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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2004年4月号

1000字提言

建国記念の日にダウン

岡田なおこ

自宅と目と鼻の先一人で生活をしていた時期があります。その頃のことは『なおこになる日(小学館)』に描きましたが、現在は二世帯住宅で、軟弱な暮らしをしています。「二世帯住宅」といっても、独立した住居なので「自立した生活」をしようと思えばできるのですが、すっかり体力がなくなりました。

そこに追い打ちを掛けるように「建国記念の日」に倒れて救急車のお世話になりました。精密検査の結果、特に悪いところはなく一週間で退院してきましたが、身辺自立はまったくできない状態です。たぶん過労と更年期と二次的障害と…諸々が重なったのでしょう。

わたしはずいぶん長いこと、地域の中で障害者団体のリーダーシップを取っていましたから、NPO法人の代表になっても、あまり変わらないと思っていました。地域の中の活動もハードだったからです。

でも大違いでした。「NPO法人だから大変なのか」「CILだから大変なのか」「私が未熟だからなのか」…とにかく大変です。

CILの先輩に「法人格を取ったということは、『人格』を持ったと言うことなのよ。なおこさん、その意味わかりますか?」と注意されたことがありますが、組織を動かしていく中で「人格」を持っているということを痛感する日々です。

平成15年度は運が良く、民間の助成金をいくつか受けられました。申請を出すときは介護スタッフや友人の手を借り、なんとか書いたのですが、いざ助成金をもらう段になると、口座を開くのも一苦労でした。

本人が署名しなければいけないとか…

本人が窓口に行かないと手続きできないとか…

代理で手続きできるのは親族だけとか…

物理的にハンディのある障害者をなおいっそう不自由にする社会のバリアにぶち当たりました。どんなにサポートしてくれるスタッフがいても、障害者がトップになり組織を運営していくのは、並大抵のことではありません。

単純に「予算があれば組織は安定する」というものではなかったのです。

もっともっと障害者が社会参加していけば、こういうバリアも改善されることでしょう。障害者が社会参加していくためにはCILが必要であり、私もCILがほしいと思い代表になったわけですが、実績を積み上げ、組織を大きくしていくのは、障害者の仲間を引っ張っていくのとは違っていました。

(おかだなおこ 児童文学作家、障害者自立支援センター・コスモス理事長)