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盲老人ホームのケアサポートプラン

~ 盲老人の幸せのために ~ NO.6


〔5〕 記入要領

 1.フエースシート 視覚フエースシート
2.ケアチェックアセスメントシート
3.環境設備アセスメントシート
4.ケアサポートプラン選定シート
5.カンフアレンスシート
6.ケアサポートプランシート

1.フェースシート(様式1)

 フェースシートは利用者の状況が理解できるように在宅の状況や入所時の本人の身体的、精神的状況などの概略が記入されているもので、全盲老連として統一的に作成したものである。非常時の連絡は複数記入すべきであり、夜間の場合の連絡先が変わる場合もあり、確かめておくことが必要である。
また障害の程度、援助の状況は観察、判断する者により、また家族の場合と異なることがあるので確かめておく必要である。年1回程度の見直しが必要である。

 視覚フェースシート(様式2)

<視覚フェースシートの目的>
視覚障害者の60%以上が高齢者であり、その中で中途高齢視覚障害者の4人に1人が寝たきりとなっている現状を考えると、ADL向上を目指した、専門的知識と技術を含めたケアが必要となってきている。
ケアサポートプランは、ケアプランで見落とされている「視覚障害」によるADL障害に対してのケアを含めたものである。よって、視覚フェースシートは利用者の視覚状況を知り、さらに視覚障害によるADL障害に対し、ケアにつなげていくことを目的としている。
利用者は一人一人異なった障害状況を持っており、利用者の状況を知らずしてよいケアに結びつくとは言い難い。視覚フェースシートを通じて、利用者のADL向上と職員の視覚障害に 対しての理解向上につながることを望む。

<視覚フェースシートの記入方法>
[1] 留意点::日常視覚の評価とするため、両眼視覚とし条件も利用者の日常的な条件とする
(眼鏡を日常的に使用している場合は眼鏡装用時の視覚を評価)
[2] 方法
(1)視覚障害発症時期
視覚障害を発症した年齢を記入。失明(全盲)に至った場合は併せて記入する。
(2)視覚障害名
視覚障害に至った疾患を記入する。身障手帳、眼科カルテなどを参照する。
疾患を知ることで取るべき方向性について直接的な洞察を与えてくれる。
(3)視覚評価
総合的な視覚を評価する。該当項目に○をつける。
全盲:光が見えない  ロービジョン:光が見える以上の残存視覚を有する
(4)ロービジョン状況
ロービジョンの評価。視覚障害は視力障害に限らず様々であり、残存感覚の活用を通してADL向上に導くことも重要である。該当項目に○をつける。

<視力>
明暗程度:光の有無はわかるがものの形までは見ることができない。
りんかく程度:細かい部分は見えないがりんかく程度は見ることができる。
細かな部分:墨字など多少ものの細かい部分まで見ることができる。

<視野障害>

正常な視覚
正常

視野狭窄の視覚
視野狭窄

中心暗点の視覚
中心暗点

視野欠損(下側)の視覚
視野欠損(下側)

左眼視野の視覚右眼視野の視覚
左眼視野              右眼視野
両眼視野の視覚
両眼視野

半盲(両鼻則半盲)

<色覚障害>
色盲、色弱者は色の選別が困難であり、状況説明で色は活用できないため配慮が必要。

<特記事項>
夜盲(暗くなると見えにくくなる) 、まぶしさなど残存視覚の特徴があれば記入。

<視覚的補助具>
現在使用中の視覚補助具に○をつける。その他には義眼や眼内レンズが挙げられる。
屈折矯正用眼鏡:視力矯正用眼鏡(老眼鏡を含む)整容的眼鏡はその他に
サングラス:まぶしさを防ぐために使用している眼鏡(遮光眼鏡)
色メガネ:網膜疾患等専門的な色つきのレンズ眼鏡
ルーペ:虫メガネのように墨字を拡大するもの
単眼鏡:小さな望遠鏡。主に屋外で使用

<使用文字>
日常読み書きで(一方でも可)使用している文字に○をつける

<特記事項>
視覚障害に対して特記事項があれば記入する。
・眼科治療の有無
・視覚障害に対する心理的問題の有無
・墨字使用者の墨字の具体的な大きさなどを記入

2.ケアチェックアセスメント(様式3)

 次の要項に配慮して、ケアチェックを行って下さい。

1.ケアチェックを行う場合は、ケア指針及びケア内容を理解したうえで、アセスメントして下さい。

2.ケアチェックを行う場合は、対象である利用者の現状の状態像を判断するようにして下さい。

3.要介助状態区分総括表は、対象者の全体的な概況を把握するための参考資料として役立てて下さい。

4.ケアチェックを行う場合に、ケアレベルの記入に迷った時には、介助度高い方にチェックしてください。

5.利用者がその項目について、できると判断できても、実際に行っていなければ、できないレベルにチェックして下さい。

6.該当しない項目については、そのまま空欄でかまいません。

7.備考については、留意すべき事項を端的に記入していくことが求められます。

8.ケアサポートプランの作成には、このケアチェックアセスメントの資料が重要な基礎となりますから前述しているようなケア指針や状態区分象等を参考にしてアセスメントして下さい。

3.環境設備アセスメント(様式4)

  次の点について留意しながらアセスメントして下さい。

1.各施設での現状の環境設備面を1枚評価して下さい。これは、盲老人ホームとしての現状での施設設備機能として認識し、専門施設 設備基準に関する情報として把握して下さい。

2.各利用者についても、個別に1枚アセスメントして下さい。自立を支援するために必要な部分と、その設備環境を調整することで、生活向上のための目標として評価される部分の視点でアセスメントして下さい。

