音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2004年2月号

こんなものがあるといいナ ~ユーザーの声

理想的な車いすとは?

松田美八重

医療事故により22歳の時に四肢マヒに。C4・5頸損歴25年。ほとんど全介助。障害を受けた当初から電動車いすを使用。

結婚19年、16歳の娘と3人暮らし。足のむくみがひどくなってきたことと、市営の身障者住宅に入居でき、リフトの設置をしたので、平成3年からリクライニング式電動車いすを使用しています。

朝6時に主人が起床介助、車いすへ。主人が出勤、娘が登校のあと、昼間は独居になるので、ヘルパー・訪問看護が入っています。就寝の夜10時頃まで、長時間ずっと車いすで過ごすことになり、車いすを選ぶ時は、「足を伸ばし、姿勢を変えられること」「座り心地がよく、安定していること」を一番に考えます。

残念ながら、福祉制度に該当する基準で作れる電動の車いすは、(多少自己負担をしても)既製の物に体を合わせていくほかありません。後から、あちらこちら手を加えて、いかに乗り心地をよくできるかが課題です。既製の物の中から、「自分の体と希望を叶える車いすを探し出す」といっても数少ない中では選択と言えるのかどうか疑問です。

現在、イマセンのフルリクライニングEMC―220を使用しています。おととしの国際福祉機器展で見つけたものです。機能を説明していただき、スケールを持っていったので、“何年も改修を重ねて、ようやく乗り心地をよくして乗っている車いす”と、これから製造されるという“新モデルの車いす”の寸法を全部測らせてもらいました。ほとんど同じサイズで、大掛かりな改造をしないで乗れることとシンプルなデザインが気に入って決めました。

でき上がって届くまで、2か月半かかりました。2.5、4.5、6キロと速度は3段階。車高も低く設計してあるので、リクライニング独特の振れも少なく安定しています。今までのイマセンのイメージからすると、シンプルでスマートな感じです。

テーブルは希望に添えるものがなかったので、違う業者にアクリルで作ってもらいました。後は、乗りながら使いながら手を加えて調整して、自分のものにしていくしかありません。

チルト()がよいと勧められていますが、足を伸ばしたいので、フルリクライニングを選びました。チルトの効能には惹かれるものがあり、介助用の車いすは、チルトタイプに挑戦したいと思っています。最後に、欲を言えば、肘掛やコントローラーの位置が段階的でなく、微調整できるとありがたいです。

(まつだみやえ 神奈川県在住)

 チルト:座席の「シート」と「バックレスト」の相対角度が変わらずに、全体が傾くような機構を指します。