音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2004年12月号

2004 私が選んだ今年の5大ニュース

群馬
直井由香(なおいゆか)

日本ゴールボール協会理事。アテネパラリンピックに双子の妹と共に代表選手として出場。現在は群馬県立盲学校にて実習助手として勤務。これからは選手の育成にも努めていきたい。

1 日本女子ゴールボールチーム初出場のパラリンピックで銅メダル!

9月17日からギリシャで行われたアテネパラリンピックにおいて、視覚障害の団体競技であるゴールボールで、日本女子チームが初出場ながら世界の強豪を相手に銅メダルを獲得。日本にこの競技が入ってきて10年、ようやくここまできたのだなぁと思いつつ、次の目標に向かい発進!

2 新潟県中越地震起きる

10月23日から始まった新潟県中越地震は大変な被害を各地に及ぼしている。身近な人にも小千谷出身者がいて、大変さを聞いた。またフロアーバレーボール大会中に地震が起きたため、新潟チームはやむなく準決勝を辞退し帰路についた。来年の活躍を期待したい。

3 天皇、皇后両陛下とお茶会

パラリンピックでの成績優秀者として皇居にお招きを受け、ゴールボールチームをはじめたくさんの選手と共に両陛下に拝謁させていただきました。通されたホール・廊下・広間の広さにびっくりと、あらゆるところがふかふか絨毯に驚きました。

4 日本盲人会連合青年協議会50周年を迎える

社会、文化、スポーツ、生活等あらゆる面で視覚障害者をリードしてきた、日本盲人会連合青年協議会が50周年の節目を迎えました。バリアフリーがとなえられる中、まだまだ厳しい現状の視覚障害者のためにこれからも道を切り開いていってほしい。

5 アリス号からディル号へ

私の職場である群馬県立盲学校には盲導犬のアリス号が、8年間教員と共に通っていましたが、この8月に引退となり、新たにディル号がやってきました。アリスの引退にはほんとに涙々でしたが、やんちゃなディルに今は皆が注目です。アリス、お疲れ様でした。


東京
大塚淳子(おおつかあつこ)

こころのクリニック石神井勤務精神保健福祉士。社団法人日本精神保健福祉士協会常任理事。大学時代に怪我をしてアルペンスキーができなくなった代わりに、クロスカントリースキーを楽しむ。しかし、最近行く暇がなく悲しんでいる。今年こそ!

1 イラクで日本人が殺害された

イラクへの自衛隊派遣や、人道支援活動をしていた民間人の人質事件、現地取材中の報道人などの殺害事件は日本人として戦争について改めて深く考えさせ、戦争は何も生産的な関係を生まないものであることを認識させたと思う。

2 大型災害が日本を襲った

台風と地震、なかでも兵庫県を襲った台風23号と新潟中越大震災は10年前の阪神・淡路大震災以来の大規模災害をもたらした。精神科病院や社会復帰施設の倒壊や被害もあり、今後の精神障害者の生活支援は長期にわたって必要となろう。地域特性に応じた大規模災害時対策を日頃から検討しておかねばならないことを強く意識させた。

3 厚労省が精神保健医療福祉の制度改革案を示す

厚生労働省精神保健福祉対策本部が平成15年9月から開催した3つの検討会がそれぞれ報告書をまとめ、それを踏まえ、平成16年9月2日には「精神保健医療福祉の改革ビジョン」をとりまとめた。「精神保健福祉法」定時改正作業を迎える今、他障害に並ぶ福祉サービスのハードソフト両面での整備を真剣に期待したい。

4 無年金障害者裁判で精神障害者の審議も開始

無年金障害者に関する「特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律」が成立可決したというニュース。所得保障をめざす裁判の行方を見守りたい。

