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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2008年11月号

障害当事者団体への放送バリアフリーに関するアンケート

今回、特集企画にあたり、障害当事者団体を対象にテレビやラジオのハード面・ソフト面、当事者参加などについて自由記述形式のアンケートを行いました。ご協力くださいました各団体の方々に御礼申しあげます。なお、誌面の都合上、すべての解答内容は掲載できませんでしたので、あらかじめご了承ください。(編集部)

1 テレビやラジオの使い勝手やリモコン操作等のハード面について

【リモコン操作等について】メーカーによって操作の仕方が違うし、機能が多くて分かりにくい。使いやすくしてほしい。(育成会) 全メーカーの規格統一と操作を音声対応にしてほしい。(日盲連) テレビとDVDプレイヤーのリモコンを一つにして、視覚障害者や重度障害者でも音声対応で簡単に操作できるようにしてほしい。(育成会) 手話・字幕・解説放送等への切り替えを1か所にまとめて、分かりやすく操作できるようにしてほしい。これらを基本操作画面に配置してほしい。(ろう連・全難聴) フタを開閉して行う操作は改善してほしい。(脊損連) 操作はボタン式にして、押したことが指で分かるようにしてほしい。(日盲連) リモコン操作時に画面に表示される文字の大きさを自由に変えられるように、また、文字と背景とのコントラストをはっきり表示できるようにする(たとえば、白黒反転表示など)。(盲ろう) DVDで字幕を出した状態の画面をそのまま簡単に録画できるようにしてほしい。(全難聴)

【デジタル放送化について】視覚障害者の方の対応のほか、分かりやすい使用方法への配慮等について障害当事者等を含めて検討してほしい。(日身連・日盲連)

【その他】分かりやすい解説書の作成。テレビやビデオの後ろ側にある機器の接続場所等の名称をだれでも分かるような表記にしてほしい。(育成会)

2 手話放送、字幕放送や解説放送、緊急災害時の放送などについて

障害当事者のニーズに則した放送のあり方や情報提供を検討し、改善に努めてほしい。(日身連)

【手話放送】手話放送を拡充してほしい。字幕放送では方向の説明や専門用語などすぐに理解できない面もある。また、視覚面で手話の方が全体的に見やすい。(ろう連) 手話放送のニーズを持っている人もいる。(全難聴)

【字幕放送】二重に重なる字幕もあるので重ならない工夫をしてほしい。(ろう連) 字幕が早く消えて読めない。知的障害の人たちには、言葉が難しすぎる。外来語が多い。手話の番組には字幕放送にルビがついている。他の番組の字幕にもルビをつけてほしい。(育成会) 文字の大きさ・色・背景を自分が見やすいように設定できるようにしてほしい。(盲ろう・育成会) 画面を縮小し、空いたスペースに字幕を表示できるようにする。(盲ろう) すべての政見放送に字幕全面付与ができるよう、各放送局は技術的課題の解決に努めてほしい。(全難聴)

【解説放送】それいけ! アンパンマン:子どもと一緒に楽しめた。徹子の部屋:出演者の衣服や番組の雰囲気が伝わり楽しめた。ドラマなど:映像だけの部分解説をしてくれたので、内容の意味がくみ取りやすかった。解説放送の番組は、番組内で実施していることを音声で知らせてほしい。(日盲連)

【緊急災害時の放送】文字とともに音声放送を実施する等、情報表示を改善してほしい。(日盲連) 分かりやすい情報や避難場所への避難ルートを適切に報道してほしい。(育成会) 携帯電話やパソコン等にもすぐに情報として行き渡るようにする。(盲ろう)

【その他】デジタル放送化にあたり、副音声を取り入れた音声解説放送の完全実施をしてほしい。ニュースなどでの外国語放送の通訳を音声化してほしい。(日盲連) CS障害者放送統一機構「目で聴くテレビ」とのタイアップも検討・工夫してほしい。(ろう連) 放送局によって字幕放送等にばらつきがあるので、解消してほしい。(育成会) インターネット等を通じてテレビ放送を点字で視聴できるようにする。(盲ろう)

3 番組制作の場に障害当事者が参加することへの効果など

障害当事者の視点に立った番組制作ができ、視聴者の共感が得られるだけでなく、ニーズに沿った番組放送が期待できる。(日身連・ろう連・育成会) リアリティーのある番組制作が可能になる。(日盲連・脊損連) 健常者とは違った観点からの番組制作が可能(静けさを強調するために、時計の音のみを出すなど)。(日盲連) 当事者が一番分かりやすい手話・字幕放送、解説放送を制作できる。(日盲連・ろう連・全難聴) 当事者の意見が反映できるシステムを整えてほしい。また、CMへの字幕挿入に関してスポンサーと意見交換できる場を整えてほしい。(ろう連) 障がいをもった人たちのPRや励みになる。(育成会) 盲ろう者がいかに視聴覚情報から取り残されているかを理解してもらうチャンスとなる。(盲ろう)

4 NHK受信料の免除制度について

対象範囲の拡大と適用条件が緩和されたことについては評価している。(日身連) 現行の免除制度は各自治体が決めることになっているため地域格差があるので、全国統一してほしい。(日盲連・ろう連) 受信料や免除制度があることを知らない人が多いので、制度を活用するように放送してほしい。福祉施設やグループホーム、ケアホームにも免除制度を取り入れてほしい。障害の種別や程度に関係なく、全額免除や半額免除などを取り入れてほしい。(育成会) 「視覚、聴覚障害者」のうち、身障者手帳1級または2級の者は全額免除としてほしい。(盲ろう)

5 その他の意見

テレビ放送の天気予報、問い合わせ先などで、「ご覧のとおりです」という表現をやめて、音声で読み上げてほしい。ラジオ・テレビ電波の受信困難地域の解消。(日盲連) 字幕や手話放送などの実施は大都市圏のキー局を中心に進めている状況があるが、ローカル局の事情を含めて全国統一化できるシステムが望ましい。ローカル局の字幕放送の普及率を公表してほしい。障害者権利条約の理念を放送関係の法律・規定に反映する動きが見えない。特に条約では手話を言語として規定しているが、日本では手話放送の取り組みがまだまだ弱い。(ろう連) アナウンサーの言葉のリズムをゆっくりにして分かりやすく解説してほしい。障害者本人をもっと自然な形で、出演する機会を増やしてほしい。(育成会) ドラマなどあらかじめセリフが決まっているものは、文字放送および解説放送(副音声)のデータをインターネット等を通じて入手可能なものにしてほしい。(盲ろう) 「目で聴くテレビ」や緊急災害放送を受信できる「アイ・ドラゴン」を、必要な人すべてに給付できるようにしてほしい。(全難聴)

■アンケート協力団体(7団体):日本身体障害者団体連合会、日本盲人会連合、全日本ろうあ連盟、全日本手をつなぐ育成会、全国脊髄損傷者連合会、全国盲ろう者協会、全日本難聴者・中途失聴者団体連合会