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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2014年1月号

新春メッセージ

日本の条約批准と障害者団体への期待

元国連障害者権利条約特別委員会議長 ドン・マッケイ

ノーマライゼーション誌を通じてこのメッセージを皆さんにお届けできることを大変光栄に思います。日本が障害者権利条約の批准という重要な一歩を踏み出し、条約実施に関する今後の行動に目を向けている今、これは特にタイムリーなメッセージとなるでしょう。2013年12月4日、条約批准を承認する議案が国会で可決されたというニュースは、世界中の人々に歓迎されました。

私にとって日本の条約批准は大いに喜ばしく、また意義深いものです。日本の政府と障害者団体の代表は、条約交渉に積極的な役割を果たしました。日本の障害者団体の皆さんは、新たな条約策定に向けた作業に貴重な貢献をされ、その友情と助言を私は非常に高く評価しました。また私は、特別委員会議長として、日本の皆さんの思いやりと思慮に富んだ貢献は期待できると、常々思っていました。

当然、日本の障害者団体の皆さんは権利条約採択のずっと以前に、その重要な作業を始め、障害のある人々の支援に多大な貢献を果たしてきました。また、日本国内のみならず、他のアジア太平洋地域の障害のある人々にも手を差し伸べてきました。このように日本の障害者団体の活動は、権利条約で採用されているテーマやアプローチときわめて一致しています。今、皆さんが、日本の条約批准を受けて、次の段階の活動へと期待を寄せているのはもっともなことです。

日本の障害者団体の皆さんが権利条約の批准を促進するために、他機関と連携して取り組んできたことを知り、うれしく思います。権利条約交渉のプロセスから得られた重要な教訓の一つは、障害者団体が総力を結集し協力することで、大きな強みが得られるということです。実際、それがなければ今日の条約は存在しなかったでしょう。

私たち全員にとって今の課題は、条約の効果的な実施の確保です。2006年12月13日の国連での採択は、単なる国際交渉の終結ではなく、効果的な実施の確保という新しい重要な旅への出発点と考えなければなりません。

国際条約の効果を上げるには、批准国による効果的かつ完全な実施が必要です。さもなければ、それは単に美辞麗句を並べた文書でしかなくなる危険があります。

日本の障害者団体の皆さんが献身的かつ積極的に日本政府と協力することで、条約で確立された高い水準が、必ずや日本で満たされるものと確信しています。この重要な取り組みに携わる方々のご成功を心からお祈りしています。