5 厚労省「医療観察法」施行に向けてガイドライン案作成

平成17年7月までの法施行をめざして、平成16年3月に各種ガイドライン案(鑑定、指定入院・通院医療機関運営等)を作成公表し、10月からは司法精神医療等人材養成研修を開催。しかし、法成立過程での国民をまきこんだ十分かつ慎重な議論の不足が地元住民の根強い反対に遇い、医療機関の指定手続きや建設着工の遅れという事態を生んでいる。対象者の医療と社会復帰が真のものかどうか今後も見極めていきたい。


東京
甲賀佳子(こうがけいこ)

昭和33年宮城県仙台市生まれ。筑波大学付属盲学校で小学部から高等部まで学び、53年和光大学人文学部文学科に入学。点訳サークルや盲聾者援助の活動に力を注ぐ。現在は日本点字図書館で点字製作の仕事に携わる。視覚に障害をもつ親の会「かるがもの会」会員。

1 参議院選挙公報完全点訳

6月に行われた参議院比例代表選出議員選挙の公報が、日盲連と日盲社協点字出版部会加盟の19施設の協力により、完全点訳され、全国18府県で配布された。時間的な制約など困難な課題を乗り越えて視覚障害者の知る権利を保障する画期的な情報提供を行ったと言えよう。

2 パラリンピックで視覚障害者選手大活躍

第12回パラリンピックアテネ大会では、140の国と地域から約4000人の選手が集まった。視覚障害の部門では、柔道・水泳・マラソンなどで金メダルを獲得する活躍だった。

3 第1回本間一夫文化賞決まる

日本点字図書館では、昨年亡くなった創設者本間一夫氏の業績を記念し、視覚障害者の文化の向上に優れた貢献をした個人や団体を表彰する本間一夫文化賞を創設した。第1回の受賞者は、日本の点字表記の統一に尽力した阿佐博氏に決定した。

4 新潟県中越地震で被災

10月23日に起きた新潟県中越地震では、視覚障害者の仲間にも多くの被災者がいた。長岡市では視覚障害議員の藤田さんが被災者のために奔走している。

5 ふれあい文庫20周年

絵本を通して視覚障害のある母親と子どもの絆を深める活動を続けてきた点訳絵本グループ「ふれあい文庫」の創設20周年の集いが行われた。代表の岩田さん自身の子育て体験から、眼の見えない母親も絵本を通して子どもたちの心を豊かに育てていきたいという地道な活動を大切にしていきたい。


東京
橋詰努(はしづめつとむ)

東京都心身障害者福祉センター勤務。リハビリテーションエンジニア。日本リハビリテーション工学協会理事。

1 商品化をめざすロボットスーツHAL

杖や装具を必要とする人を対象とした、動力型外骨格装具として商品化をめざすHAL。障害者や高齢者が日常生活で使える歩行支援スーツとして、適用可能な人から着実にノウハウを蓄積してほしい。

2 電動車いす用アクティブシート

長時間の座位姿勢を強いられる電動車いすユーザー。従来のシーティングシステムの考えを一歩進めて、体幹をアクティブに動かす試みは買い。個々のユーザに合わせた「動かし方のプログラム」のアイディアに期待。オフィスチェアとして1台ほしいです。

3 燃料電池搭載型電動車いすプロトタイプ登場

重い、バッテリー切れが心配、充電時間が長いなどバッテリーの性能に起因する問題を解消する切り札。先端技術を障害者ニーズに活(い)かすモデル。水素を供給するインフラ整備、コストダウンなど商品化には産学公連携が必須。

4 車いすのまま運転できる国産乗用車市販化近し

ようやく国産乗用車のコンセプトモデルと市販化モデルが登場。海外の車種を含め、車いすユーザーが自立して運転できる車両に期待。

5 高齢者筋力トレーニングマシーンの普及

厚生労働省の戦略もあり、市場の拡大が予想される。高齢者向けマシーンの機能と、安全かつ効果的に筋力アップを図ることができるソフトづくりがポイント。


東京
八代英太(やしろえいた)

1937年山梨県八代市生まれ。1977年参議院議員初当選。以後、参議員3期、現在衆議院3期目。元郵政大臣。自民党障害者に関する特別委員会委員長等、他兼職多数。

1 障害者基本法大改正法案成立!

