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【総務省】
新しい「障害者基本計画」の推進について

 総務省では新しい基本計画のもと、情報通信や消防防災対策等の分野において、以下のような考え方に基づき障害者施策を推進していくこととしています。

◆情報通信分野における施策

 ITは、障害者にとって新たな情報収集、コミュニケーションの手段となるとともに、生活、就労、学習等において自立や社会参加を可能とする手段としても期待されています。
 しかしながら、その一方、ITの利用機会及び活用能力の格差(デジタル・ディバイド)が発生しており、さらにその格差が拡大するおそれもあります。
 このデジタル・ディバイドが生じないよう、障害者の個々の能力を最大限に引き出すためのITを活用した取り組みが求められており、新しい「障害者基本計画」では、次のような基本的方向のもと、さまざまな施策を推進することとされています。

1.情報バリアフリー化の推進

 障害者が容易にITを利用できる情報バリアフリー化の推進は重要な課題であり、総務省では、ITを活用した障害者等の就業機会の拡大、情報リテラシーの向上等を図るため、地域におけるバリアフリー型のIT利用拠点の整備を進めているほか、障害者が容易に情報アクセスできるよう、ホームページ等のバリアフリー化に向けた取り組みを進めていきます。
 障害者のIT利用支援は新しい「障害者基本計画」の中にも明記されており、引き続き取り組みを推進していきます。
 また、障害者が容易に情報の発信やアクセスが可能となるよう、障害者の就労や情報リテラシーの向上に資するため、使いやすい情報通信機器、システム等の開発・普及等の促進に引き続き取り組むこととしており、総務省として具体的には以下の施策を取り組んでいます。

○障害者ナビゲーションシステムの開発

 高齢者・障害者等を対象とし、認知・駆動・情報の入手のプロセスを含む移動という根源的な人間の活動を支援するRCT(Robotic Communication Terminals)は、道路や駅などに設置される「環境端末」、ユーザと共に移動する「ユーザ携帯型移動端末」及び「ユーザ搭乗型移動端末」の三つのタイプの端末からなります。これら役割の異なった端末同士が通信し協力しあうことで、認知・駆動・情報の入手の三つの要素行動を補助し、ユーザの市街地での移動を支援するナビゲーションシステムを開発します。

○移動支援バリアフリーマップの提供

 高齢者・障害者等の移動支援には、位置を測定するGPS(Global Positioning System)の利用及びバリア・バリアフリー情報を蓄積したGIS(Geographic Information System)のニーズが高いが、一般歩行者向けのナビゲーションやロケーションシステムは実用段階にあるものの、障害者等向けの移動支援GISはまだ実用化されていません。そこで、バリア・バリアフリー情報を蓄積した障害者等向けのバリアフリーマップを提供し、障害者等の自立的移動を支援します。

2.社会参加を支援する情報通信システムの開発・普及

 多様化するテレワーク・SOHOの実態把握を通じて、情報通信ネットワーク等を活用した支援方策について検討し、障害者等の就業機会の支援及び社会参加を促進します。

3.情報提供の充実

 字幕番組、解説番組及び手話番組は基幹的メディアである放送を通じた情報アクセス機会の均等化に資するものとして重要です。総務省では、字幕番組、解説番組及び手話番組の一層の拡充に向け、字幕番組等の制作費に対する必要な助成等の取り組みを引き続き推進していきます。

◆消防防災対策分野における施策

 障害者、高齢者等いわゆる災害弱者は、災害時において、災害の覚知の遅れ、逃げ遅れ等が懸念されます。したがって、災害弱者が安全に安心して生活し、社会参加できる前提として、こうした災害弱者に対する災害対策等が適切に講じられていることが必要であり、特に、災害発生時における消防機関等への緊急通報や、迅速な避難誘導等が適切に行われるような措置を講ずることが重要であります。
 このような考え方のもと、以下のような災害弱者に対する災害対策に取り組んでいきます。
○火災発生時に初期消火や避難などの適切な対応が困難である障害者等が居住する住宅において、これらの人の日常生活をサポートするため、行政機関がホームヘルパー、民生委員など福祉関係者等の防火対策推進協力者と連携し、障害者等の所在の積極的な把握や訪問診断等の防火指導の推進等、役割に応じた、防火対策の推進等の取り組みを実践します。
○自主防災組織は、災害時の情報伝達収集、避難誘導、初期消火、救出・救護等地域の防災力の向上のために大きな役割を担うものであることから、より一層の組織率の向上を目指し、防災資機材の整備や組織運営に対する支援を行います。
○災害弱者緊急通報システムによる消防機関への緊急通報体制の一層の充実を図っていきます。
○防災情報を住民等に一斉に伝達するための送信装置のモデルシステムを開発します。
 福祉施設以外の防火対象物における災害弱者に配慮した火災予防対策について、当該対策の有効性や実効性等の視点から総合的に検討を行います。
 以上のように、総務省では、障害の有無にかかわらず、国民だれもが自立した日常生活及び社会生活を営むことができる環境の整備にむけ、今後とも、関係省庁と連携を図りつつ、障害者施策の一層の推進に努めてまいります。

(総務省大臣官房企画課)

(財)日本障害者リハビリテーション協会発行
「ノーマライゼーション 障害者の福祉」
2003年2月号(第23巻 通巻259号)