音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

  

「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2012年6月号

私のコミュニケーション保障

トーキングエイダーズの活動

トーキングエイダーズ

トーキングエイダーズとは

トーキングエイダーズ(現代表・渡辺全孝)は基本的に毎月第1・第3金曜日の午後、名古屋市昭和区にある(社福)AJU自立の家・サマリアハウスのメンバー、20代~50代の男女6人が集まり、携帯用会話補助装置(主にトーキングエイド)を使用して、主に話し合いをしているグループです。

話し合いの内容は、会話補助装置の性能や会話補助装置の理想像、福祉制度等で、季節によっては花見などの外出企画も話し合います。話し合い以外にもこれまでに、施設を訪問しての仲間づくりや第22回リハ工学カンファレンスへの参加、会話補助装置の開発モニター、そして今の時代に合った「トーキングエイド for iPad」の開発モニターを務める等、社会にメンバーの思いを伝えたり、同じ障害のある人とつながりを持つための活動を積極的に行ってきました。

最近の大きな活動としては、昨年10月に厚生労働省へ「携帯用会話補助装置の取り扱いについて」の要望書を2851筆の署名とともに提出し、担当官と話し合いをしました。過去にも2回、厚生労働省へ要望活動を行いましたが、遅々として制度が進まないため、今回も過去とほぼ同じ次の要望を伝えました。

1.言語障害者にとっての携帯用会話補助装置を「意思疎通の手段」として認めてほしい。

2.学齢期におけるコミュニケーションを保障してほしい。

3.補装具としての位置づけと、施設入所者にも認められる個別給付化。

4.携帯用会話補助装置を補装具にしてほしい。

5.携帯用会話補助装置の耐用年数を5年から3年にしてほしい。

そしてメンバーは、「しゃべれない私たちは、学校生活で先生とも友達ともコミュニケーションが図れず、人として子ども時代に学習すべきことを体験する機会を奪われていました。しゃべれない=分かっていないと誤解され、苦い経験もしてきたし、ストレスに感じてきました」「私たちにとって、コミュニケーション機器は大切な口です。しかし、施設に入所している人には支給が認められておらず、意志を伝えられないことから勝手に決められている友達がたくさんいます。同じ人間なのに、他の人に言いたいことを伝えられないことは、残念で仕方がありません」といったことを強く訴えました。それに対し、担当官からは、改正された障害者基本法や新法の中で改善を図っていきたいとの回答がありました。

最近も会話補助装置の性能について、ソーラーシステムを使った充電ができるといいといったアイデアも出てきており、まだまだ話し合いの中で新しい考えが生まれています。先の要望も含めた会話補助装置に関する福祉制度の充実や性能のアップを目指して、今後も活動を続けていきます。

メンバーの生の声(20代、男性)

私は、脳性マヒアテトーゼ型(座位・立位不能、言語障害3級)、生まれつきの障害をもっています。手足も思うように動かせず、特殊な電動車いすに乗って毎日過ごしています。幼い頃は、目線や文字盤を使い、家族や先生に意思伝達をしてきました。しかし、年齢が上がるにつれて関わる人が増えていき、現在は、主にスキャンの携帯やファンコムのレッツチャット、透明な文字盤を使用し、コミュニケーションをとっています。

友達と2人でのお喋りやヘルパーさん、職員さんに意思伝達する時は携帯や透明な文字盤、複数の仲間とのお喋りやトーキングエイダーズ、事業所との話し合いにはレッツチャットと使い分けています。使い分けをしている理由は、レッツチャットは左膝のスイッチで操作していて、スキャンなので時間がかかるからです。文字を選択するたびに点灯が点滅に変わります。その点滅の時間がもったいなく、少しイライラします。私は点滅しなくてよいのですが、そういう設定がありません。文章を打ち終わるまで遅いのですが、レッツチャットは発音してくれるので保存機能を利用しながら使っています。しかし、発音の性能が悪く音量も小さいので、慣れていない人は聞き取れないので文字が出ている画面をのぞいてもらっています。

また、文字数の制限があり、長文を1回で読み上げてくれないので、スピーチ等の時はパソコンで打って印刷して、仕方なく代読してもらっています。「?」や小文字の「あ行」を打っても、発音の高低が変わらず、テンションに合わせて発音してくれないので、不便を感じます。特に、友達と喋る時です。友達は非常にテンションが上がっているのに、私は棒読みのように喋って、寂しく感じます。携帯なら絵文字や矢印が使えるので、相手にどういうテンションで喋っているのかが分かり、より楽しい会話ができます。

もう一つ、天気の良い日に外で使うと、周りが明るくスキャンしている点灯が全く見えなくて使えません。私はイベント好きなので、休日も外出し、仲間や初対面の人ともよく話します。仕方がないので外出の時は、携帯の送信画面を利用してコミュニケーションをとっています。その方法だと、相手に画面を見てもらう手間がかかり、人によっては苦痛に感じるのではないかと思っています。それに賑やかな所では、レッツチャットの発音が聞こえにくく、携帯で打って会話しています。

最後に、充電の表示がないので、どの程度使ったら充電がなくなるのかが分かりません。なので、よく使う日の前日に充電をしていますが、充電のもちが心配です。レッツチャットを使っていますが、以上のことよりかなり不便を感じています。