「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2007年3月号
平成19年度障害保健福祉関係予算(案)の概要
平成18年度予算 8,131億円 |
平成19年度予算(案) 9,004億円 |
差引増▲減額 873億円 (対前年度比 10.7%増) |
~障害者自立支援法円滑施行特別対策~
障害者自立支援法の着実な定着を図るため、平成20年度までの特別対策として、以下の3つの柱からなるもう一段の改善策を講じる。
【特別対策の規模】1,200億円
○平成19年度、20年度当初予算対応額 | 240億円 |
1.利用者負担の更なる軽減 | |
○平成18年度補正予算計上額 | 960億円 |
2.事業者に対する激変緩和措置(300億円) 3.新法への移行等のための緊急的な経過措置(660億円) ※2、3を実施するため、都道府県に基金を造成 |
改善策の内容
1.利用者負担の更なる軽減
→負担感の大きい通所・在宅、障害児世帯を中心とした対策を実施
- 通所・在宅
1割負担の上限額の引き下げ(1/2→1/4)
軽減対象の拡大(収入ベースで概ね600万円まで)
※障害児については通所・在宅のみならず入所にも対象拡大を実施 - 入所
工賃控除の徹底(年間28.8万円まで全額控除)
2.事業者に対する激変緩和措置
→日割り化に伴い減収している通所事業者を中心とした対策を実施
- 旧体系 従前額保障の引き上げ(80%→90%)
※旧体系から新体系へ移行する場合についても90%保障の創設 - 通所事業者 送迎サービスに対する助成
3.新法への移行等のための緊急的な経過措置
→直ちには移行できない事業者の支援と法施行に伴う緊急的な支援
- 小規模作業所等に対する助成
- 移行への改修等経費、グループホーム借上げのための初度経費の助成
- 制度改正に伴うかかり増し経費への対応、広報・普及啓発 等
~平成19年度予算(案)の概要~
1 障害者の自立した地域生活を支援するための施策の推進
(1)良質な障害福祉サービスの確保 4,473億円
ホームヘルプ、グループホーム、就労移行支援事業等の障害福祉サービスについて、障害福祉計画に基づき、各市町村において推進を図る。
また、居宅で生活する障害者が通所施設やホームヘルプ等のサービスを利用する場合に、利用者負担の更なる軽減を図る。
(2)障害児施設に係る給付費等 660億円
知的障害児施設等の障害児施設において、障害のある児童に対する保護・訓練を行うために必要な経費を確保する。
また、障害児の場合、保護者など家庭の負担が大きいといった事情に配慮し、利用者負担の更なる軽減を図る。
(3)障害者に対する良質かつ適切な医療の提供 1,383億円
障害者の心身の障害の状態の軽減を図るための自立支援医療(精神通院医療、更生医療、育成医療)等を提供する。
※生活保護受給者にかかる人工透析費用について、自立支援医療(更生医療)で対応
(4)地域生活支援事業の実施 400億円
障害者のニーズを踏まえ、市町村において移動支援や地域活動支援センターなど障害者の地域生活を支援する事業を実施する。
○市町村事業
相談支援、コミュニケーション支援、日常生活用具給付等、移動支援、地域活動支援センター 等
○都道府県事業
専門性の高い相談支援、広域的支援、サービス提供者等の育成 等
(5)工賃倍増計画の推進(新規) 5億円
福祉施設で働く障害者の工賃を、平成23年度末までに現在の水準から倍増させることを目標とする「工賃倍増計画」を各都道府県が策定し、その達成のために必要な施策の促進を図る。
(6)障害者自立支援法の着実な施行の推進 88億円
○障害者保健福祉推進事業 25億円
障害者の保健福祉の推進に必要な先駆的・革新的なモデル事業に対する助成。
○障害者就労訓練設備等整備事業 24億円
既存の障害者施設等が就労移行支援等の新たな障害福祉サービスを実施するために必要な設備等を整備する場合の助成。(定額補助)
2 発達障害者支援施策の拡充 9.6億円 ※他局計上分含む。
(1)発達障害者支援開発事業の創設(新規) 5.2億円
既存の資源を活用して発達障害のある子どもの成長に沿った一貫した支援ができるよう発達障害者支援のモデル事業を実施し、発達障害者への有効な支援手法を開発・確立する。
(2)発達障害情報センター(仮称)の創設(新規) 50百万円
発達障害に関する知見を集積し、全国の発達障害者支援機関への情報提供を行うとともに、発達障害に関する情報の幅広い普及啓発活動を行うため、「発達障害情報センター(仮称)」を設置する。
(3)発達障害研修事業の充実 18百万円
発達障害施策に携わる職員に対する研修を行い、各支援現場等における対応の充実を図る。
(4)発達障害者支援センター運営事業の推進
各都道府県・指定都市に設置する発達障害者支援センターにおいて、発達障害者やその家族などに対して、相談支援、発達支援、就労支援及び情報提供などを行う。(地域生活支援事業(400億円)の内数)
(5)発達障害に関する調査研究
発達障害者のサービスニーズなどの発達障害者に係る状況の把握、診断・治療の向上のための研究を行う。
(厚生労働科学研究費「こころの健康科学研究経費(20億円)」の内数)
3 障害福祉サービス提供体制の整備 90億円 ※保護施設等の整備費分を含む。
生活介護、自立訓練、就労移行支援等の障害者の日中活動に係る事業所の整備を計画的に促進するため、社会福祉施設等施設整備費において、必要な経費を確保する。(社会・援護局一括計上)
4 障害者に係る手当等の給付 1,257億円
特別児童扶養手当、特別障害者手当等に必要な経費を確保する。
5 自殺対策を含む地域精神保健福祉施策の推進 10億円 ※他局計上分含む。
(1)自殺予防総合対策センター機能の充実をはじめとする自殺対策の推進
「自殺予防総合対策センター」の機能を充実し、総合的な自殺対策を実施する体制を整備するとともに、地域・職域において、相談体制の整備、自殺防止のための啓発、自殺問題に関する調査研究の推進などの自殺対策の充実を図る。
(2)こころの健康づくり対策の推進
思春期児童の心のケアの専門家やPTSD(心的外傷後ストレス障害)専門家の養成研修を行い、精神保健福祉センター、病院、保健所等で専門相談等を取り入れ、各機関での精神保健活動の充実を図る。
6 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に関する医療体制の整備 150億円 ※他局計上分含む。
心神喪失者等医療観察法を適切に施行するため、引き続き、指定入院医療機関の確保を図るとともに、医療従事者等の研修を行うなど医療の提供体制の整備を推進する。