「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2004年2月号
こんなものがあるといいナ ~ユーザーの声
「ものしりトーク」でエンジョイライフ
小野まさ江
私は、網膜色素変性症で視力が低下し、身の回りのことも不便になってきたのが10年ほど前です。この見えない不便さを解消するために、いろいろと機械を使ってみてはと勧められましたが、もともと機械音痴の私にとって、これは無理な話。
そこで、日常生活のなかで、私なりにいろいろ工夫しました。たとえば洋服の色分け。裏に品質表示のタグがあります。それを三角に切ると黒。V字に切ると白といった具合いです。ただし、困ったのが中間色。なるべく洋服を買うときには触ってわかりやすいものを選んでいます。たとえば刺しゅうやビーズ、ボタンなどでわかりやすいものを求めます。冷凍食品は輪ゴムやテープで区別をしています。先日、ひき肉でミートローフを作ろうと思い、解凍したら、それがひき肉の塊ではなくただの氷の塊だったり…ということもあります。
本当に使えるかなと不安な気持ちで手にしたのが、この「ものしりトーク」です。まず最初に使ったのは、視覚障害者にはなくてはならないカセットテープやCD。これまで、聞きたいものを探し当てるまで何度も頭だしをしなくてはなりませんでした。それが「ものしりトーク」のチップをテープの中に入れたり、CDケースの上に貼りつけておけば、すぐに聞きたいものが取り出せるのです。料理を作るときの調味料の区別にも重宝します。
冷凍食品は袋を二重にして間にチップを入れると袋に貼らないですみます。植木鉢も名前をチップに入れて貼っておくと花の形を想像しながら水やりができて、それも私にとっては楽しい時間です。本当に「ものしりトーク」は、私にとって画期的でした。
でも、改善していただきたい点がいくつかあります。全盲の私にとっては、洋服に糸で縫いつけることは大変なのです。縫いつけなくてもすむようにテープをつけるとか、工夫していただけると助かります。今後、この「ものしりトーク」を駆使して毎日を楽しみたいと思っています。
(おのまさえ 東京都在住)