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街なか探検隊 Vol.22

大阪
おもろい街
-大阪の穴場はここだ-

障害者福祉作業センター「赤おに」アクセスクラブ

 「大阪の街」~皆さんはどんなイメージが頭に浮かんできますか? 商売の街、食べ物がおいしい街…。具体的には吉本が見れるミナミ(なんば)や4年前のNHK朝の連続テレビ小説「ふたりっ子」のシンボル・通天閣などをあげることもできるのではないでしょうか。大阪ならではの街がいろんなところに存在しています。
 そんな「おもろい」街、大阪のすべてを…とは思うのですが、紙面に限りがありますので、今回は大阪の玄関口、JR大阪駅周辺を紹介したいと思います。ビジネス街、百貨店、映画館、居酒屋などがたくさん立ち並ぶ街。大阪の紹介としてはあまり取り上げられることの少ない、ちょっとした穴場(?!)です。
 JR新大阪駅から一駅、阪急電車・阪神電車・市営地下鉄などの乗り換え駅となるJR大阪駅の構内にはアウトドアの店や飲食店などが並ぶ「GARE大阪」があります。この中の通路は車いすでも通りやすく、車いす用トイレもあります。川が流れていたり池や滝があったりするので、通り抜けるだけでもおもしろいと思います。入口は駅構外や改札口と直結しているところもあります。車いすでは中央改札口の横にある入口が便利ですが、この入口の前には、JR大阪駅の待ち合わせ場所としてよく使われる噴水がありますので、ちょっとした時間つぶしにふらりと寄ってみてはいかがでしょうか。
 では、大阪駅周辺の展望ポイントを二つ。まずは大阪の名所の一つ、梅田シティの空中庭園展望台です。JR大阪駅から北へ電動車いすで約15分、2棟の高層ビルの上部がつながったユニークな外観をしています。地上170メートルで、大阪の中では6番目という目立った高さではありませんが、360度の視界は大阪市内が一望でき、天気の良い日は淡路島まで見える最高の眺めです。展望台へはまず3階でチケットを購入し、シースルーエレベーターで35階まで上がります。そこからお土産コーナーの39階、屋内展望の40階まではエスカレーター(39階まではシースルーエスカレーター)となるので、車いすでは別のエレベーターで上がります。ただし、屋上へは階段しかないので、用意してある手動車いすに乗り換えて階段昇降機で上がることになります。
 新梅田シティは吹き抜けになっているので、高く見える空にちょっとした森もあり、都会の中のオアシス空間でもあります。また4階には映画館、地下1階に大正末期~昭和初期の町並みになっている飲食店街があり、ビル全体としても楽しむことができます。
 次は、街中にそびえ立つ赤い大観覧車が目印の「HEP FIVE」です。ビルの屋上に設置された最上部106メートルのこの観覧車は、珍しさもあって1998年のオープン以来、週末や夜には長蛇の列ができるほどの人気です。乗車はレストラン街の7階からどうぞ。車いすから降りて乗ることを勧められますが、無理な場合は車いすのままでも乗車することができます。ただ特に車いす用のゴンドラを設置している訳ではないので、電動車いすでは少し窮屈ですが、空中庭園とは違った都心からの眺めを楽しむことができます。「HEP FIVE」にはショッピングセンター、レストランのほかにアミューズメントテーマパークもあり、いろいろと楽しめます。お店はすべて段差はなく、車いす用トイレやエレベーターも完備されています。
 大阪にはいろんなところに地下街が存在していますが、エレベーターやトイレなどハード面のアクセスとしては全国に誇れるほどの設備が整っており、車いすでは通りにくい地上での道中、地下鉄や私鉄の乗り換えなどに最適な場所となっています。
 大阪駅の周辺は、いくつかの地下街が集まった巨大なセンター街ができています。そのうちの一つ「ディアモール大阪」は天井が高く、通路が石畳になっていて、まるでヨーロッパの町を散歩をしている気分になります。楽器を演奏できる壁もあるので楽しいですよ。
 名物といえば、この地下街通路には各都道府県の名産品を各地ごとに販売しているスペースが並んでいます。旅行帰りなどお土産を買い忘れた時に便利です。自分の出身地を捜して歩くのも楽しいのではないでしょうか。
 現在、新設の建築物は「大阪府福祉のまちづくり条例」に基づいてつくられています。また大阪市では、この条例を受けて整備要綱を作成し「ひとにやさしい街づくり」となるように、既存の建築物についても少しずつではありますが改善されてきています。特に大阪市内を走る市営地下鉄は、ここ2~3年エレベーターなどの設置が進んでおり、あと2年もすれば8割の駅にエレベーターが設置され、障害者のみならずだれでも利用しやすい交通機関となるでしょう。
 今回紹介できませんでしたが、JR大阪駅からこの地下鉄を利用すれば、天守閣までエレベーターでアクセスが可能な「大阪城」、車いすのままでも乗車できる広いゴンドラが設置されている観覧車のある天保山、視覚障害者のための誘導システムなどさまざまな設備を有している日本一長い地下街「クリスタ長堀」など安心して立ち寄れる場所がたくさんあります。また大阪は歴史と奥深い名所や史跡の街でもあるので、少し趣を変えて史跡めぐりなんていうのはいかがでしょうか。
 アクセス面はまだまだ十分とは言えない部分もありますが、気さくで温かい人情味あふれた「おもろい」大阪の街に、ぜひ遊びに来てください。
 私たち「アクセスクラブ」は、大阪市内にある障害者福祉作業センター「赤おに」の通所活動の一つです。週1回、大阪の施設や公共交通機関などを調査し「アクセスニュース」として、私たちの仲間に報告をする活動をしています。
 今回はアクセスのよいところを中心に紹介してきましたが「障害者が出ていくことで街が変わっていく」と考え、今日も調査に取り組んでいます。

(財)日本障害者リハビリテーション協会発行
「ノーマライゼーション 障害者の福祉」
2000年4月号(第20巻 通巻225号)