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障害者スポーツボランティアの養成
-横浜ラポールの取り組み-

江口秀幸

はじめに

 今日では、社会福祉関係でも多くのボランティアが養成されています。障害者スポーツへの関心の増大とQOL(生活の質)の向上の充実に応えるために、各地のスポーツセンターでもさまざまな取り組みがなされています。
 障害者スポーツ文化センター横浜ラポールでは、目的を障害者のスポーツに限定したボランティアの養成を行い、他のボランティアとの個別化を図るために当初から「障害者スポーツボランティア」とネーミングして取り組んできました。
 オープンして8年が経過しますが、その中でボランティア養成事業も試行錯誤を重ねながら現在に至っています。

研修内容

 障害者スポーツボランティアの養成は、平成4年より開始しました。障害のある人と一緒にスポーツを楽しんだり、イベント開催のお手伝いをしていただける人を募集して、研修会を開催し、自分の興味や日程にあった活動を探して参加してもらっています。
 養成研修会には「障害者スポーツボランティア養成研修会」と「障害者スポーツ指導員養成研修会(初級)」の二つがあります(図1)。当初は年4回の開催とし、平日、週末とに分けて、それぞれの対象者を養成しました。平成8年以降は、年2回の開催となりました。

図1 障害者スポーツボランティアの全体像

図1 障害者スポーツボランティアの全体像

 スポーツボランティア養成研修会修了者には、毎年ラポールの年間計画を送るとともに、その年の活動に参加出来るかを確認してから登録してもらいます。登録は毎年、更新されます。その後の実際の活動について表したものが図2です。

図2 スポーツボランティア活動図

  ふれあいの場 専門知識習得の場
遊びボランティア イベントボランティア 教室ボランティア
内容 自分で希望する日に得意なスポーツでボランティアが行えます
(現在は、卓球・バドミントンなど)
イベント開催時のお手伝い会場準備、参加者への対応 各種スポーツ教室の補助
活動方法 年間予定表または教室案内、ボランティア広報版をご覧になって、希望をお知らせください
横浜ラポールよりハガキ等で活動をお願いすることもあります
その他 ボランティア保険に加入 ボランティア保険に加入
交通費程度支給


  専門を生かした活動の場
ボランティア広報版
内容 ラポール・市内の障害者や障害者団体からのボランティア募集情報を掲示しています
活動方法 自分の活動希望に合う情報を探し、各自で連絡を取ってください
その他 1階メインアリーナ入り口に設置してあります


  勉強会
特別研修会
内容 ラポールボランティア登録者を対象とした、障害者スポーツについての勉強会です


 スポーツボランティア養成研修会は、毎回30人程度を募集し、1年に2回開催しています。受講者は、7~8割が主婦です。その他は、会社員、定年退職者、学生です。年齢は中高齢者がほとんどです。内容は障害論、介護方法、障害者スポーツについての講義と実技で、ラポールの職員である保健婦やスポーツ指導員が講師を務めています。
 また、ある程度経験を積んだボランティアには、障害者スポーツ指導員養成研修会(初級)の受講をすすめています。
 しかし過去において、前記の研修だけでは不十分だったこともあって、より具体的、実践的な取り組みになるように、障害とスポーツを理解するための特別研修会、障害者スポーツの実技を習得するための種目別指導者養成研修会を新たに加えました。
 以下は、今までに実施したテーマです。

●特別研修会のテーマ

 脳性マヒ児・者のスポーツ、てんかんとスポーツ、脳血管障害者のスポーツ、知的障害者のスポーツ、脊髄損傷者のスポーツ、切断者のスポーツ、脳卒中片マヒ者のスポーツ、精神障害者とスポーツ

●種目別指導者養成研修会のテーマ

 ショートテニス、ボッチャ、ツインバスケットボール、ユニホック、ドル平、ウィルチェアーラグビー、電動車椅子サッカー
 これらの研修会には、実際に活動している障害者のサークルやクラブの協力を得て、ボランティアも一緒に参加してもらうことで、活動の糸口を見出してもらいました。この結果、ボランティア活動もより活発になりました。活動の場は、各スポーツ教室での指導・補助、各サークルでの指導・支援、各スポーツ大会の企画、運営、施設に出張してのスポーツ指導などです。

今後の取り組み

 平成12年度の研修予定は、養成研修会2回、特別研修会2回、種目別研修会2回、初級障害者スポーツ指導員養成研修会2回です。また、平成12年度より地域支援事業として、横浜市全区で障害者スポーツ教室を開催します。その時に必要なのが、地域ごとのボランティアです。現在、登録中のボランティアは約500人ですが、このボランティアを核にそれぞれの地域でボランティアを養成し、最終的には地域社会の中で自主的に障害者が活動できる環境づくりをめざしています。その準備のため、平成11年度に185人の体育指導員等と各区スポーツセンター全職員の研修も終わりました。スポーツボランティアの地域での活動が障害者の社会参加を促すとともに、スポーツを通して同じ地域住民の輪として広がり、定着していくことを期待しています。
 今、スポーツボランティアは新たなステージを迎えようとしています。

(えぐちひでゆき 横浜ラポールスポーツ課)


〈問い合わせ〉
障害者スポーツ文化センター 横浜ラポール
〒222-0035 横浜市港北区鳥山町1752
TEL 045-475-2050
FAX 045-475-2053

障害者の暮らしとボランティア活動の実際