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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2006年8月号

工夫いろいろエンジョイライフ

実用編●引き出しがマンションに!?、他●

提案:海老原宏美 イラスト:はんだみちこ

海老原宏美(えびはらひろみ)さん

1歳半で脊髄性筋萎縮症と診断される。現在は、日常生活動作のほぼすべてが全介助。24時間に近い形でアテンダントを入れ、一人暮らしを送っている。状況によって簡易電動車いすと、電動車いすを使い分けて使用。


引き出しがマンションに!?

私は、自分の家の中の、どこに何がしまってあるか、いちいち見て確かめなくても、ほぼ記憶して把握しています。でも、それをアテンダントに一つ一つ口で説明することは大変です。特に、小物がしまってあるたくさん引出しがついているチェストは、上下どちらから何段目なのか、左右どちらから何番目なのか、説明するのは面倒です。そこで、各引き出し一つ一つに部屋番号をふりました。一番下の右から、101、102、103、下から2段目も右から201、202、203…。さらに、表札、とまではいきませんが、引き出しの右上にタックシールで「文具」「契約書類」「薬箱」…と名前をふっています。「とりあえず」という引き出しも作り、どこに閉まったらいいか分類が難しいものは「とりあえず」に入れておくことにしています。そうすることで、アテンダントには、「503の文具からレター用紙取って」と指示が簡潔に、そして明確にできるようになったと思います。


車いす用荷物台

車いすに乗るとき、自分の荷物を車いすの背中に引っ掛ける人が多くいます。しかし、それでは私は自分の荷物にパッとは手が届きません。自分の眼の届かない場所に荷物を吊るすというのも少し不安です。かといって、膝の上に置いておくのでは仕事をするにも動き回るにも邪魔になります。足元にあれば目も手も届くのですが、足の上に直接乗せると不安定だし重くて足が痛くなります。そこで、私は車いすの足元のフレームに、Fキャリーというツールを付けています。

Fキャリーは一般的に売り出されている商品で、買い物かごなどを乗せられるように2本のバーが折りたたみ式になっています。でも、ハンドバッグなど小さい荷物や、ビニール袋など柔らかい荷物は、ちょうどバーの間に落ちてしまい、Fキャリーに直接乗せることはできません。そこで、私はその上に板を渡し、そこに荷物を乗せて歩いています。こうすれば、どんな形の荷物でもすぐ足元に置けるので、手も届くし便利ですよ。


スチール缶の携帯入れ

最近は、いろんなかわいい携帯入れがありますね。でも、大抵は布製でループをベルトに吊るすような形のものです。また、折りたたみ式の携帯がほとんどなので、携帯入れも丈が短いですね。私は折りたたみ式を自力で開くことができないので、ストレートタイプの携帯を使っています。そうするとちょっとした拍子に携帯が落ちてしまいそうで怖いです。また、ズボンのポケットに入れたりベルトに通して身体に触れているわけではないので、バイブにしておいた時になかなか分かりにくいのです。

そこで、私はスチール缶を加工して長方形にし、それを両面テープで車いすのサイドに貼り付け、携帯を入れています。空き缶なので、いろんなデザインがあり、車いすの色にあったおしゃれな缶を見つけるのも楽しいし、缶なので雨に濡れても大丈夫だし、車いすにぴったりくっつけておけるので、バイブレーションがビリビリと伝わり、すぐに分かります。スチールなので頑丈でいいですよ☆