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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2007年7月号

本人の暮らし、家族の暮らし

息子の成長を見守る専門家と支えあう仲間たちと共に

金子章子

今年で18歳になる長男は自閉症と最重度の知的障害を併せもっています。どちらかというと穏やかですが、小さい頃からいなくなってしまうことが多く目が離せない生活です。

4歳違いの二男の保育園のお迎えの時、車からいなくなってしまうので、ホームヘルパーをお願いすることになり、昨年度まで10年間お世話になりました。今年からは同じ方とガイドヘルパーとしておつき合いが続いています。

また、二男との時間も大切にしたいと、小学校4年生から一時入所を年に1回お願いしています。本人の気持ちを思うと後ろめたさがありましたが、親と離れて過ごすのも結構楽しいようで、「行くも良し、帰るも良し」といった様子です。息子は一時入所の経験があって、学校での宿泊学習やショートステイを楽しみにできるようになりました。

私は、地域の障害児・者を持つ親の会の代表をしていますので学校の時間外に会合も多く、送迎サービスや一時預かりをお願いしています。初めは心配ばかりでしたが、職員の方に息子の様子を過不足無く伝えるよい経験になりました。また、親の会の活動の中で、年に数回ボランティアさんと外出や宿泊を8年ほど続けているのも、障害をよくご存知でない方への伝え方の経験になるだけでなく、活動を通して息子の違う一面も知ることができて、その後の問題解決にも役立っています。

横浜には在宅障害者を支える機関があり、数区を担当する地域コーディネーターと呼ばれる方がいるのですが、その方との出会いが精神的な支えになりました。成長のどの段階でも的確にアドバイスをしてくださるので、療育センターや学校・病院と細切れになりがちの生活を一貫して見てもらえる一人の専門家がいることの大切さを感じています。

長い休みには、息子と友人たちとでドライブやカラオケを楽しんでいます。長いつき合いになる彼女たちからは、私とは違う視点で、日常生活でのアドバイスやヒントをたくさんもらえます。障害の専門家ではありませんが、友人たちがもう一人の「生活専門家」です。

予定を立てていろいろなサービスを利用することは家族として豊かな生活をするために必要ですが、どんなサービスであっても自分たちでできることはして、足りないところだけを補ってもらえることが肝心だと思います。それには客観的な提案が必要で、ずっと息子の成長を見守ってくださる専門家と、支えあう仲間を持つことだと思います。

(かねこあきこ 横浜市在住・障害児を持つ親の会代表)