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施設と環境問題

篠崎薫

 環境汚染や環境破壊への関心が高まっている。ダイオキシン、環境ホルモン、地球温暖化、ゴミのリサイクルなどの言葉が、毎日のように新聞に掲載される。環境への配慮が21世紀の地球人には求められている。
 施設に目を向けると、環境への配慮として気になることがある。食事の場面での、食材はどうか、食べ残しはどうしているか、食品容器は瓶か、缶か、紙パックか、トレーか。洗濯では、洗剤はどうか、柔軟剤などを添加していないか。建物については、化学物質を多く含んだ建材を使っていないか。衛生面での、消毒はどうしているか、掃除に使う洗剤はどうしているか、ゴミの処理はどうなっているのか、芳香剤や殺虫剤はどうしているか。
 施設は集団生活の場であり、生活が集約される場である。ゴミの量も多いし、化学物質や添加物などを使っていることもある。もちろん、それが実際に必要である場面もあるだろう。しかし、悪環境による化学物質過敏症やシックハウス症候群は、一度発病するとその施設を利用できなくなることはもちろん、その後の生活の場も限定され(?)人生に重大な影響を及ぼす。
 施設利用者は高齢や障害など心身にハンディを抱えている。だからこそ、化学物質過敏症などいつだれに現れてもおかしくない病気を視野に入れ、健康管理という側面からも環境問題に取り組んでいく必要性を感じる。
 環境問題への取り組みが鈍いのは、環境悪化による影響がすぐに現れるわけではないからだろう。確かにいま苦しんでいる人は少数かもしれない。しかし、苦しんでいる人が少数だからといって、無視してよいわけがないし、さらに言えば、多くの人に影響が出る頃は「時すでに遅し」ということになる。福祉関係者は、少数の人の代弁者として環境問題に取り組む必要があるし、生活の質を向上させるためには、表面的な事象の背後にある環境への配慮も必要である。
 まずは身の回りでできることから。省エネというといささか古い言葉だが、節水や節電、メモには裏紙を使うことなどから始めてはどうだろう。

(しのざきかおる 社会福祉士)