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「JANNET NEWS LETTER」
(January 2002 第32号)
障害分野NGO連絡会(JANNET)発行

描き出された「社会統合」と「ポスト十年」への青写真

~「アジア太平洋障害者の十年」キャンペーン2001ハノイ会議開催~

社会福祉法人日本身体障害者団体連合会
(中央障害者社会参加推進センター)事務局
稲垣 宏樹

2001年12月11日から13日までの3日間、アジア太平洋障害者の十年推進NGO 会議(RNNキャンペーン2001ハノイ会議)がベトナム・ハノイ市で盛大に開催された。参加者総数は1759人に達し、発展著しいベトナムを象徴するような活気に満ちた会議となった。日本からの参加者も201名と、200名の大台を突破。まさに2002年会議のホスト国となる日本の同会議への熱意と関心の高さを示すもので、日本国内の最終年フォーラム推進キャンペーン活動にも大きな弾みとなろう。

アジア太平洋域内各国の障害者施策の格差是正などを図るため1993年から行われてきた「アジア太平洋障害者の十年(以下「アジア太平洋十年」という)」も、2001年で9年目を迎えた。今回の会議のメインテーマに掲げられたのが「障害者の社会統合の推進」。12月12日・13日の分科会では、「啓蒙」「教育」「雇用」「バリアフリー」など11テーマが用意され、各分科会で「社会統合」の視点を加味した検討がなされたが、障害者が住む地域、とくに小地域内での施策の必要性を訴える声がしばしば聞かれた。今回の会議を通し、国レベルでの障害者施策を進めるだけでなく、地域社会(コミュニティ)への統合を併せて実行することが大切であるという認識を共有できた。このことは、今後の運動展開に向けた大きな収穫と言える。

また、「アジア太平洋十年」の成果と2003年以降のいわゆる‘ポスト十年’の運動方法も、大きなテーマのひとつとなった。現時点で不十分な域内各国の障害者施策の充実と「人権保障」の視点からのアプローチを図る必要があるとの見方から、2003年以降の「アジア太平洋十年」継続を求める提案が、八代英太衆議院議員ほか各国の参加者より提起された。

3日間の会議の成果は、最終日の共同声明ハノイ宣言決議・採択という形で結実した。ハノイ宣言は、「障害者の権利条約の制定」、「アジア太平洋十年の延長」、「地域レベルでの障害者活動体制・施策の整備」などの最重要課題への取り組みを、国連または政府、関係団体、すべての障害当事者に働きかけ、社会統合への支援を要請していく内容となっている。

今回のハノイ会議は、ことし日本で開催される最終年記念フォーラム、2003年以降のポスト十年へのビジョンを鮮明に描き出した。21世紀のアジア太平洋における障害者運動発展への橋渡しとなる、極めて意義深く実り多い会議となった。