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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2015年11月号

列島縦断ネットワーキング【神奈川】

リハビリテーションスポーツクラブ「にこにこ会」の活動

岩﨑捷利

リハビリ教室の卒業生たちが立ち上げ

リハビリテーションスポーツクラブ「にこにこ会」は、平成8(1996)年4月に横浜市鶴見区高齢・障害支援課が主催していた、脳卒中者を対象としたリハビリ教室の卒業生たちが、リハビリ教室を卒業した後も、リハビリを継続的に行いたいと仲間たちが集まってつくりました。「にこにこ会」という名称は、リハビリ教室を主催していた区役所の担当者が、これからも仲間の人たちがリハビリの時だけでなく、いつもにこにこ笑顔でいられるように、と命名していただきました。

現在は副会長で初代会長の山﨑哲郎は、現バレーボールピンク監督の岡村富子さんたちと相談して、リハビリにローリングバレーボールを取り入れることにしました。当時、すでに神奈川県藤沢市でやっていたローリングバレーボールを見学に行き、さっそく取り入れて、鶴見スポーツセンターで練習を始めました。

障害に関係なく誰でも参加できるローリングバレーボール

私たちの会の活動場所は、横浜市鶴見スポーツセンターです。毎週木曜日に2時間の練習をしています。

活動の中心はローリングバレーボールです。ローリングバレーボールは身体に障害のある人が楽しめるバレーボールです。もともとは、視覚障害者の「フロアバレーボール」を身体障害の方も楽しめるように改良したのが始まりだそうです。

特徴は、ボールを床に転がし、ネットを挟(はさ)んで競技するので選手同士の接触もなく、また座位をとっているので、転倒などの危険性の少ない安全なスポーツです。障害のない人も参加できる、誰もが楽しめるバリアフリースポーツです。

練習では、対戦相手に事欠かないようにと、最近は健常者だけでチーム編成ができる人数をマロニエ代表の小林忠男さんが毎回連れて来てくれます。私たちのチームが力をつけた一因は、そのおかげではないかと思っています。また、若いキャプテンの藤田健二の指導の下で最近は、みんなが強い球が飛んで来ても受け止めようとする姿勢がリハビリ向上につながっていることは明らかです。

藤田がにこにこ会に来てから、ここ1、2年でチームプレーとしての動きもすごく上達しました。最近、入会された方の身体の回復力の早さに、お医者さんから「これは絶対にリハビリの効果です」と言われたそうです。

さらに活発になっている活動

当会は、鶴見区内のあらゆる障害者と健常者がスポーツを媒体として、機能回復訓練や仲間との情報交換、交流、研修を行い相互に努力し、特に社会(職場)復帰を図ることを最大の目的としています

機能訓練として、ローリングバレーボールのほかにボッチャやグラウンドゴルフなどのスポーツを取り入れて各大会にも積極的に出場しています。このほか、中途障害者のスポーツ普及活動も行なっています。

ほかの団体や障害をもたれた個人の方にも積極的に声をかけて交流しています。特に、毎年行なっている研修旅行は徐々に参加者が増えてきて、グラウンドゴルフやボッチャ大会にも一緒に出場するようになってきています。

今では、区外から参加している女性たちの中には、1時間半以上かけてプレーするのを楽しみに参加しているメンバーもいます。

当会の女性エースでもある小林麻衣子(通称:麻衣ちゃん)も区外から参加しています。麻衣ちゃんは三十代半ばですが、仲間というよりは、自分たちの子どもよりも若いので会のアイドル的存在です。車椅子を使っていますが、結婚を機に一度脱会し、その後落ち着いてからまた戻って来て、一緒に活動しています。

麻衣ちゃんはたまに交流会などに行く時には、杖2本だけで歩いて来る時もあるくらいに回復しました。横浜ラポールでの水泳とローリングバレーボールの成果で、明らかに目に見えるほどの回復ぶりです。

また年1回、地元の地区センターで7月の海の日に開催しているこども祭りでのローリングバレーボール教室は大変好評です。

キャプテンの藤田は、日頃から横浜ラポールなどで子どもたちにショートテニスを教えているので、子どもたちの扱いも慣れています。また、ここの地区センターには以前、会員だった矢野珠美さんが勤務していて、進行役を引き受けてくれています。子どもたちはルールを守ったり、パスをするより打ち返すことに夢中になってしまいますが、子どもたちに少しでもローリングバレーボールを知ってもらうことが目的なので、教室を続けています。

出場を続けて17年。悲願の初優勝!

神奈川県内では年2回、ローリングバレーボール大会が開催されています。今年6月に開催された神奈川県ローリングバレーボール協会(当団体が加盟)主催の神奈川交流大会では、兵庫から参加した選抜チームにまたも連覇されて、私たちの会は準優勝でした。

しかし、今年9月に開催された第26回神奈川県ローリングバレーボール大会は、施設協会主催ですが、初優勝することができました。17年連続出場で、Aブロックでにこにこ会は、八十島清隆監督率いる江の島バナナボーイズを撃破して、悲願の初優勝をすることができました。

キャプテンの藤田が中心となり、年配のベテランプレーヤーたちを上手く楽しませながらプレーさせてくれて、一緒に勝利の喜びを分かち合うことができました。大会後の練習の時に、藤田から「これからますますリハビリに精を出して連覇できるように頑張っていきましょう」と来年に向けて宣言がありました。

今回の大会では、メンバーに少しでも試合に出場して楽しんでもらおうと、AブロックのほかにBブロックにも1チームがエントリーしました。結果は準優勝でしたが、楽しんでもらえたので、エントリーしてよかったと思っています。

その他の活動

その他の活動は、神奈川県下の障害者フェスティバルに招かれて、ローリングバレーボールのデモンストレーションや、年2回、夏と冬に開催される大会に向けた審判講習会の開催、藤沢市みらい創造財団主催のふれあいスポーツ交流会では、ローリングバレーボールを一般健常者の方々と楽しんでいます。

今後の展望は、地域の障害者に積極的に参加してもらい、ローリングバレーボールを体験して楽しさを実感してもらいたいと考えています。地元のふれあい伝言板や町会の伝言板に活動内容や活動日のチラシを貼らせてもらっていますが、土・日はスポーツセンターの都合で使用できないのが課題です。ローリングバレーボールに興味のある方、一緒に楽しみましょう。

(いわさきしょうり リハビリテーションスポーツクラブ「にこにこ会」会長)