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LDフォーラム
―インターネットからの広がり―

井上芳郎

 LD(学習障害)フォーラムは1997年11月、LD親の会「けやき」が運営母体となってインターネット上の「秀ネット」システムを利用して開設されました。開設当初は、主にLD児や類似した困難のある子どもをもつ親たちが、意見交流や情報交換をしていました。ところが、開設後しばらくして、検索サイトや雑誌・新聞等で紹介されたのをきっかけにして、LDの困難をもつ本人たちの参加が増えてきました。
 その多くがすでに成人しており、学校教育や家庭などでLDに起因する多くの困難に直面しつつも、その原因や対処法について周囲の理解が得られず、大変な苦労をされてきた人たちです。また、LDに対する社会的な認識度が今まで以上に低かったため、学齢期に専門機関等での「診断」や「療育」などを受けるチャンスを逸してきた人たちです。しかし、自分でLDの解説書を読んだり、専門家の講演会に参加したり、またあるいはインターネットを通じて情報を集めたりして、このLDフォーラムへたどり着いた人たちでもあります。
 2001年4月現在、LDフォーラムは六つの会議室で構成されており、LDに限らず、その近接領域にあるといわれるADHD(注意欠陥多動性障害)や高機能自閉症、アスペルガー症候群等のテーマに沿って意見交流や情報交換をしています。
 登録会員数は480人、月間アクセス数は約5000、月間投稿件数は平均100となっています。LDに関心を寄せる人であれば基本的にだれでも匿名で参加することができます。ただし、セキュリティ上参加者の電子メールアドレスとパスワードとで会員登録チェックをしています。また、フォーラム上への投稿内容については、常時管理者がモニターし、個人情報の保護や円滑な運営に心がけています。
 最近の特筆すべき動きとしては、フォーラムで知り合った成人LD者たちが、自発的に集まりをもち、「成人LDの会」設立のための準備会が立ち上がりつつあることです。今後の活動の進展が大いに期待されるところです。
 最後に、フォーラムに参加している二人から感想をいただきましたのでご紹介します。

「おかげさまで」

ペンネーム「あゐ」

 「私はもう一人じゃない」私は今、そう確信している。それは私がLDフォーラムと出合うことができたからだ。LDフォーラムに参加する前の私は孤独だった。情報があることも、情報を検索することも知らず、また、社会的不適応やLDの二次障害に苦しんでいた。
 LDフォーラムに入ってすべての問題が解決したわけではない。しかし、フォーラムでの対話を通して、私は〈わたし〉として生きていく方向性を見出すことができた。私は「ふつうの人」に憧れることがなくなった。それもこれも、フォーラムで対話を重ね、オフ会を実行し、先輩LD者から「知恵」を学ぶことができたからだった。
 大学の恩師にLDの掲示板で自分のことを話すことを薦められ、たどり着いたのがこのLDフォーラム。フォーラムの入会手続きは難しかったが、次第に慣れることができた。
 今私は成人LDとしてのHPを作っている。今後はオフ会で出会った成人LD者とともに、成人LD者中心の会を作っていく方向だ。何かとご支援のほど、よろしくお願いします。

ホームページのURL

http://homepage2.nifty.com/patti_ld/index.html


「LDフォーラムに入ったきっかけについて」

新田良子(仮名)

 私がLDフォーラムに入ったきっかけは、自分のLD性のために苦労した(している)経験を生かしていろいろな形で社会に貢献したいと考えた時、今のLD関連の世界でそれを社会的な形で行うのに、もっともLDフォーラムが合っていると思ったのでネットを始めてすぐ入りました。
 私がネットを始めてよかったのは「時間的な制約がない」「いろいろな地域の人と励ましたり、励まされたりできる」「頭の回転の遅い私には実際に話をするよりたくさん発言できる」などです。人とのかかわりの機会が少なく、自信を持ちにくいLD者にとってはとてもすばらしいプレゼントです。
 ただ問題は、LDの人は私も含め自己認知が弱い傾向があるので、まちがった自己説明をされるとその人の真実の姿を見抜くのは非常に難しいことです。このようなこともあるのでネットの関係だけでなく、実際に会って話してみることも自分を知るため、自分とLDの関係をよく理解するためにも必要かなと思っている今日この頃です。


(いのうえよしろう 全国LD親の会事務局)


【参考】

LDフォーラム

 http://www.maruo.co.jp/LD-FRM/

LD親の会「けやき」

 http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/

秀ネット

 http://www.maruo.co.jp/