今年の国会で、「障害者基本法」が改正され国会を通過しました。この改正案のポイントは、障害者を差別してはならないこと。小規模作業所などを育成すること。中央・地方に障害者施策推進協議会をつくり、すべての市区町村が、障害者の基本計画を策定しなければならないこと。12月3日から1週間を障害者週間とすること。などなどです。

2 障害者支援費問題ピンチ!

障害者の支援費制度がスタートして1年半だというのに、早、財政がピンチとなり、今後の予算に赤信号が灯っています。制度が不備であると同時に、障害者のニーズが把握できないまま、お手盛り予算で始まりましたので、役所は悲鳴を上げています。何とかしなければと、今、党内で議論を活発に展開しています。

3 障害者就労問題を党の公約に!

私の「自民党障害者特別委員会」で、就労問題を徹底的に議論し、今年の参院選挙の公約にしました。財源1割カットの流れを跳ね返し、新たに来年を「障害者就労元年」と命名しました。さて? どうなるやら…。

4 介護問題が議論沸騰!

障害者介護支援費は、当初が302億円、そして、うれしい誤算で70億円の不足になって、さあ大変。今年は602億円計上しましたが、また200億円不足となり、他の障害者施策を犠牲にしながら、介護予算に翻弄された1年でした。来年度は、874億円を予算化しても、まだ不足。どうするかと、高齢者介護への統合も視野に議論沸騰中です。

5 障害者権利条約推進議連発足!

国連の障害者権利条約も、着々と批准への坂道を登りつつあります。私も国連アドホック委員会に出かけて「早く批准を!」と叫んできました。来年には、何とか…という願いを込めて、衆参国会議員で「国連障害者の権利条約推進議員連盟」を立ち上げました。会長は元外務大臣中山太郎先生です。


東京
鷲頭みち(わしずみち)

元東京都知的障害養護学校PTA連合会会長、全国特殊教育推進連盟常任理事、「東京都手をつなぐ親たち」編集委員、NPO法人「みんなの家」理事長、大田区地域活動促進事業「トライアングル」代表

1 特別支援教育の推進

養護学校や特殊学級の場から一人ひとりのニーズに合った教育への大きな変革の理念は歓迎されるものである。しかしながら、一般への理解啓発も進まず、財源を伴う基盤整備も未熟なままで、まだまだ保護者などに不安感も強く、より一層の具体的な検討が望まれる。

2 発達障害者支援法(仮称)の提出

超党派の議員連盟の議員立法で秋の国会に提出された。知的障害を伴わない自閉症等発達障害児・者は、今まで一般的理解が薄く対応が遅れていた。今後は生涯にわたる本格的な支援の枠組みの整備が期待される。

3 養護学校での「たん吸引」など医療行為が認可

これまで、学校で教員が医療行為をするのは違法とされていて、医療行為の必要な子どもが学校へ通う際には、保護者が付き添うなど負担が多かった。今後はそのような家族の負担が減り、子どもが教育を受ける権利の保障にもつながると思われる。

4 障害児タイムケア事業(仮称)の創設

支援費制度ではデイサービスの対象とならない、中・高校生らの放課後・休日対策として、2005年度から養護学校の空き教室などで、有料で子どもを預かる事業を創設する方針が打ち出された。文部科学省との連携が期待される。

5 「みんなのコンサート」の開催

私事だが、主宰する「トライアングル」で知的障害をもつ本人たちのコンサートを開催。一人で・グループで、日頃の練習の成果を発揮した。その一途な演奏に胸熱く…とマスコミにも取り上げられ、出演者たちはぜひ来年もと、やる気満々だった。


