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障害者も参加する防災アジア太平洋会議(仙台会議):知識を通じて固定観念を変えよう」

2014年4月22-23日
日本 仙台

アジア太平洋における、レジリエンス(回復力)に富む、インクルーシブで公平な社会のための、障害インクルーシブな災害リスク軽減を促進する仙台宣言

我々、災害リスク軽減および障害のある人々の権利に関連する分野にかかわりのある、障害のある者、政策立案者、実務家および権利擁護者は、2014年4月22-23日、日本の仙台市で開催された「障害者も参加する防災アジア太平洋会議(仙台会議):知識を通じて固定観念を変えよう」に集い、災害リスク軽減に関する議論において、障害を社会的弱者集団のカテゴリー内で限定的に扱う傾向が広まりつつあることに対する懸念を共有することで意見の一致を見、

障害が分野横断的開発課題であることを認め、

障害者権利条約および「アジア太平洋障害者の『権利を実現する』インチョン戦略」の精神と目的を再確認し、

「災害リスク軽減」および「災害リスク管理」という言葉が、多くのステークホルダーによって同じ意味で使用されていること、ならびに、本文書では「災害リスク軽減」は、「兵庫行動枠組2005-2015:災害に強い国、コミュニティの構築」に即して使用されていることを認め、

さらに、災害リスク軽減に関する包括的・概念的アプローチ、政策および実践の深化と前進への、国際連合アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)加盟国による積極的な貢献を認め、

2015年3月14-18日に日本の仙台市で開催される第3回国連防災世界会議を主催する日本政府の指導力を高く評価し、

災害リスク軽減と障害のある人々の権利の促進に関する、市民社会団体の貴重な洞察と時宜を得た行動を認め、

国際連合国際防災戦略事務局(UNISDR)によって2013年に実施された、障害と共に生きる人々を対象とした、これらの人々の災害への対処方法に関する史上初の世界的規模のオンライン調査を高く評価し、

ESCAP、国際リハビリテーション協会および日本財団による、「障害者も参加する防災アジア太平洋会議(仙台会議):知識を通じて固定観念を変えよう」の、時宜を得た共同開催を歓迎し、

さらに、世界的な議論において、災害を、正常に機能している諸経済に対する外部からの衝撃であるとする見方から、開発に内在し、災害リスクを発生させ、蓄積させる、根本的なリスク要因の発現であるとする見方へと、重点が移行しつつあることを歓迎し、

アジア太平洋地域の人々、地域社会および国々は、北米やヨーロッパと比べて30倍も災害の影響を受ける可能性が高いという事実に懸念を表明し、

また、最近の日本のデータによれば、障害のある人の死亡率は障害のない人に比べて2倍から4倍高くなる可能性があり、この地域では、未曽有のペースで進む高齢化と、ライフスタイルの変化、および慢性疾患有病率の上昇などの多くの要因により、現在6億5千万人と推定される障害のある人々のさらなる増加が予想されることから、この差が拡大すると見込まれるという指摘にも懸念を表明し、

さらに、災害は身体的および心理社会的機能障害を引き起こし、それがさまざまな障壁との相互作用により、特に障害のある人々とその家族の、社会における経済的および社会的参加を損なうという懸念を表明し、

それゆえ、我々は、2014年の災害リスク管理に関する太平洋プラットフォーム(2014年6月2-4日、スヴァ)と第6回アジア防災閣僚会議(2014年6月22-26日、バンコク)によってもたらされる機会の活用などを通じて、2015年以降の災害リスク軽減枠組に、障害の視点を明白かつ体系的に含めることを達成するために、一致団結して努力することを約束し、この目的のために、以下の要素を用いる。

A.主要メッセージ
B.災害リスク軽減に障害を含めるための具体的行動
C.障害インクルーシブな災害リスク軽減のための戦略的行動

A.主要メッセージ

1.災害リスク軽減に障害を含めることは、レジリエンス(回復力)に富む、インクルーシブで公平な社会の創造に極めて重要である。

2.災害リスク軽減のあらゆる段階と意思決定プロセスに、障害のある少年少女および男女とその組織が公平に関与することは、すべての人の有意義な参加の前提条件である。地域社会は、レジリエンス(回復力)の強化において、障害のある人々の知識と技能から利益を得るであろう。

(a)障害インクルーシブな災害リスク軽減は、障害のある人々のレジリエンス(回復力)と生存可能性を最大限に高める。

障害の視点を災害リスク軽減のあらゆる段階、特に防災に統合することにより、障害のある人々とその支援者は、災害関連情報および知識へのアクセス、リスク評価、計画立案、さらには防災訓練および障害に対する意識を高める実習、災害への対応および復興のプロセスへの参加が可能となる。

(b)障害インクルーシブな災害リスク軽減は、地域社会のすべての人のレジリエンス(回復力)と生存可能性を高め、損害と損失を最小限に抑える。

ユニバーサルデザインの原則を取り入れたインフラストラクチャーの開発への投資は、障害のある人々が利用可能な物理的環境と情報環境、公共交通機関および関連サービスを生み出す。そのような環境およびサービスのアクセシビリティと利用可能性は、すべての市民の安全、容易なコミュニケーション、対応と移動のための諸条件を強化する。

