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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2017年12月号

第4次基本計画 分野別の評価

自立した生活の支援・意思決定支援の推進
障害児支援(医療的ケアの必要な子どもたちの支援)

中畑忠久

法律・施策・制度が実態や現状に追いついていません。

新生児医療進歩で小さな幼い命が救われ、今日よく『医療的ケア児』ということを見聞きします。2016年6月に「障害者総合支援法・児童福祉法の一部を改正する法律」で医療的ケア〈以下:医ケア〉が必要な子どもたち(誕生から18歳まで)や家族を支える政策がほんのわずかできました。現状に即して、終末まで含めたライフステージに基づいた施策や制度になっていません(18歳以降、65歳介護保険移行、重度心身障害児者と言われる以外の医ケア必要な人たち(谷間)含め)。

「医ケア」という言葉が使われ始めたのは医療現場ではなく教育現場です。1990年〈違法性阻却〉と言われ、自宅で家族以外の介護者が生活援助としての医療行為が行われ、その板挟みの中で生まれたのが「医ケア」という概念や言葉です。生活援助を重視し医療職による行為と区別するために介護や教育の現場で定着。2012年介護保険法等が改正され『喀痰吸引等研修制度』(第3号研修)が誕生。これによって福祉や教育の現場で介護職や教員にも医ケアの一部に許可されました(5行為)。

しかし、医ケアを必要とする人たちや家族の豊かな生活を保障するには多くの課題も残っています。(1)在宅移行期:NICU等から在宅移行など小児在宅医療基盤。(2)就学前:保育所・幼稚園、発達支援センターでの医ケアを必要とする子どもたちの入所や支援体制。(3)就学期1就学先校の選択、普通校への就学と医ケア保障、学校看護師(雇用確保・条件や身分保障、研修体制)。(4)就学期2送迎・付添い・待機(通学や学校行事)、放課後や週末や長期休業中などのライフサイクルに合わせた保障。(5)支援学校卒業後の豊かな生活や暮らしの場の保障、医ケアを必要とする人たちや家族の支援体制(全国どこでも同じサービス提供)。(6)「第3号研修制度」充実。医療ケアを必要とする人たちが利用する現場(福祉・教育)でどう拡大充実させるのか(情報全国共有化、スキルアップ、研修テキスト改正、研修費補助、受講職員代替措置)。

医ケアが必要人たちや家族が、当たり前に豊かで安心・快適に暮らせる「共生社会」の実現を。ライフステージに基づき、どんなに重い障害をもっていても当事者と家族の願いや想いに寄り添い、最高の笑顔と限りない発達保障を。

医療・教育・福祉・行政(横断体制)など多職種連携や「障害者自立支援協議会」の機能と責務を活(い)かし『障害者基本計画や障害福祉計画(障害児福祉計画)』を自治体で論議具体化されること。第3号研修と重度訪問介護や生活介護や意思決定支援などを組み合わせた『日本型パーソナル・アシスタンス制度』創設などが実現できればと私たち医療的ケアネットは願っています。

(なかはたただひさ NPO法人医療的ケアネット理事)