3.施設分・利用者分については、環境設備アセスメントシートの備考欄を参考にしてアセスメントして下さい。

4.各施設によって設立年、運営主体、立地条件、地域性等、様々な要素により環境設備が違います。そのような要素を考慮して、施設機能の充実につなげていって下さい。

5.各項目についての判断基準を簡単に説明しておきますので、参考にして下さい。
(1) 点字ブロック‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥点形ブロックや線形ブロックという形式の違うもの、素材や配色に種類があるもの等を場所や用途を考えれば必要度は高いといえます。
(2) 施設内点字案内図‥‥‥‥‥‥‥‥ローヒジョンの利用者にも活用できるので必要度は高いです。
(3) 誘導鈴‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥玄関や食堂や庭の目印に活用できます。共用部での必要度は高いでしょう。
(4) 転倒防止手すり‥‥‥‥‥‥‥‥転倒事故に対して予防的配慮として有効でしょう。
(5) 誘導フリッカー‥‥‥‥‥‥‥‥‥避難時の際には効果的な役割をします。
(6) カラーリング‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥視覚障害に対応する設備として、部分的にでも行うことは重要です。
(7) 音声エレベーター‥‥‥‥‥‥‥‥新規設置は準備しやすいですが、付帯設備として考えましょう。
(8) 点字ワープロ・テープ録音室‥‥‥‥付帯設備として準備されているとよいでしょう。
(9) 視覚障害者用日常生活用具展示‥‥利用者の生活面と外来者への広報に有効です。
(10) 拡大読書器・音声読書器‥‥‥‥使用方法に慣れると必要度は高いでしょう。
(11) 立体コピー機‥‥‥‥‥‥‥‥‥余暇活動にも活用できます。
(12) ルーペセット‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 利用頻度は高いので設置しておくことは大切です。
(13) デージー図書‥‥‥‥‥‥‥‥‥読書環境の充実に役立ちます。
(14) 歩行訓練士‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥リハビリテーションの観点から専門性は高いでしょう。
(15) 点訳指導員‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥専門性は高く、援助者としては必要度は高いでしょう。 
(16) 視能訓練士‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥盲老人福祉施設にとっては必要度は高いといえますが、その専門性を生かしていけるように援助方針をしっかりと考えていかなければな らない資格です。

4.ケアサポートプラン選定シート(様式5)

 1.ニーズの有無欄の記入
・ニーズを生活課題と捉えると、その構成要素は、本人の希望と本人にとっての必要性と考えられます。本人の希望は、明らかに利用者から言明があった場合にその内容を記入し、本人にとっての必要性は、職員の専門的判断から導き出されます。
・ニーズの有無については、ケアチェック・アセスメントシートの備考欄を見ながら、大区分毎に記入していきます。
・ニーズの有無については三つの記号で区分します。
◎ は緊急性のあるニーズで、本人の希望や自立支援等の観点から判断します。本人の希望と本人にとっての必要性が重なる場合に、◎で対応するか○と☆の重ね書きで対応するかは各施設で対応して下さい。
○ は明らかに利用者から言明があった本人の希望
☆ は職員の専門的判断による本人にとっての必要性
・基本的にニーズがあればできるだけ記入します。敢えて、一つとか二つに絞る必要はありません。
・なぜなら、広範に全体的に自立支援を行っていくことが、ケアサポートプランの目的だからです。

2.計画有無欄の記入
・基本的に、担当職員が自分の案として記入してカンファレンスに提出することを想定しています。当然、実施可能な計画であることが必要です。また、例えば「トイレへの定時の誘導」等、今までも実施していて今後も継続して実施していくケアについても記入 します。
・計画を立てるのであれば、 ○を記入し、具体的に何をケアとして提供するのか記入します。また、最優先に取り組む計画に◎、今後も継続して実施していく計画についてはわかりやすくする為に、施設独自で●のような印を工夫しても結構です。

3.本人のカンファレンスへの参加と承諾
・本人の承諾をどの時点で頂くか問題ですが、既にケアチェック・アセスメントシートの段階で、本人との面談を行っているものと思いますので、カンファレンスへの参加が無理であれば、カンファレンス終了後を想定します。
・選定シートの段階では、担当寮母の案であって、カンファレンスでの変更が当然考えられるからです。
・本人の承諾が得られない場合は、勿論再カンファレンスが開催されるものと思います。

4.カンファレンス開催日時
・作成日を入れてないのは、カンファレンス開催時が同時に承認を得て、ケアサポートプラン選定シートの作成日と考えられるためです。

5.カンファレンスを経て、ケアサポートプランシートヘ記入
・カンファレンスで、計画が承認されれば、より具体的にケアサポートプランシートへ転記します。いくつと言うことは想定していませんが、実行可能な判断をして下さい。
・基本的には内容欄をそのままケア診断(利用者の問題とニーズ)欄へ、対応するケア項目は「ケア内容」欄により具体的に、出来る限り5W1Hで記入して下さい。

5.カンファレンスシート(様式6、8)

 1.ケアサポートプラン選定シートを検討した結果は「カンファレンスシート」(様式6)に記入する。

2.見直し時には「再カンファレンスシート」 (様式8)を活用する。

6. ケアサポートプランシート(様式7)

 1. 「ケアの内容」では5W1Hで記入することが望ましい。

2. 「ケア診断」の欄はケアサポートプラン選定シートであげられたケア大項目とニーズをすべて記入する。

3.継続的評価欄はケース記録としても活用する。

4.ケアサポートプランは概ね3ヵ月~6ヵ月を目途に見直す。 


主題: 盲老人ホームのケアサポートプラン
76頁~83頁

発行者:本間 昭雄
全国盲老人福祉施設連絡協議会