長野
山田優(やまだまさる)

2003年4月から長野県西駒郷の脱施設(地域生活への移行)を担当。コーディネーター業で確信した「地域生活のススメ」が長野県全域に浸透するよう願っています。

1 脱施設2年目いよいよ本丸へ

西駒郷の地域生活への移行は、15年度は29名が旅立ち、16年度はこれまで31名が移行。今年度中に約40名が願いを果たそうと続く。調整に追われる忙しさは、一人ひとりの生き様に触れることを意味する。

2 心のケアの重要性を認識

地域生活への移行に直面するとき、35年間大集団生活から脱出したいと願い大切にしてきた「犯されない心」に、未知の生活への不安が容赦なく襲いかかる。心のバランスが崩れストレス反応となって現れた「移行期外傷(transfer trauma)」に根っこの深さを知らされた。地域移行事前プログラム(カウンセリング)が重要と確信した。…この傷、だれが癒してくれますか。

3 総合相談センターが県下に整備

前任地で果たせなかった相談支援システムが長野で整備できた。ケアマネジメントも託せるか。夢のよう。でも質が伴わなければ悲惨。検証作業は「利用者の声と表情」…で、いいんじゃない。

4 支援費居宅系サービスの2年続きの財源不足

レスパイトサービスで目覚めた消費によるニーズアピール運動は、しなやかに全国に広がった。「この街で暮らしたい」を無視することはできませ~ん。

5 グランドデザイン?

金がない、人もいない、でも地域生活へと…。そりゃ無理だ。では解決策は。スクランブルによる障害福祉サービス法(仮称)。相変わらず金目の引っ張り合い。収入が増えれば沈黙、減れば大合唱。もっと全体が見られないのかこの業界…残念。


滋賀
石野富志三郎(いしのふじさぶろう)

1952年生まれ、3歳の時高熱のため失聴。全日本ろうあ連盟事務局長、滋賀県ろうあ協会副会長、全国手話研修センター理事【趣味】絵画鑑賞。温泉旅行など【特技】気分転換がはやいこと。どこでも寝られること

1 7月豪雨・台風23号・新潟中越地震の被災者へ救援

新潟、福島、福井、兵庫、京都で多くのろう者宅が床上浸水の被害に遭い、そして新潟中越地震で怪我・ストレスなどによるろう者が続出した。連盟では、直ちに現地対策本部を設置し、全国的に義援金を呼びかけたり手話通訳支援などを救援している。

2 デフリンピックへ日本代表選手派遣決定

2005年1月の第20回デフリンピック(メルボルン)に選手102名・役員32名の代表団を派遣。本誌が読者に届く頃、きっと金メダル獲得の吉報が飛んでくることでしょう。しかし、パラリンピックやスペシャルオリンピックと比して、IOC公認のろう者競技にもかかわらず存在が十分に普及されていないのが悲しい。

3 全国ろうあ者大会で権利保障の基盤へ力強く宣言

支援費制度の介護保険への組み入れ・統合論が浮上して緊迫する状況の中で、連盟は全国大会宣言で性急であり容認できないこと、さらに手話コミュニケーションを保障する「権利保障の基盤」整備は公的責任でなされるべきなどを明確に内外に表明した。

4 議論呼ぶ「聴覚障害教育構想プロジェクト」中間報告

1.日本の聴覚障害教育の現状と課題をどうみるか 2.これからの日本の聴覚障害教育のあるべき姿はどのようなものかなど教育専門家、耳鼻咽喉科医師、当事者からの議論を集中し、未来の聴覚障害教育構想へ提言にまとめる方向で8月に中間報告が公表された。

5 全日本ろうあ連盟が緊急要望「手話通訳事業の維持・拡充を」

手話通訳は、聴覚障害者だけではなく、聴覚障害者とのコミュニケーションを必要とする聴者側にも欠かせないとされている。市町村の手話通訳派遣事業の実施率は4%弱で、地域格差が大きい。一般財源化による手話通訳事業への悪影響を及ぼす危機感がある。国や各自治体に補助方式の維持と手話通訳事業の必要性を認識させていくよう要請している。


