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総合福祉部会 第9回 H22.11.19 資料3

部会作業チーム「障害の範囲と選択と決定-選択と決定・相談支援プロセス(程度区分)」議事要旨(10月26日分)

1.日時:平成22年10月26日(火)14:00~17:00

2.場所:厚生労働省低層棟2階講堂

3.出席者:茨木座長、門屋副座長、北野副座長、朝比奈委員、小澤委員、中原委員、野原委員、三浦委員

4.議事要旨

 「自己決定支援・相談支援」と「選択と決定プロセスとツール」について、どのような方向性で新たな仕組みを考えるべきかの意見交換を行った。主な意見は以下のとおりであった。

①「自己決定支援・相談支援の在り方」

  • 相談支援の仕組みは、多層構造で考えていくべきである。たとえば市町村に「総合相談センター」(国の事業として)を設置し、障害種別を問わず(制度の対象となっていない人も含めて)幅広に相談に応じる。さらに都道府県で障害別の専門的な相談支援事業を実施し、市町村をフォローするような仕組みを考える。さらに生活支援などの継続した支援が必要な人に対しては、市町村の相談支援事業所がサービス調整、モニタリングなどの支援を行い、解決困難な問題が発生した場合には、総合相談センターへつなぐ。
  • 当事者の相互の相談支援(たまり場的機能を含む)を行うものとして、「ピアサポートセンター事業」を市町村ごとに実施するのがよい。
  • 相談支援事業は、都道府県が圏域を設定し、圏域ごとに相談支援事業を計画的に整備していくことが必要である。専門性の高い相談支援を行う「総合相談支援センター」は、人口10~20万人あたり1ケ所、身近に相談できる「地域相談センター」は市町村を単位に5万人に1ケ所程度を整備すべきと考える。
  • 難病といっても、その種類は多様であり、それぞれの病気が抱えている問題もさまざまである。難病相談支援センターが都道府県に設置されているが、これを市町村で行うことは困難である。難病にかかる相談支援に関して専門家の養成が課題である。
  • 相談支援は、量的な広がりだけでなく、質を担保していくことが今後の課題である。また地域における総合的な相談支援体制を構築する観点から、自立支援協議会の役割と権限の強化が必要である。
  • 障害種別にかかわらず、市町村に相談対応できる窓口があって、そこから専門的な支援が必要な場合につなげていく仕組みが重要である。障害別の相談機関などを資源として活用すべきではないか。
  • 今ある支援に相談支援がどう絡めるかが課題である。精神障害についても、保健所と自立支援法の担当である市町村という窓口があるがうまく連携が取れないことが多い。このバリアをどう超えるかが課題である。

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以上のような意見をもとに、①多層構造(例:広く対象を設定した総合相談センター、継続的な個別支援を行う相談支援事業、各障害や難病の専門相談機関、当事者のエンパワメントを支援するピアサポート事業等)の相談支援体制の在り方を考えていくこととなった。(次回にたたき台を提示し議論する)

②「選択と決定プロセス・ツール」について

  • これまでの部会での議論を受けて、今後検討していかなければならない論点は、「支援付き決定」「共同決定」についての考え方の整理と具体化である。
  • 現状から、急に「協議調整モデル」に移行することは難しく、段階的アプローチや暫定的な取り組みが重要となる。
  • 支給決定に相談支援事業者がどういう形でかかわっていくかを検討する必要がある。
  • 支給決定において、個別支援計画が重要な位置を持つようにすべきである。
  • 知的障害については支えるケアマネジメントが重要である。支給決定については、誰でも納得できる透明な仕組みや尺度が必要である。
  • 支給決定の公平性や透明性を確保することは義務である。このためにもガイドラインは必要である。また生活環境や状態像が近い人については、どこでも必要な支援が確保で きるような支給決定の仕組みが大切である。支給決定については、市町村に障害当事者 も参加する「合議体」を作るべきではないか。
  • 合議体で決定することとした場合、決定にかかる責任を障害当事者にも負わせることとなる。決定自体は行政が行い、その責任も行政が負う形とすべきである。
  • 相談支援事業者が、当事者の話を聴きつつ「本人中心支援計画」を作成し、これを行政が受け止め、そこで協議し決定する仕組みが必要である。このためには、ガイドラインの有無、ソーシャルワーカーの訓練と配置、サービスのモニタリングなどを考える必要がある。
  • 支給決定にかかわる「ガイドライン」は必要である。ガイドラインについては、国レベルで作るのか、地域レベルで作るのかの検討が必要となる。地域で作る場合は、自立支援協議会などのオープンな場で議論していくべきである。このガイドラインを受けて、行政が個別の支給決定を行う形がよい。
  • 地域で独自のガイドラインを作るというのは怖い。国レベルで公平なラインを策定しないと、市町村で財政的な面でカットされてしまうリスクがある。
  • 西宮市では、ガイドラインを当事者を含めた関係者の合意に基づいて策定している。相談支援事業者は、このガイドラインに沿って個別支援計画を作るので、行政側からも信 頼できる計画が作られる。
  • 個別支援計画について、どうしても現状の社会資源を前提にするため、どこまで本人中心の立場でフリーに策定できるかが難しい。
  • 個別支援計画においては、現在のサービスで満たされないニーズを明らかにし、その積み残したニーズを新たな資源開発に結び付けていくことが重要である。それを自立支援協議会などで地域課題として取り上げていくことが必要となる。

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支給決定のプロセス(本人中心支援計画、ガイドラインの在り方)については、引き続き議論していく。参考資料(西宮市のガイドライン策定のプロセスなど)は、作業チームメンバーに送る。

  • 次回は、メンバーからの意見を参考にし、「自己決定支援・相談支援」、「支給決定のプロセス」の在り方について、座長・副座長で「たたき台」を提示する。それに基づいて、より具体的な検討を行う。
  • 11月7日までに、「たたき台」に資する意見をチームメンバーから募集する。
  • 11月15日18:30~20:30 まで、特に難病の現状と課題について、野原委員からの報告を聞く時間を設ける。

以上