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平成15年度
障害保健福祉部関係予算案について

厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課

1.障害者基本計画重点施策実施5か年計画(新障害者プラン)の推進

 平成15年度の障害保健福祉関係予算については、平成15年度から始まる障害者基本計画重点施策実施5か年計画(新障害者プラン)の実施を軸として、障害者の自立と社会参加を推進するため、障害者の自己決定を尊重する支援費制度の円滑な施行、障害者の社会参加の推進、精神障害者社会復帰対策の推進などに必要な経費として6,659億円、対前年度伸び率0.9%の予算額を確保しているところです。

 障害者基本計画重点施策実施5か年計画(新障害者プラン)は、新障害者基本計画に基づき、平成15年度からの5年間において、政府が重点的に実施する具体的施策とその達成目標を定めたものであり、ノーマライゼーションの理念の下、共生社会の実現を目的として、障害のある方々が活動し、社会に参加する力の向上を図るとともに、福祉サービスの整備やバリアフリー化の推進など、自立に向けた地域基盤の整備等に取り組むものです。
 具体的には、厚生労働省関係においては、

  1. 地域生活を支援するため、ホームヘルパーの確保、ショートステイやデイサービスの整備等在宅サービスの充実
  2. 住まいや活動の場としてのグループホームや通所授産施設の整備
  3. 精神障害者の退院・社会復帰に向けた総合的な取組

等について具体的な達成目標を定めて、その推進を図ることとしており、平成15年度予算において1,301億円を計上しています。

(1)在宅サービスの推進

 ホームヘルプサービス、ショートステイサービス、デイサービスといった基本的なサービスを拡充しているほか、障害児通園(デイサービス)事業、重症心身障害児(者)通園事業などの障害児に対するサービスや、精神障害者地域生活支援センターなどを拡充しています。
 特にホームヘルプサービスについては、278億円(対前年伸び率4.9%)の予算額を確保しています。
 また、市町村を中心とした相談・支援体制の充実やケアマネジメント体制の整備を図っていくため、障害者ケアマネジメント体制支援事業として、都道府県・指定都市における支援体制づくり(推進協議会の設置等)や、すでに活躍している研修終了者に対するスキルアップのための研修等を実施していくことしています。

(2)住まいや働く場ないし活動の場の確保

 知的生活援助事業(グループホーム)、福祉ホーム、通所授産施設、精神障害者生活訓練施設(援護寮)などを拡充しています。
 特に知的障害者のグループホームについては、68億円(対前年伸び率23.6%)の予算額を確保しています。

(3)精神障害者施策の推進

 精神障害者に対する各種施策については、現在、国会において継続審議中である「心神喪失者等医療観察法案」に必要な経費はもとより、ホームヘルパー、グループホーム等の在宅サービスや精神障害者社会復帰施設の充実など一般対策についても充実を図ることとしています。
 なお、精神障害者に係る総合対策について、計画的かつ着実な推進を図るため、昨年12月に厚生労働省内に設置された「精神保健福祉対策本部」において検討を行っているところですが、その成果につなげるべく、新たな取り組みとしては、

  1. 身近な地域において早期に適切な医療を提供できる体制を確保するため、休日・夜間に対応できる「精神科初期救急の輪番システム」の整備
  2. いわゆる社会的入院を余儀なくされている精神障害者に対し、活動の場を提供し、退院訓練を行うことにより、自立を促進し、退院に結びつける「社会的入院解消のための退院促進支援事業」

等を実施することとしています。

(4)保健福祉施策と雇用就業施策の一体的推進

 障害者の就労支援と生活支援を一体的に推進するための「障害者就業・生活支援センター事業」等につき、引き続き実施していきます。

2.支援費制度の円滑な施行

 平成15年4月から、これまでの「措置制度」を改め、障害者自らがサービスを選択し、事業者との対等な関係に基づき、契約によりサービスを利用する「支援費制度」が開始されますが、この制度の円滑な施行に必要な経費として、平成15年度予算において3,213億円を計上しています。
 具体的には、更生施設、授産施設などの施設訓練等支援費が2,697億円、ホームヘルプサービスなどの居宅生活支援費が516億円となっていますが、平成15年度においては、更生施設、ホームヘルパーやグループホームなどの新規増加分等を相応に見込んだうえで、制度変更に伴う11か月分の予算を計上しており、平年度ベースでみると、特に居宅生活費については、15.1%増と大幅な増加を確保したところです。
 また、支援費制度施行に係る都道府県及び市町村の事務の円滑化等を支援する観点から、障害者の地域生活への移行を支援するため、支援費対象のサービス利用等のための相談、利用援助及び住居、活動の場の確保についての支援等を総合的に支援する「障害者地域生活推進特別モデル事業」や、支援費支給に係る事務処理のシステム化などの取り組みを行う場合に必要な経費を確保しています。
 このほかにも、身体障害者更生相談所による障害程度区分決定事務に関する市町村職員研修の実施など、支援費周辺施策の充実を図っています。

3.障害者社会参加の促進

 新障害者基本計画の基本方針でもある共生社会の実現のためにも、また、支援費制度の円滑実施のためにも、引き続き、視聴覚障害者の情報・コミュニケーション支援や情報バリアフリー化の推進などの社会参加施策の充実を図ることとしています。
 これまでも、情報化社会において、障害者が住み慣れた地域の中で自立して、積極的に社会参加していくため、障害者がパソコンを使用する際に必要となる周辺機器等の助成を行う「障害者情報バリアフリー化支援事業」や障害者にパソコンの利用方法を教えるボランティアを養成・派遣する「パソコンボランティア養成・派遣事業」等を実施してきたところですが、平成15年度においては、こうした支援を総合的に行うための拠点として「障害者ITサポートセンター」を設置し、パソコンボランティアの活動支援や、障害者からの利用相談等に応じ、障害者の情報バリアフリー化とITを活用した自立促進のさらなる充実を図ることとしています。

4.その他、新規施策等主要事項

(1)小規模通所授産施設の活動支援

 小規模通所授産施設については、平成13年度から利用者10人以上20人未満の小規模通所授産施設に対し補助を行っていますが、平成15年度予算案においては、身体、知的、精神の三障害合わせて637か所分(対前年397か所増)の予算を確保したところです。

(2)自閉症等対策の実施

 自閉症やその周辺領域にある高機能自閉症やアスペルガー症候群などの発達障害も含めて、その特性を踏まえたきめ細かい対応を図っていくことを目的として、平成14年度に創設された自閉症・発達障害支援センター事業について拡充を図ることとしています。
 また、知的障害児施設に入所している障害児の地域での自立生活への円滑な移行を図るため、必要な基本的生活の知識・技術を修得するための個別指導を一定期間集中して行う「自立訓練事業」を新たに創設することとしています。