長野パラリンピック開催に向けて
氷上の熱き戦い
―アイススレッジ競技―
(財)長野パラリンピック冬季競技大会組織委員会
今回は、長野パラリンピック冬季競技大会で実施される競技のうち、「アイススレッジ競技」について、その内容と見どころをお話したいと思います。
競技の説明に入る前に、「クラス分け」について簡単に説明します。身体障害者のスポーツ大会では、パラリンピック競技大会に限らず、各競技ごとに障害の種類、程度に応じて「クラス分け」が行われます。これは、障害の種類や程度によりそれぞれの選手のもつ機能的能力が異なるためで、同じような障害をもつ選手同士が種目ごとにそれぞれのクラスの中で順位を競います。
冬季競技のクラス分けには大きく分けて、「LW」という運動機能の障害をもった選手のクラスと、「B」という視覚障害をもった選手のクラスがあり、さらに障害の部位や程度によって、細かくクラス分けされます。クラスによっては、チェア・スキーやアイススレッジといった器具を使用したり、ガイドが伴走して競技を行います。
さて、パラリンピック冬季競技大会で実施される氷上競技、「アイススレッジ競技」には、「スピードレース」と「ホッケー」がありますが、いずれもスケートの刃のついた「スレッジ」というそりに乗り、両手に持ったスティックを漕いで前進し、スピードを競ったり、パックを打ち合います。
アイススレッジ競技がパラリンピック冬季大会の正式種目となったのは、前回、1994年のリレハンメル大会からで、日本でこの競技が行われるようになったのは、1993年12月に長野で開かれた講習会が最初です。その約3か月後に開かれたリレハンメル大会には、アイススレッジスピードレースに日本からは加藤正選手(男子LW11)、土田和歌子選手(女子LW11)の2名が出場しましたが、経験不足ということもあり、残念ながら十分に力を発揮することはできませんでした。しかしながら、その後両選手をはじめとする日本選手は着実に力をつけ、今年の3月に行われたプレ大会でも次々と日本記録を更新し、世界レベルに近づいてきました。この「アイススレッジスピードレース」は、来年の長野パラリンピックでは、最もメダルに近い競技の1つとして期待が高まっています。
一方、アイススレッジホッケーのほうは、日本チームは今回がパラリンピック初出場となるわけですが、今年3月のプレ大会では強豪スウェーデン、ノルウェーチームを相手に完敗し、実力の差をまざまざと見せつけられました。長野パラリンピックでは、ぜひ日本チームの勝利を期待したいと思います。選手の皆さん方のご健闘をお祈りします。
(財)日本障害者リハビリテーション協会発行
「ノーマライゼーション 障害者の福祉」
1997年8月号(第17巻 通巻193号)50頁・51頁