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メッセージ

WBU新会長として

キキ・ノードストローム
世界盲人連合(WBU)会長

私の子ども時代

 はじめに、私のことを少しお話しましょう。私は生まれつき目が見えませんが、普通に暮らしている女性です。
 6歳のころの私は、努力したり一生懸命勉強したりしなくても、必要な手助けがことごとく手に入ることに気づいていました。たいていは椅子に座って、助けてもらえるのを待っていたものです。しかし、手のあいた人が世話をしに来てくれるまで待たなくてはなりません。それがとても長い時間になることもありました。この現実を悟ったとき、私は自分の人生を自分でコントロールしようと心に決めたのです。
 まず、ケガに対する恐怖心を克服しなければなりませんでした。次の課題は、だれの手も借りずにそこらを動き回ることです。私は家中の探検を開始しました。転んでは起きあがり、痛い思いをして苛立ったり泣いたりしました。けれども、手伝ってもらわなくても自分でどこにでも行けるようになりました。行きたいところに行くことができたのです!
 それ以来、私は物理的にも精神的にも自分で道を切り開くのだという方針を守ってきました。自分を律して「独り歩き」できるようになったことを大変誇りに思っています。
 7歳の時にスウェーデンの盲学校に入学し、17歳で卒業しました。ここは唯一の盲学校でしたが、1981年に閉校となり、その後、全盲・弱視の子どもは皆、通常の学校で視覚障害のない子どもと一緒に統合教育を受けています。この学校は現在、教師や子どものための情報センターとなっており、そこでは専門家の下でリハビリテーションや点字について学ぶことができます。

家族の協力と信頼関係

 大学卒業後、私はレオという良き伴侶を得ました。彼はエンジニアで、視覚障害はありません。そして5人の子どもにも恵まれました。
 国際的な障害分野で積極的に活動していたレオはこう言いました。「これまでは子どもたちが小さかったし、私は家を空けがちだったから君が家にいた。だから今度は君の番だよ!」。レオは子どもたちと猫、そして彼の母親の世話をし、家の片付けや家族全員の洗濯など、家事をこなしています。私はいつも家にいるわけではありません。そのことを理解してくれる家族がいるのは、私のような仕事をする場合、必要なことです。また、夫、子どもと、私は良好な関係を築いており、そして互いに信頼しています。この点も重要です。
 目の不自由な人があちこち旅行する場合、信頼できるガイドをもつのもよいことですが、最良のガイドは家族です。時々は家族をガイドとして連れて行くことができるはずです。そうすると、家族はその人がどんなことをしているのかが理解できます。障害者政策について学ぶ人が多ければ、それだけ社会は良くなります。家族は多くの場合、私たちの能力を実にうまく宣伝してくれますし、障害に目が向くことはほとんどありません。

わたしと障害者運動

 今後、障害者運動は、国連とその関連機関が重視している問題に、もっと力を注いでいく必要があると思います。現在、もっとも重要な問題が人権問題であることは間違いありません。特に障害に関して言えば、女性、子ども、先住民、高齢者、難民の問題です。
 私がこれまで歩み続けてきた原動力となったのは、たとえば性別、年齢、宗教、障害、人種といった理由で人々が不当な扱いを受けた時に感じる怒りです。
 人はすべて生まれながらにして平等であり、前述のような属性の如何を問わず、人生の機会を等しく享受すべきであるというのが私の信念です。もし、このような基本的人権を脅かす人がいたなら私は義憤を感じ、基本的人権をないがしろにする人々に断固、立ち向かう覚悟です。
 私はWBU会長としての職務の面で三つの目標を、また個人的な目標を二つ掲げています。

[まずWBUの目標として]

1、国連およびその関連機関と協力してWBUの取り組みを強化し、各国政府の間でWBUの知名度を高め、尊敬を勝ち取る。
2、WBU加盟159か国、600団体の教育と能力形成、リーダーシップ研修や組織開発を始めとする個人会員1億5000万人の啓発。
3、財政援助、資金調達を通じて途上国を支援することにより、WBUが民主的なルールを遵守し、内部構造を作り上げていくための資本蓄積を可能にする。

 個人的な目標は、次の二つです。
1、WBUを国連に匹敵する規模にする。つまり、加盟国数を186にする。現在WBU加盟国は159か国!
2、第6回WBU総会の構成比を女性56%、男性44%とする。2000年11月にメルボルンで開催された総会では、44%対56%!
 女性障害者のリーダーとしての職務を退くにあたり、他の人々があとを引き継いでくださることを望んでいます。女性障害者はいまだ道半ば、組織や社会における男女平等をめざして歩み始めたところです。

さいごに

 ここで障害をもつ世界中の皆様に、私から八つのアドバイスを差し上げたいと思います。

  • 座して待つのではなく、自ら進んで行動すること。
  • 私たちの運動を代わって進めてくれる人はいません。私たちがやるしかないのです!
  • 奇跡を待っていてはいけません。自分の手で奇跡を起こすのです。
  • 現状を変えることができるのは、努力、知識、優れたアイディアだけです。
  • どんなことがあっても諦めないこと!
  • もし諦めたら、これから歩き出そうとしていた同胞を犠牲にすることになるのです!
  • 私たちが安息の地に至るまでには、長い年月と道のりがあることでしょう。
  • さあ、一緒に歩んでいきましょう!