「このことは自分だけではない。」「国連障害者権利条約に見合った法律をつくってほしい」との思いで、訴訟原告として71名が矢面に立ちました。2010年1月障害者自立支援法違憲訴訟は全国14ヵ所の地裁で「和解」判決が下されました。
 新しい福祉制度を創る方向性が示され、「障がい者制度改革推進会議」や「総合福祉部会」が始まり、当事者や福祉関係者が多数加わって開催されていますがこのことはとても画期的なことです。当事者が出席し決定の場にいることや傍聴可能な他、手話・字幕つきで「目で聴くテレビ」がCS放送され、終了後にはオンデマンド配信で内容をオープンにし、広く知らされる様々な配慮がなされていることで、全国から新法に寄せる期待が高まっています。
 この度、私たち利用者部会はアンケートを行いました。
 仕事、暮らし、こんな社会になってほしいなど、日常の中で感じる率直な思いや切実な願いを知っていただきたく、まとめた資料を提出します。
 私たちは「差別がなくなってほしい」と願っています。暮らしている中でふと感じる差別がまだまだあります。障害をきちんと理解されず、批判的な言葉をあびさせられたり、作業所建設やグループホームを始めるときも反対されたり、心が傷つくこともたくさんあります。「健常者」と「障害者」という区別がなくなりどんな障害があっても住みなれた地域で障害のない人と同じように生きたいです。
 「当事者が社会の対等な一員として安心して暮らすことのできる」社会にしていくという、「障害者自立支援法違憲訴訟の基本合意文書」に力を得て、とびっきりの新法ができることを期待し下記に記します。

1、事業所での願い

  • 作業所や施設で働いてもらう給料はまだまだ少ないので、「もっと給料が上がるように職員体制や設備を整えてほしい」「就職できるようにしてほしい。」という声が多いです。現在の就労移行事業は、2年間で終了となります。その人の体力や能力が活かせる就職先がなかなか見つからない社会の厳しい現実から、不安になったり、自信喪失するなど前向きに進みにくい状況です。実態に合った制度に変えてください。
  • 「みんなが働ける仕事がほしい」と願っています。作業所や施設では、それぞれのできることや得意分野を活かして、工程ごとにいろんな人の手が加わって完成します。自分のできることを活かして分担し、持ちうる力をだしあうことで仕事ができています。一人ひとりの力を伸ばして次のステップに進めるためにも、作業所や施設にもっと補助金を出して環境を整えてほしいです。また、地域で暮らす中、憩いの場・相談できる場として支援センターも欠かせないです。事業所にもっと補助金を出し、安心できるようにしてください。
  • 身近な「職員が安心して生活できるようなお給料にしてほしい」という思いもあります。障害福祉に身を置いて経験を積んでも、低賃金から生活のため別の職業を選択せざるをえないこともあり、それは利用者にとってもマイナスです。「福祉は人」といわれます。支える仕事、障害福祉の専門性・福祉労働の価値をもっと認めてください。

2、暮らしでの願い

  • 家族と暮らす中で、親亡き後、また、本人や家族が「病気になった時、どうしたら良いか不安。」という声が多かったです。
  • グループホームやケアホーム、一人暮らしなど、自分でどこに誰と住むか選択できるようにしてほしいです。障害ゆえの生活の支援も併せて充実し、家族だけではなく、社会で支える新たな制度を創ってください。
  • 所得が少ない中、日々の生活や給食費の負担(一般の方は利用料も)に追われ、贅沢ではないちょっとした外出や衣類の購入、たまの旅行を控えている人も多く、「遊びに行きたい」「服を買いたい」という気持ちもあります。部屋で過ごすことも多いので「テレビが見えなくなったら困る」と悩んでいる人もいます。エアコンがほしくても買えない人もいます。低所得者の生活環境改善にむけ、所得保障の支援をしてほしいです。
  • 地球温暖化が進み、地震や台風、集中豪雨など自然災害が頻繁に起こりやすくなっています。とても不安に感じています。避難の連絡など、各障害に応じた具体的な対策への情報を提供してください。
  • パソコンを習いたい。という意見もあります。IT社会と言われ、就職する際に求められる必要な技能です。様々なアクセスに困難の伴う人も多いので、触れる機会が増えるよう、購入補助や貸し出し、パソコン講習会などもっと行ってほしいです。

3、社会について

  • 障害種別ごとの交通費の割引の格差をなくしてほしいと思っています。身体障害、知的障害に比べ精神障害は立ち遅れています。他の障害であっても所得が低い場合は対象にするなど種別に限らず、見直して工夫してほしいことがあります。

