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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2013年12月号

工夫いろいろエンジョイライフ

実用編●スクリーンキーボードの活用、他●

提案者:中島祐治 イラスト:はんだみちこ

中島祐治(なかじまゆうじ)さん

現在59歳。17歳の時に交通事故で頚椎損傷に。首から下の神経がマヒした寝たきりの重度障害者。頚椎損傷連絡会の立ち上げ当初のメンバー。ずっと東大阪市で家族と共に生活してきたが、今回、母親の手術を機に「自立支援センターぱあとなぁ」と関わりができた。多趣味多芸で絵画や創作活動に精通。毎年、盆と正月に自主制作誌「瓦版ゆうじ」を発行している。


スクリーンキーボードの活用

私にとってパソコンは、社会の情報を得る手段であり、コミュニケーションの利用など、重要なアイテムです。座ることもなく横になったままなので、キーボードのキーボタンは全く見えず、そのためにキーを押すことができなかったのですが、パソコンの「スクリーンキーボード」機能を利用してからは不便さを感じずに使っています。

モニター画面にキーボードがそのままに出てくるので、後は必要な文字をマウスでクリックするだけです。メールやインターネットの検索もやっており、今では生活の必需品となっています。

今、私のベッドテーブルの上はパソコンのモニター画面だけなので健常者には不思議なパソコンですが、テーブルが広く使え、食事などの際は食器も並べやすく、とても便利だと思います。


手作り簡易尿器

私は車いすで外出する時は、いつもセカンドバッグを一つだけ持って出かけています。バッグの中には、財布と携帯電話と簡易尿器が入っています。

簡易尿器は、手作りで小さなプラスチックなどの筒を利用したものです。筒が無ければ、プラスチックのコップや紙コップの底に穴を開けてもいいと思います。その筒の片方に小さなビニール袋をかぶせ、それを輪ゴムで留めただけのものです。

このままバッグの中に収納するにはちょっと不潔感もあるので、私はハンドタオルに包んでいます。排尿時は、バッグから簡易尿器を取り出して筒に排尿。ビニール袋にたまった尿は、後でトイレに捨てるようにしています。これだと衛生的にも良く、小さくてコンパクトで、外出時には便利なものになっています。

排尿の我慢ができない時にも、人影のないところでそっと隠れてして、ビニール袋の口を縛っておけば臭いもせず、いつでも捨てることができるので便利です。外出時の私の必需品になっています。


天がいのロープの輪

私のベッドは四隅に水道パイプを利用した天がいのやぐらを組んでいます。初めての人にはちょっと異様な感じもするベッドですが、利用価値は大きいです。

そのやぐら上から2本の太めのロープが輪になって垂れ下がっています。このロープが寝たきりの私にはとても便利なものになっているのです。右のロープに左手をかけ、力を込めて引き寄せれば、右側に体位変換がしやすくなり、それにより介護者の方も力が少なくて済むので喜ばれています。左側に体位を変える時には、反対の動作を同様に行います。

また、衣服の着脱もロープを使用すると便利です。両手の肘にロープの輪を通し、ぶら下がるようにすれば背中を浮かすことができ、床ずれの予防にもなっているようです。手を掛ける部分は、ロープのままでは少し痛く、肌をすりむいたりすることもあるので、私は、クッション代わりに包帯を巻いて使用しています。