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体験
私とピッポッパロット

園順一

 私とピッポッパロットとの出会いは97年10月ごろにさかのぼる。その少し前から目が不自由になりはじめ、電話をかけるにも今まで使っていた電子電話帳の液晶文字が読みにくくなってきていた。
 これは何とかしなければと思っていた時に、メルコムのボイス・オーガナイザーのモニターになり、これが音声認識電子手帳との出会いである。
 しかし、残念ながら視覚障害者に使えるものではなかった。それで、ピッポッパロットの原型になるような企画書をメルコムに提案した。これなら目を使わなくても電話がかけられる、多くの目の不自由な人にとって役立つものになることは間違いないと思った。
 数か月後メルコムから連絡があり、上京のついでに会社を訪問してピッポッパロット英語版を手にした。そこで、いろいろと意見交換をした。しばらくしてから貸し出しを受け、「これは使える!」と思った。登録時には電話番号を読む必要があるが、その後は視力は不要である。使用する電話機により受話器とピッポッパロットとの距離の調整が必要だが、慣れれば何のことはない。もう手放せなくなった。おまけに音声電卓、スケジュール、音声時計、音声メモ帳など便利な機能も付いている。
 だが、使い始めると欲がでてきて、もっとこうであればという希望がでてきた。音声認識機能仕様のため、自宅やオフィスなどでの使用は問題がないが、出かけた時に人の声など騒音がある場所での電話では苦労することがある。マイクロフォンの改良などで指向性や位相差がよくなり、周囲の騒音を拾わないようになることはできないものか。
 また弱視の私にとっては、液晶がハイコントラストであればいいのにとか、電話番号を入力するボタンも周囲の黒に対して白色(注)など、より見やすくなればいいのにと思う。またかばん、ポケットなどに入れておくとボタンが押されてしまい、電池が無駄に消費される場合がある(注)。電池が消耗してしまった場合や、間違えて電池交換をしてしまうと、登録済みのデータが消えてしまうなどの改良点もまだある(注)。
 さらに希望を言えば、パソコンで音声を活用するデータ入力などを含め、データの共有ができ、パソコンのスピーカーからDTMF信号音を出して電話がかけられるソフト、デジタル携帯電話でも自動ダイアリンクできるなど、ピッポッパロットを中心にデータの有効活用ができるようになれば、ますます視覚障害者にとって必需品となることであろう。

(そのじゅんいち 株式会社ディーエスピーリサーチ監査役)


(注)2000年4月から出荷開始されたMK2では改善、改良がなされている。