4、国に訴えたいこと

  • 欧州諸国に比べ、日本の障害福祉施策は乏しいです。家族に依存するのではなく、成人すれば社会で支えてほしいです。
  • 近年、「当事者主体」が大切にされるようになってきたのですが、国連障害者権利条約に批准した国からみれば時代遅れな感は否めません。
  • 現在、地域格差がはげしく、すんでいる場所によって支援時間数が違います。こんなことがないように、どこに住んでいても同じにしてください。「地域主権改革法案」はこんな問題は起こらないのでしょうか。

アンケート集計より抜粋【自由筆記】それぞれの思い

病気になっても看病してほしい

保護者が高齢になって介護がむずかしくなってきた

親が年を取って心配

教養娯楽の補助金がほしい

各々の障害の程度に合わせた支援を定期的に行ってほしい

母とおばあちゃんがなくなって私が一人になった時に困ります。

土日全部お休みがほしい

お盆のお休みがほしい

給料をもっと上げてほしい

子どもが病気になった時看病ができない

福祉がなくなる日本になる

それぞれに作業は分かれるけど、皆さんと仲良くしています

現在の小規模作業所では、利用者負担金が1日100円要りますが補助金計上になっていることがおかしい

少ない工賃から、月2000円も払うのはとても辛い

災害の時情報が遅くて困った。聴覚障害者への情報を早くしてほしい。

交通費がもらえる市ともらえない市町がある。みんな同じようにもらいたい

病気になったとき家族が看病できないので、大変不安です

病気になったとき家族の看病ができない。お金がないから

作業所があってありがたい

作業所ごとに、工賃が異なるのは困る

通いやすい作業所なのに、工賃の高低で決めかねてしまう

就労につながるようにハローワークと連携してほしい

作業所と家の往復なので、社会との接点を持ちたい

夕方サロンみたいなものがあれば行きたい

健常者の人ともしゃべりたい

社会とつながっていたい。常識を教えてくれる人とはなしたい

格差がなく、平等でみんなが安心して暮らせる社会になってほしい

健常者と障害者の壁をもっと少なくさせたい

安心して暮らせるようにヘルパーステーションのヘルパーをふやしてほしい

所得保障をして安心してくらせるようにしてほしい

自立支援法を止めて、早く新しい障害者福祉法をつくってほしい

障害基礎年金をふやしてほしい(20万円ほしい)

車イスで行ける場所や乗れる乗り物をふやしてほしい

障碍者も時給700~800円で働ける仕事がほしい

障碍者雇用を前向きに取り組んで欲しい

病気の人のことをもう少しわかってほしい

病院のお金を少しでも安くしてほしい

今の作業所のなかまたちといつか暮らせるグループホームが欲しい

障害があるからと安い給料ではなく、普通に給料が欲しい

会社(社会的)にもっと障害者を理解して受け入れてくれるところが欲しい

災害の時、情報が遅くて困った。聴覚障害者への情報を早くしてほしい

交通費がもらえる市ともらえない市や町がある。みんな同じようにもらいたい

段差のない、バリアフリーの町になってほしい

親の声

子どもの話しのしつこさに、朝晩聞くのが少しづつ体力がなくなってきた

親の方がノイローゼ気味になる時がある

子どもを外に連れて行ってやりたいが年を重ねるごと無理がある

本人の年金だけでは、あまり楽しむことができない

両親も年金生活で毎日の生活費を切りつめており最低限のことを考えて、大変な努力をしているようです

障害者がだんだん年老いて、親が亡くなった後の将来構想についての施策を具体的に示していただき、親が安心して、この社会に子供(大人)を託していけるよう考えて欲しい

応能負担に、日割りから月割りへと、早く変更して欲しい

ケアホームへの補助金の単価をあげてほしい

利用者部会でのワークショップから

  • 働く上でなにがたりないか考えてみた。
    1. 工賃
    2. 生活保障
    3. 作業所の目標
  • 作業所の職員の仕事への構え
  • なぜ土日に仕事をするのか(制度に振り回されたくない)
  • 職員数がたりない
  • 自分にあった時間で働きたい
  • 地域や高齢の人に貢献・交流したい
  • 施設の資源をもっと有効活用して地域の人と交流を
  • 会社に就職してもっと高い給料がほしい
  • ボランティアにもっと来てほしい
  • 職場への足の確保
  • 旅行にいけるような給料を
  • GHをもっとつくってほしい…住むところを自分で選びたい
  • 作業所の製品を売るお店・場所がほしい
  • 24時間サポートできるような体制に
  • 年をとった障害のある人の問題をどうするか
  • 所得保障(年金制度の改善)
  • いつでも、どこでも(移動や医療)がつかえる