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工夫いろいろ エンジョイライフ

聴覚障害【2】 交通・快適な車生活

提案:野田尚子(熊本県ろう者福祉協会会員)
イラスト:はんだみちこ

夜のドライブの必需品(?)

 夜のドライブって、ドキドキワクワクしませんか?
 でも、夜だけに視界は狭くなり車の中の会話さえままならない、という聴覚障害者は多いでしょうね。街の中だったらネオンの明かりをたよりに相手の手、顔、口を読みとるのですが、その明かりが得られないときは、市販のクリップライトを利用します。ボタン電池の入ったクリップの細長いアームの先に豆電球ほどのライトがついているのですが、クリップなので、地図などどこにでもはさめて、しかもアームで自由自在に調整できるんですよ。ほかに、シガーライターソケットに差し込むライトもあります。色も形もバリエーションが豊富ですが、イルミネーションタイプ(ライトの色が青・赤・グリーンのもの)はちょっと見にくいかもしれません。ちなみに私が使っているものは、シガーライターソケットから外して懐中電灯としても使えるものです。光を見たい角度に合わせられる、というのが大きなポイントですね。

バックミラーはひと回り大きいものに

 車は、通勤、子どもの送り迎えやお買い物などには大変便利な「足」ですが、聴覚障害者の運転免許取得が可能になったのは、1975年(昭和50年)だったと言われています。ただし、補聴器装着という条件がついていますが、実際のところは、病気や疲れているときは聞こえが悪くなり、また救急車などのサイレンがどこからくるのが把握できないという人もいて、補聴器だけでは補いきれないことがあります。
 そんな時も含めて、聴覚障害者は大いに視覚を活用します。車のバックミラーをひと回り大きいものに変えることで、既存のバックミラーの死角ポイントをカバーできるうえ、幅広い後方視界を作り出すので、後方のチェックが容易にできます。その場合、目に負担をかけないように加工されたものがよいでしょう。
 また、バックミラーのこんな用途も…。私の友人は助手席にも吸盤式のミニミラーを付けていて、彼女曰く、助手席に座っていても後部席の人との会話ができて便利だよ~ですって!いちいち後ろを振り向かなくてもいいように、また、後部席の人も、そのミニミラーに写っている友人の顔を見ながら会話ができるので、自然と話が弾むんだそうです。

タクシーを利用するときは地図を持参

 お酒飲みの方ほど、タクシーのお世話になることが多いと思うんですが、いかがでしょうか?(かくいう私もその中のひとりです…。ゴホン。) 最初は、住所を「○○6丁目△□コーポレーション前まで」と書いた紙切れをタクシーの運転手さんに手渡して、あとは運転手の後から「ああ、その左を曲がって、今度は右を行って…、違う、違う!そのまま真っ直ぐぅ!」と、なりふり構わずジェスチャー付きであちこち指さしては、運転手さんを青くさせた苦い思い出があるのです。
 運転手という仕事柄、道路名は十分承知されていると思いますが、まず、自分の家の近くにある道路名を一つか二つほど、また、最寄りの駅や大きな目印になるものの名前も合わせて紙に書いて伝えます。地図をつけるとなおいいですよ。「○○バイパス沿い、□□方面で左に△△がみえたら曲がる、その先に「止まれ」の標識あり、その左を曲がって…」というようにあらかじめ地図を作って常備しておくと、酔っぱらった時とか急ぎの時にはさっと渡せていいですよ。