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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2007年7月号

工夫いろいろエンジョイライフ

実用編●雨の日の外出について、他●

提案者:小林由起子 イラスト:はんだみちこ

小林由起子(こばやしゆきこ)さん

1975年生まれ。12歳の時に膠原病(SLE)が発病。19歳の時にSLEが原因で脳梗塞になり、右半身マヒと言語障害が残る。その後入退院を繰り返し、自宅での生活を送る。数年後ピアカウンセリングと自立生活センターに出会い、現在一人暮らしをしながらさいたま市の自立生活センターくれぱすで働く。


雨の日の外出について

車いすの人にとって雨の日の外出はとても大変です。私の場合は足にビニール袋をはいて、ポンチョをかぶって、車いすにビニールかけて、車いすにかけてある荷物をかばんにしまって……。こう書くと何てことない作業のようですが、実際にやるとなるとこれが結構時間がかかります。

歩いていた頃は雨が降ったら傘をパッと開いて終わりだったのに、なんでこんなに大変なの?!それが本音です。そこで私は、台風とか大雨でない限りは傘を差すことを発見しました。今までは傘を差したら電動車いすのレバーが操作できなかったのですが、マヒ手の右手を添えて体と右手の間で挟む方法を考案しました。しかし、いちばん問題なのは足でした。ももから下はずぶぬれになってしまいます。そこで役立つのがゴミ用ビニール袋。それも90リットル用。これをはくと、下半身も濡れずに気軽に傘を開いて出かけられますよ!


食べ物のこと

私は土、日は介助者を入れていません。そのことが大きく関係するのですが、いつも金曜日の夜は介助者に土、日2日分のやってほしいことをまとめて頼みます。

野菜や食材は買ってきたら介助者がいる時にまとめて用途に合わせて切って、それを冷凍しちゃいます。そうすると使う時に切る手間も省けるし、万が一自分だけの時も使えます。だからうちの冷凍庫はいつもぎっしりなんです。冷凍と言えば、ねぎとしょうがは用途に合わせて切り、納豆はパックのまま冷凍するととっても便利です。これはみなさんにオススメです。

料理つながりで…もう一つ私の工夫を紹介します。缶切りを使って缶詰めを開けること。これがとても難しいんです。なぜって、マヒがあるうえに、片手で抑えてないといけないから。だから開ける時は、両足の太ももに挟んで缶切りを自分側に引くようにして切ります。でも中に汁がある時は、先にちょっと汁だけ出しちゃってから開けるのがポイントですかね♪


お風呂のこと

私は右片マヒなので、体を洗う時にどうしても背中や左手が洗えません。その時に人から教えてもらったのが、市販の体を洗うナイロンタオルを2本縫い付けて輪にするということでした。そうすると片手では無理な背中も輪に手を通して、それを引っ張れば背中もちゃんと洗うことができます。これは片マヒの人ならもうご存知の方もいらっしゃると思うんですけどね…(;^^)

あとシャワーの蛇口は絶対に手元スイッチが便利です。これは普通のホームセンターに売っているものを取り付ければOKです。お湯を出したい時、止めたい時にそのつど、蛇口まで移動するのはうちのお風呂の構造上、とても大変です。だからシャワーが出る蛇口に手元で切り入りができるスイッチをつけておくと、移動が困難な人でも簡単に操作ができます。

こうして書いてみると、障害者が工夫して便利なことって、障害のない人にも便利なことで、特別なことではなく、万人に共通することなんじゃないかなぁと改めて感じました。

今回「工夫していることは?」と言われて、何を書いたらいいか分からずにいました。私たちにとっては工夫していることというよりも、日常を素敵に、気持ち良く過ごすための手段だと思うのです。