京都
小森猛(こもりたけし)

1964年京都市に生まれる。プロ野球選手をめざし小中学時代は野球に明け暮れる。1979年トランポリンより転落、頸髄損傷となる。全国頸髄損傷者連絡会会長。NPO法人DPI日本会議常任委員。エンパワメント京都代表。

1 「支援費制度を介護保険に」統合をめぐって

スタートしたばかりの支援費制度が、2年も経たない間に予算が足りない理由で介護保険に統合する方向で厚生労働省は決めてきた。しかし、消費者である障害をもつ人は介護保険統合に絶対反対である。支援費制度ができて永年施設で暮らしていた人が地域生活という自由をやっとつかみ取ったのに、本当の声を社会はなぜ聞かないのか。

2 10月12日厚労省よりグランドデザインが出る

一度読んでみるとグランドデザインができれば、すべての障害をもつ人が公平にサービスを使いノーマライゼーションに近付いているように見えるが、全くこのグランドデザインにはいろんな落とし穴があり、何より許しがたいのは、支援費制度に予算が無くなったから急きょ厚生労働省が夜なべをして作り上げてしまった。グランドデザイン、これも絶対反対である。

3 10月20日東京で大行動

物凄い台風の中、東京の芝公園に2000人の障害をもつ人とそれを支援する人が集まった。支援費制度と介護保険統合に反対、一般財源化反対、包括払い反対、自分たちの生活、権利を守るために命をかけた行動である。

4 11月3日御堂筋デモ

大阪の中ノ島公園に1800人の障害をもつ人と支援者が集まり、支援費制度と介護保険の統合反対、グランドデザイン反対の行動を行う。この日のために何度も勉強会を開き、計画を立てて行った結果は大きかった。

5 日本障害フォーラム(JDF)発足

10月30日東京にて、日本でもっとも大きな障害者団体11団体が集まり、発足した。日本の歴史に残る大きな一日である。本来国もノーマライゼーションをめざしているはず、ならば、障害をもつ我々と二人三脚で歩むべきではないか。


福岡
日野博愛(ひのひろちか)

社会福祉法人ゆうかり学園理事長、身体障害者療護施設千歳療護園施設長、全国身体障害者施設協議会制度予算対策委員、九州身体障害者療護施設協議会理事、福岡県身体障害者療護施設協議会副会長

1 2年目の支援費制度に早くも暗雲が

支援費制度では、在宅サービスを中心に国の予想をはるかに上回るサービスの支給量の増大に早くも財政的な危機が訪れ、社会保障審議会障害者部会ではその打開策にさまざまな議論が展開されている。

2 介護保険制度の見直し始まる

制度施行5年を経過する介護保険においても、支援費制度と同様、財政面での問題が大きく関わり、被保険者の年齢の引き下げなどから両制度の統合にまで議論が発展している。

3 『改革のグランドデザイン案』示される

厚生労働省が示した今後の障害保健福祉施策改革のグランドデザイン案も、理念は評価できるものの応益負担を含め利用者負担のあり方についてなど、細部にわたっては今後検討を加えなくてはならない事項が数多く含まれている。

4 三位一体改革「地方6団体改革案提出」

地方6団体が提案した『国庫補助負担金などに関する改革案』に対して、当事者団体などは障害福祉関係国庫補助負担金の継続を求める緊急集会を開くなど、ますます混乱の様子を呈してきた。

5 福岡県社会福祉施設経営者協議会に組織強化委員会設立される

会員の中から社会保障制度変革に対応するため、本会組織の強化のために専門委員会を設置して検討すべきとの要望が出され、委員会を設置することになった。


熊本
阿部るり子(あべるりこ)

