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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2004年2月号

こんなものがあるといいナ ~ユーザーの声

スタンディング機能とリクライニング機能搭載の電動車いす

櫛田美知子

10年前に事故で脊髄損傷・手関節損傷にて関節形成術の手術を受け、車いすを使うようになりました。現在、二次障害も悪化して、頚髄症を発症しています。また長時間座位による下肢のうっ血性障害などがあります。

現在私は、NPO法人で看護師の資格を活かして働いています。仕事の内容は、福祉移送サービスをしているボランティア団体を支援したり、高齢者・障害者などの健康相談・生活支援を行い、他機関との連絡調整にあたったり、また学校から総合学習での講演依頼があり、1人で出かけます。先日も岐阜県まで日帰りで行ってきました。

以前、介護保険のケアマネジャーや福祉施設の看護師としてフルタイムで働いていました。福祉施設で働いていたときに、外国のビデオで外科医がスタンディング機能の車いすで手術しているのを見てとても感動しました。私も看護師として吸引をしていましたが、利用者さんとの距離が近いため、痰が顔に飛んできたり、てんかん発作などは呼吸や状態観察のため上から見下ろす必要がありますが、車いすではそれもできませんでした。看護師としてきちんと仕事をしたいと思っていたときだったので、吸引や経管栄養でもスタンディング機能の車いすがあれば、私にもできると思ったのです。それに車いすからの移乗も困難になっていたので、休憩時間などはリクライニング機能がついていれば、疲れたときにちょっと横になったりすることもできます。

私生活では3人の子どもの母親です。賃貸マンションでは、住宅改造もできず、料理などの家事仕事も思うようにできませんでしたが、スタンディング機能の車いす使用により、以前のように子どもと食事作りができることは母親としてとてもうれしい限りです。

一昨年の暮れに立ち上がり装置付き電動リクライニング式電動車いす(リーボコンビ)を申請し、1年あまり検討がなされ、職業上および家事動作のために必要と認められました。今は、その車いすができあがってくるのを待っているところです。今待っている車いすは、私にとって社会参加ができ健康悪化を防ぐものです。現実には、医療費の削減、そして昨年から始まった支援費制度の移動介護にかかる人件費が半減できた経済効果もありました。

課題としては、多機能車いすは重量が重く、日本の公共交通機関がまだ対応できていないところでの広域での自由な移動には制約がかなりあります。エスカルなど耐荷重の基準見直しを心から望まずにはいられません。

リーボコンビと同様の機能をもつペルモービルにて練習中
写真

(くしだみちこ 東京都在住)