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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2004年12月号

工夫いろいろエンジョイライフ

実用編 ●洗顔する時の工夫、他●

提案:小林聖司 イラスト:はんだみちこ

小林聖司(こばやしせいじ)さん

障害は進行性筋ジストロフィー症(デュシェンヌ型)の一種一級で、電動車いすを使用しています。現在は、介助者を24時間2交代で入れながら一人暮らしをしていて、自立生活センターくれぱすで機関誌の編集をやっています。


洗顔する時の工夫

私の部屋の間取りは2DKでトイレと風呂は別ですが、洗面台が風呂場にあるため、そこで洗顔することができません。今回は洗面台を使わずに洗顔する方法を紹介したいと思います。介助者に洗顔をしてもらう私の場合、まずテーブルにフェイスタオルを用意しておき、次にゴミ袋を首にかけます。このゴミ袋は市販の物です。なぜゴミ袋かというと、取っ手の部分で首を縛るとそれがフィットして水の侵入が防げるのと、安くて使い捨てができるので経済的だからです。見栄えは良くないかもしれませんが、私の洗顔には最適です。ゴミ袋を首にかける時に、緩く縛ると水が入って服が濡れてしまい、またきつく縛ると苦しいので程よいきつさで縛ります。次に洗面器にお湯を入れて洗顔します。終わったら顔を流すのですが、一回だけでは顔の汚れが落ちきらないので、お湯を替えてもう一度流します。最後に顔を拭いて終わりです。多少の手間がかかっても洗顔するのは気持ちがいいものです。


携帯電話で通話する時の工夫

みなさんは携帯電話での通話にイヤホンマイクを使ったことはありますか? このイヤホンマイクは、比較的値段も安く、話している相手の声がよく聞こえ、どんな体勢でも自分の声を拾ってくれる高性能な物です。私は、家にいる時はよくイヤホンマイクを使っています。これまでは電話する時は自分で持ったり、介助者に持ってもらったりしていました。また私の場合、電話機を持つまでに時間がかかってしまったり、長時間持っていることができません。それに介助者に持っていてもらっても、時々、会話しやすい位置からずれてしまったり、ずっと持っていると介助者が疲れてしまうということも気になっていました。なかにはすぐ横で聞かれたくない会話もありますし。でも、イヤホンマイクを購入してからはそういったことを気にせず、気楽に会話ができます。いまや私にとってイヤホンマイクは、生活必需品となっています。まだ使っていなくて電話に不便を感じている方は、ぜひ使ってみてください。きっと役に立ちます。


歯磨きする時の工夫

私は進行性の障害のため、徐々に身体機能が低下していってしまいます。残存機能を長く保つためにはリハビリが必要ですが、普段の生活でリハビリの時間をつくることはなかなか難しいものです。そのため、自分でできることはなるべく自分でするようにして、残存機能を保つようにしています。その一つが歯磨きです。では、私が歯磨きをするときの工夫について紹介します。私の家では洗面台が風呂場にあって使えないので、テーブルの上で歯磨きをしています。この時にテーブルの上に滑り止めを敷いて、肘を立てながら歯磨きをしているのですが、普通の滑り止めは、物は滑らなくていいのですが、肘を乗せると滑ってしまいます。そこで私は網状になっている滑り止めを使っています。この滑り止めは物を置く時は不安定ですが、網状になっているため摩擦が少なく、肘を乗せたときには安定するので、腕を持ち上げることができない私にとってすごく便利な道具です。