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列島縦断ネットワーキング

沖縄
第2回バリアフリーダイビング
全国大会の開催

山田眞佐喜

 当協会の年間行事であるバリアフリーダイビングの第2回全国大会が、去る6月24日(木)~26日(土)の3日間、沖縄県恩納村にある「ルネッサンスリゾートオキナワ」を会場に行われました。本年度の大会は、昨年同様、梅雨明け宣言が発表になった直後で、天候にも恵まれ、素晴らしいシチュエーションの中で開催されました。
 今大会のテーマは、「人に優しい海・フレンドリー沖縄」で、年間を通して抜群な透明度と20度を下ることのない水温、そしてカラフルな魚や珊瑚礁、という素晴らしい沖縄の海をフィールドに、ダイビングを通して高齢者・障害者が「海を学び」・「楽しみ」・「感動」し、心のバリアを取り除き、リハビリテーション及びノーマライゼーションに広く、深く貢献したいという目的のもとに開催されました。地域交流を積極的に実施し、特に若年層と高齢者・障害者の相互交流をめざし、「フレンドリー沖縄」を合い言葉に、福祉のまちづくりの一環として全国に訴求させたいという趣旨のもとに繰り広げられました。
 参加者は、北は岩手、秋田の東北方面から、南は沖縄という日本全国から障害者、高齢者、付添いの方も含め35人がスキューバダイビングにチャレンジしました。ボランティア及び役員も地元沖縄から約60人、全国各地からもあわせて115人が参加され、盛大に開催されました。
 初日は参加者、ボランティアの会場入りと顔合わせで始まりました。今年の5月26日から、沖縄の空の顔である那覇空港が、「那覇空港国内線新旅客ターミナルビル」にリニューアルオープンし、私たちスタッフも、気分も新たに皆さんをお迎えしました。ターミナルビルも以前のビルとは違い、トイレ、エレベーター、フロアーなどバリアフリー化された部分が目立ちました。建物や敷地が広くなった分移動が大変でしたが、マイクロバス3台にリフトカー3台、その他自家用車を使い、沖縄に初めて来られた方のために、ヤシの木の並木や米軍基地等の観光地の説明も取り入れながら、恩納村の会場までの約1時間を過ごしました。
 大会は四肢に障害をもつ30歳男性の開会宣言で始まりました。今回の特徴の一つとして、参加者とボランティアにペアを組んでもらい、また、大会期間中は、参加者ボランティアを大きく10チームに分けて、チームリーダーを中心にグループごとに活動することにしました。それにより参加者とボランティアの融和が図れ、より安全に、そしてコミュニケーションを取りやすい環境づくりが図れました。会場がリゾートホテルということもあり、その日の夕食は、ハワイアンショーを観覧しながらのウエルカムディナーとなりました。それぞれのチームで、自己紹介から始まり、障害の特徴について話し合ったりと、初日は大いに盛り上がりました。
 2日目からは、いよいよスキューバダイビングに挑戦しました。朝食の後メディカルチェック等を受け、9時からスタートという少しハードな活動となりました。初心者の方には、講習会から参加していただき、まずプールで練習してもらいました。経験者はダイビング船に乗り込み、珊瑚と魚のいる沖合いで潜りました。初めは皆さん、多少の不安がありましたが、時間が経つにつれ、楽しい、もっと潜りたい! という気持ちがひしひしと伝わってきました。
 スキューバダイビングは、水の中で呼吸をし、まるで宇宙飛行士が月を歩くように重力から開放され、自分も魚になったかのような楽しい世界がそこにはあります。ですからボランティアの方も、参加者の方に楽しんでもらいたいという気持ちがとても大きく、お互いにコミュニケーションを取りながら、ダイビングすることで気持ちが一つになっていったようでした。
 本大会の初の試みとして、基調講演に視覚障害者の柔道大会で準優勝したことのある松本義和さんをお招きし、「ハンディキャップと柔道」という題で、「成せば成る」ということと、松本さんの人となりを語っていただきました。
 3日目は、本大会の第2の特徴として、地元の子どもたちに参加してもらい、障害者と交流したり、一緒に海に入ったりすることで、子どもたちの素直な心を育てようと「ちびっ子シュノーケリング教室」を開催しました。自然の海を知り、珍しい魚やトロピカルな魚たちが泳いでいるのに感動し、そして障害者の皆さんが楽しくダイビングをしている姿に、「すごいな!」という感想を洩らしていたことは印象的でした。
 この他にオプションで、イルカと触れ合うコーナーも設けました。いずれにしても有意義な大会となったことは、全参加者の皆さん、そして関係機関の熱意とご支援の賜と感じています。特にボランティアの皆さんの、体を惜しまない活動に、重ねてお礼を申し上げたいと思います。
 あちらこちらで、障害者スポーツが盛んに行われている中で、ダイビングというスポーツは、まだまだ未開発なスポーツではないかと思います。使いやすいダイビング器材の開発や、障害者ダイビングの指導者の育成など、受け入れ側として、もう少し力を入れていきたいと考えています。
 第3回大会は、本年度の反省も踏まえ、「Up to you」(あなた次第!)をテーマに開催いたします。大会以外にも随時受け付けしていますので、たくさんの方の参加をお待ちしています。

(やまだまさき 日本バリアフリーダイビング協会)