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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2007年3月号

解説1 障害者自立支援法円滑施行特別対策

厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課

障害者自立支援法は、平成18年4月に一部が施行され、平成18年10月から本格施行されました。

同法は、身体障害や知的障害に加え、精神障害も含め、三障害共通のサービス体系を設け、サービス量の拡大を進めつつ、地域移行の推進や就労支援の強化を図るなど、障害者が地域で普通に暮らせる社会の構築を目指すものであり、この改革を着実に定着させていくことが必要です。

しかしながら、今回の改革は抜本的なものであることから、法の施行にあたり、関係各方面からさまざまな意見が存在します。

こうした意見に丁寧に対応することとし、同法の目指す方向をしっかりと見据えたうえで、法の円滑な運用を図るため、3年間で1,200億円規模の特別対策を実施することとします。

障害者自立支援法円滑施行特別対策
【対策規模:1,200億円】

(1)利用者負担の更なる軽減
  (19年度、20年度予算:計240億円)

(2)事業者に対する激変緩和措置
  (18年度補正予算:計300億円)

(3)新法への移行等のための緊急的な経過措置
  (18年度補正予算:計660億円)

※(2)、(3)を実施するため、都道府県に基金を造成

(1)利用者負担の更なる軽減

現行制度での軽減措置には、次のような課題があると考えています。

1.在宅で家族と暮らしながら、通所施設に通う障害者は、家族に収入があるために、軽減措置が受けられないことが多い。

2.授産施設など工賃収入のある利用者について、工賃より利用者負担が大きいとの意見がある。

3.障害児を育てる家庭は、親も収入が少ない若年世帯が多く、家庭の負担感が大きい。

こうした課題に対応するため、さらなる軽減措置を実施します。

1 〔通所・在宅利用者〕

  1. 1割負担の上限額の引き下げ
    現行2分の1→4分の1
  2. 軽減対象世帯の拡大
    収入ベースでおおむね600万円まで拡大

2 〔障害児のいる世帯〕

  1. 1割負担の上限額の引き下げ
    現行2分の1→4分の1
    (※通所・在宅利用児童)
  2. 軽減対象世帯の拡大
    収入ベースでおおむね600万円まで拡大
    (※通所・在宅利用児童に加え、入所施設利用児童も対象)

3 〔入所利用者〕

入所施設利用の場合について、工賃が年間28.8万円(これを超えた部分の30%を含む)まで手元に残るよう、工賃控除を徹底

(2)事業者に対する激変緩和措置

事業者への報酬の支払いは、利用実績にかかわらず、一定額を月単位で支払う仕組みから、利用実績に応じて1日単位で支払う仕組みに変更し、利用者は日々のサービスを選ぶことが可能になりました。

しかしながら、報酬が日払いとなった結果、利用者が思うように確保できず減収が大きい事業者や法の施行に伴い新体系に挑戦するも保障のない新体系移行事業者もあることから、その支援を行うこととしています。

  1. 旧体系において、従前報酬の80%保障を90%保障に拡大
    (※新体系へ移行した場合にも、激変緩和として報酬の90%を保障)
  2. 利用者が通所サービスをより利用しやすくなるよう、送迎費用を助成
  3. 入所施設の利用者が入院した場合の保障措置を強化
    入院中の報酬支払い
    (現行6日分を1か月)→(8日分を最長3か月まで)

(3)新法への移行等のための緊急的な経過措置

サービス体系が抜本的に見直される中で、新たなサービス体系に直ちには移行できない事業者を経過的に支援する一方で、その移行についても丁寧に対応し、さらに、新体系サービスが始まったことに伴う需要に緊急的に支援します。

1.新法に移行するまでの経過的な支援

●新法へすぐに移行できないデイサービスや小規模作所等へ支援

2.新法へ移行するための支援

●既存施設が新法に移行する場合の改修等の支援

●グループホームの立ち上げ経費への助成 等

3.制度改正に伴う緊急的な支援

●相談支援体制の充実

●制度改正の周知徹底のための広報啓発 等

今回の特別対策に加え、障害サービスの伸びに対応できるよう、厳しい財政事情の中で、平成19年度予算案においても、障害福祉サービス関係費として、対前年度11.4%増の4,873億円を確保しています。

今後も障害サービスの一層の充実のため、必要な予算を確保するとともに、今回の特別対策を着実に実施し、引き続き、制度の定着を目指します。