B.災害リスク軽減に障害を含めるための具体的行動

1.国家政府および地方自治体は、障害者団体およびその他の市民社会団体の支援を得つつ、以下を含む行動を通じて、障害インクルーシブな災害リスク軽減の義務付けと実施を確保するために、複数の省庁、複数の部門および複数のレベルによる協調と協力を促進しなければならない。

(a)障害インクルーシブな災害リスク軽減および管理にかかわる政策、計画および戦略を、地域およびその他のレベルでの実施に向けて国レベルで策定するにあたり、障害のある人々と障害関連団体の参加を得る。

(b)災害リスク軽減のあらゆる段階において、合理的配慮と組み合わせてユニバーサルデザインの原則を適用する。この際、特に以下に留意する。一般向けのインフラストラクチャーの開発、リスク評価、防災計画の立案、防災訓練、早期警報システム、捜索救助システム、緊急避難所および仮設住宅。

(c)災害の結果機能障害を持つようになった人々を含む障害のある人々と、障害のない人々とで、死亡率と負傷率、資産の損害と損失を比較した災害統計を、少なくとも性別と年齢別にまとめる。

(d)公平でレジリエンス(回復力)のある社会の構築にかかわるパラメーターに関する、障害インクルーシブな調査研究を支援する。

(e)障害インクルーシブな災害リスク軽減に関する研修のガイドラインと、これに関連した監視および評価ツールの開発などを通じて、国会議員、災害リスク軽減政策立案者および実務家を対象とした、男女がバランスよく参加する能力開発プログラムにおける障害の側面を強化する。

(f)災害リスク軽減のあらゆる段階への、障害のある人々の完全参加と貢献に向けたエンパワメントのために、地域密着型のインクルーシブな開発を強化する。

(g)アクセシブルで理解しやすいフォーマットと言語による、地域の地図と避難計画を含む情報と知識の提供を通じて、障害のある人々が十分な情報を得た上で意思決定できるようにする。

(h)災害時の生存可能性を高めるために、クラウドソーシング関連技術などの革新的な技術を利用する。

(i)財政支援、経済面のエンパワメントプログラムと、支援機器およびその長期的な保守管理と使用のための関連サービスの公平な支給などにより、社会的保護スキームを通じて、障害のある少年少女および男女を支援することを確保する。

(j)美術、ドラマおよびその他の舞台芸術などの創造的なメディアを、地域社会および集団での防災訓練に定期的に利用し、防災と災害時の対応を強化する。

(k)障害のある人々は平等な市民であり、積極的な行動主体であるという肯定的な認識を育むために、一般市民に対する啓蒙活動を、災害リスク軽減に関するものも含めて実施し、これを強化する。

(l)2015年以降の災害リスク軽減枠組とこれに関連のある法的および政策的措置を、各国語および各地方で使用されている言語で、かつ、障害のある人々が利用可能なフォーマットで普及する。

2.国際連合内外の主要な人道支援事業パートナーで構成される機関間常設委員会は、人道主義に基づく災害援助を促進するために、人道主義的政策の開発を調整するにあたり、障害インクルーシブな計画を盛り込まなければならない。

3.開発協力機関とそのパートナーである市民社会団体は、グッドプラクティス、体験および専門知識の共有を通じて、障害インクルーシブな災害リスク軽減に関する技術協力を促進しなければならない。

C.障害インクルーシブな災害リスク軽減のための戦略的行動

1.我々は、障害者権利委員会に対し、条約締約国の報告の定期的な検討において、障害者権利条約第11条の実施に注目するとともに、同条約第11条と、2015年以降の災害リスク軽減枠組および2015年以降の持続可能な開発目標に障害を盛り込むこととのつながりにも注目するよう要請する。

2.我々は、北京行動綱領の実施について20年目の再検討を行うにあたり、災害リスク軽減との関連で、障害のある少女と女性の願望と課題を主張するために、加盟国および市民社会団体と緊密に連携して取り組むことを約束する。

3.我々はまた、アジア太平洋地域において、特に「アジア太平洋障害者の『権利を実現する』インチョン戦略」の目標7「障害インクルーシブな災害リスク軽減および管理の確保」における6つの障害インクルーシブな指標の進捗状況の追跡との関連で、2015年以降の災害リスク軽減枠組の実施に関する定期的な見直しを支援することを約束する。

4.我々は、加盟国に対し、本文書に記載されている主要メッセージと具体的行動および戦略的行動を、以下に十分に反映することを確保するよう要請する。

(a)2015年以降の災害リスク軽減枠組。障害を社会的弱者集団のカテゴリーのみに限定することはせず、進捗状況に関する測定可能な指標などに、障害の視点を明白に反映する。

(b)2015年以降の持続可能な開発目標の策定と採択

日本 仙台にて
2014年4月23日
発声投票により採択


仮訳:日本障害者リハビリテーション協会

4月24日に発表された文書を原本とした。

原文:
http://www.unescapsdd.org/events/asia-pacific-meeting-disability-inclusive-disaster-risk-reduction

http://www.unescapsdd.org/files/documents/DiDRR_Outcome-document.pdf
http://www.dinf.ne.jp/doc/english/resource/sendaioutcome140424en.html