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金融機関へひとこと

大藪眞知子

 どんな障害者でも、障害がある以上、家の中にいても外にいても、さまざまな困難に出会うのは当然のことです。その困難をどう解決していくかは、自分自身の努力や工夫によるところ大ですが、それだけではどうにもならないことは山ほどあります。
 弱視の私にとってその中でも、極めて困難かつ憂うつなのが郵便局を含む金融機関に出向いて用を足すことです。
 最近では何をするにもATMで、ということになっているようです。実際、そのほうが手数料も安いのですが、まずこのATMが困りものです。指示に従ってボタンを押せばいいとはいうものの、そのボタンが近頃はほとんどタッチパネル式、ちょっと手を触れただけで反応してしまい、何度もやり直すことになってしまいます。しかも画面表示もけっして見やすいとはいえません。焦りながら何度もやり直していたら、後ろに長蛇の列、という経験は多くの弱視の方がお持ちのことでしょう。それなら窓口へ、ということになるわけですが、ここで書類に書くのがまた一苦労。住所・氏名を書く欄はあまりにも小さい、金額を書き込む枠はあまりにも狭いのです。しかも、自筆が原則です。
 これは私にはめったにないことですが、預金をする時や融資を受ける時にはさらに大きな問題があります。その際、渡される約定書なるもの、どれだけの方があれをちゃんと読んでおられるのでしょう。あれには契約をする場合に知る権利のあることが書かれています。つまり金融機関側からいえば、告知する義務のあることが書かれているということです。あんな小さくて薄い字で書かれたものをちゃんと読んでいるでしょうか。係りの人が一言漏らさず説明してくれているでしょうか。私たちはこれらの大活字版や点字版を要求していかなければならないと思います。
 ともあれ、金融機関というところは、障害者や高齢者に優しくないところと言わざるを得ません。不良債権処理に多額の税金が使われていることを思う時、もっと目を向けるべきことがあるのではないかと言いたくなるのは、私だけでしょうか。

(おおやぶまちこ 京都市在住)