音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2006年2月号

私のIT活用

ITのある暮らし

谷園子

「おはよう!!おかあさん今日は寒い?」「ちょっと待ってね。今インターネットで調べてみるね」

朝起きると、今日着る服装を何にするか決めるのに天気予報を調べるのがわが家の日課になっている。

「うん。今日は最高気温が10℃ないって。寒いと思うから暖かい服装をして出かけたほうがいいね」「わかった!!ありがとう」「それから午後は雨が降る確立も高いよ。傘を忘れないでね」

テレビの内容はほとんどわからないため、インターネットで情報を確実に得ることは欠かせない。

仕事へ出かける通勤途中の駅で電車を待っているとなかなか電車が来ない。どうもホームでは先ほどからアナウンスを繰り返しているようだが、何を言っているのかさっぱりわからない。

「困ったなあ仕事に遅れてしまうかも…」携帯のメール着信の振動が鳴った。「山手線 ○○駅で人身事故のため電車の運転を見合わせています」そうか…なかなか電車が来ないのはこういうことだったのか。路線の運行状況をメールで知らせてくれるサービスに入っている。このおかげで電車を待つことにも不安が少し減った。

でも災害時には役に立たない。昨年の関東での地震ではメールが全くつながらなくなってしまった。駅では繰り返しアナウンスが流れているが、聴覚障害者は全く情報が入ってこない。どこがどうなっているのか?家族は家で無事なのか?不安は募るばかり。こんな時に文字で地震の規模や震源地がわかると状況がつかめるんだけれど…。先月、デジタルTV放送が携帯で見られるものが発売になった。まだ試験放送段階だが、テレビ字幕が携帯で見られるようになると災害時に活用できるのでは、と期待している。

さて今日は職場で会議だ。聴覚障害者が3人いる職場での情報保障にはチャット機能を活用してみた。話の内容はバッチリわかるが、ついつい話が盛り上がり脱線してしまうことが欠点。きちんと話を整理して会議が成り立つようにしないといけない。しかし話の内容が100%わかるという当たり前のことが本当にうれしいことだ。職場でのパソコン活用による情報保障は、今後一般の会社でもどんどん取り入れてほしい。電話での応対もテキストに変換することができれば職場で置いてきぼりにされることもないだろう。

今日発表になった携帯の新機種には、音声認識で行きたい場所をナビしてくれるものが搭載された。まだ単語を認識する段階で、会話の内容を認識できるまでには時間がかかりそうだが、相手の話をいつでもどこでも文字で見られる時代ももうすぐだろうか?

(たにそのこ (特)東京都中途失聴・難聴者協会会員)