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教育面からの提言

三浦和

 教育の問題にのみしぼって第一に述べたいことは、これまでの基本計画が構築してきたところの、基本的考え方の2に示された「社会的自立を促進するために」の項にある、
 障害者の社会的な自立に向けた基盤づくりとして、障害の特性に応じたきめ細かい教育体制を確保するとともに、教育・福祉・雇用等各分野との連携により障害者がその適性と能力に応じて、可能な限り雇用の場に就き、職業を通じて社会参加することができるような施策を展開する。
ことで、今後の教育を捉え切れるかどうかの疑問である。
 最近の「特殊教育」の分野は、いっそうの重度重複化の傾向が如実に示されてきており、軽度な障害への対応とともに、多様化・専門化・体制の改善が問われてきている。
 このような状況にあって、過ぐる平成13年1月15日に最終報告として出された「21世紀の特殊教育の在り方について」は、特殊教育の今後の在り方やプランニングに極めて重要な課題を提唱しているものであり、これをベースとして、特にこれからの5年について整理し施策化する必要がある。
 具体的には、
1.啓発広報の分野では、平成13年度より障害のある児童生徒の交流活動事業の実施など、いっそうの「福祉教育の推進」を具体的に進める。
2.教育・育成の分野では、これまでの緊急整備すべき目標の少なさを解消して、次のようなことを設定する。
 (ア)学校施設のバリアフリーをいっそう整備する。
 (イ)教育・福祉・医療等が一体となって乳幼児期から学校卒業後まで、障害のある子どもおよびその保護者等に対する相談および支援を行う体制を整備する。
3.就学環境のいっそうの整備を図る。
 (ア)市町村教育委員会およびその就学指導委員会が有効な役割が十分果たせるように支援策を講じる。
 (イ)就学基準および手続きの見直しを行ったところであるが、保護者の意見表明の機会の設定等、開かれた就学指導の改善を図る。
4.雇用・就業の分野では、職業リハビリテーション対策の推進に合わせて、職域開発事業の発展改組である、障害者就業・生活支援センター事業と盲・聾・養護学校への就労支援策(移行する職業教育)を連携させる。
5.盲・聾・養護学校における“地域性を重視した学校設置”、小・中学校における特殊学級や通級による指導および通常学級の特別なニーズを持つ子どもたち(学習障害児等)への指導の充実を図る。
ことなど、教育上の機動化・弾力化を期待する。

(みうらひとし 全国特殊教育推進連盟理事長)