1983年から活動を始め、現在は知的通所授産施設銀河ステーション施設長。自分の人生は自分で決める本人活動を大切に、重度の人たちも含めた地域生活をめざしている。

1 支援費2年目、地域格差拡がる

裁量的経費が大幅に伸び財源不足に陥った支援費だが、国からの補填がないことを受けて、市町村では大幅な受給量のカットや身体介護を日常生活支援に変更するなど、障害者の地域生活を圧迫している。市町村によって障害問題に対する理解度や財源による格差がますます拡がる結果に。どうなる支援費、どうす支援費。

2 福祉のグランドデザインはどんな未来を実現するのか?

介護保険活用や障害福祉の未来形が見えてきた。どうなるか、しっかり見守りたい。

3 重心と知的障害の人たちで暮らすグループホーム「マーガレット」での快適生活

当たり前の暮らしを実現するために、障害別で縦割りにせず、障害の重い人や軽い人(ヘルパー資格者)が助け合って暮らすスタイルをとっている。共生することで重い人の介護も軽減されることが2年経って実証された。

4 障害の重い人が日中活動をすることで、てんかん発作が軽減

重症心身障害の人たちが毎週、パンの販売やお茶会を開いて地域と交流している。この2年間のデータによると、こうした日中活動をしている日は平日の半分しかてんかん発作が起きていない。専門家からも賛同の声が。自己実現はどんな人にも必要と確信。

5 知的障害者のストリートダンスユニット誕生

「ロードオブギャラクシー」という名前のストリートダンスユニット誕生。11月に行われた佐賀バリアフリーデイでストリートダンスを初披露し、大きな喝采を浴びた。銀河ステーションの本人活動は、地元の人たちと作るロックバンドが10年、高齢者の安否確認ボランティアは5年になった。


沖縄
上里直子(うえざとなおこ)

1959年、那覇市生まれ。射手座。障害は脳性マヒです。星座の中で最も好きな星座は、この射手座です。理由は、いつも目標を定めているからです。

1 「琉球新報社会活動賞」受賞

今年の2月、琉球新報社(新聞社)から「社会活動賞」を頂きました。ちょうど、私にとっては一人暮らし10年目を迎えていたので、この思いもよらぬ出来事に驚くと同時に、沖縄でもようやく障がい者のさまざまな活動が根付いてきたことを実感しました。

2 翁長雄志那覇市長と対談

5月に、那覇市の広報「なは市民の友」に掲載のため、私は翁長市長と対談をしました。よい機会なのでノンステップバスの必要性を話しました。那覇ではいまだに、路線バスに車いすの人は乗れません。昨年モノレールが開通し、介護タクシーも増加はしましたが、一日でも早く、交通面でのバリアフリー化が進んでほしいと思います。

3 吉田拓郎コンサート

この間、吉田拓郎コンサートに行きました。中学から憧れていた人の生歌が聴けてよかったです。また会場の中は、車いすの席の床が高くて、他の客が立ち上がっても、ステージはよく見えました。企画者側の気配りが、とてもうれしいひとときでした。

4 新潟県中越地震

「新潟県中越地震」で家が崩壊し、村が水没していくのをテレビで見ました。どんなに科学技術が進歩しても、自然の驚異には勝てない無力さを、思い知らされた瞬間でした。私が気になるのは、障がい者の安否です。マスコミを通していろんな情報が入ってきますが、障がい者の情報が少ない気がします。復興には時間がかかり大変だと思いますが、被災に遭われた方たちが、元の生活に早く戻れることを私は祈っています。

5 「ありのまま自立奨励賞」

5月に、仙台市で「ありのまま自立大賞」の授賞式があり、私は「自立奨励賞」を頂きました。会場には、母と姉が私に内緒で来ていて驚きましたが、母のうれしそうな顔を見て私は、これからも自分らしくマイペースで生きていこうと思いました。