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平成17年度 マルチメディアDAISY図書製作普及事業 総括報告書

【シンポジウム】海外で広がっている認知・知的障害者へのDAISYを含めた情報技術を用いた支援法

加藤醇子(クリニックかとう院長)

ご紹介に与かりました加藤です。
私の所はクリニックですが、別にNPO法人をつくり、主に軽度発達障害のお子さんたちの診断と指導をしております。LD、ディスレクシアのお子さんたちを中心に、あとはコミュニケーションの面の問題を持っているお子さんたちの指導などもしております。

ディスレクシアについては、教材のところでお三方が発表されました。ディスレクシアのことをあまり詳しく言っていると5分間が過ぎてしまうので言いませんが、読むことに障害があると書くことのほうがもっと大きな問題となります。

今回はDAISYということで、教材提供の方々は読みのことについて提供されたと思うのですが、読みというインプットが入らないことは、つまり記号を見てそれを音声化することが困難なのです。ところが、書くこと、つまり音声を記号に変換することはもっと大変で、最初のインプットがうまくいっていないと、そちらのほうがもっと大きな問題として出てくるのです。先ほど光村出版の読み書き指導ソフトについてご質問がありましたが、一応、書き順の指導などがあるという意味で、DAISYとは少し異なります。
読みに関しては、先ほどご討議があったようなことは考えられると思っております。これについてあまり言っていると時間がありませんので。私に与えられたテーマは、「海外における情報支援」です。私はアメリカしか知りませんので、アメリカのことに限って言います。小さい人の場合には、音韻障害や呼称スピードなどの問題があります。ですから、その辺の指導をきちんとしながら読めるようにしていくわけですが、大きくなっても、読みは大変困難です。ほかの人に比べると、スピード・量、ともに困難です。そういう中学生や高校生に対してどのような配慮が必要なのでしょうか? その配慮の基本3点が2、3年前にイェール大学小児神経学教授のシェイウィッツさんという方が書いた『Overcoming Dislexia』という本の中に、これはたぶん年内にPHPから翻訳されると思うのですが、書いてあります。細かくは言いませんが、3の録音図書の所にDAISYが入るかなと思います。そういうことが挙げられているということです。 (*加藤氏パワーポイント資料2参照)

この録音図書は、必ずしもDAISYだけではなく、以前は、録音されたテープが随分使われていました。海外では子どもが読むようなお話の録音テープが売られているのですが、日本ではまだあまりありません。むしろ、弱視の人を支援する団体が作っている、お話の本を見ながら録音を聞けるというテープがあるぐらいだと思います。ですから、DAISYはもう少し普及するといいと思います。その中で大きくなった人たちにどういうことが大事かということでアクティブ・リーディングを指導していきます。(*加藤氏パワーポイント資料3参照)

ここに書いてある”目を通す”は、まずどんなことが書いてあるか概観を知る。もしDAISYを使って物語を読むのであれば今のDAISYでいいと思うのですが、教科書を読んで勉強するとなると、DAISYには小見出しがあるのでとてもいいと思います。ただ、そこの章に何が書いてあるかということが少しあるといいのです。著作権が問題になっているかもしれませんが、教科書にその概略のようなものが少し書いてあって、それもDAISYの中に入るといいなと思います。
次の”質問に置き換えていく”これは例えば「DAISY」と書いてあるものを読むと、DAISYとは何か、DAISYの歴史とは何かと自分で考え、そのように自分で質問を作って、その答えを探すつもりで読んでいく。その答えを探して読む。
”声に出して復唱する””印、アンダーラインを付けたりメモを書く”は、例えばいまのDAISYにアンダーラインを付けることは技術的には簡単にできると思うのです。アンダーラインをした文字を拡大する、教科書を読み終わったあとで自分でチェックした大事な所だけをもう一度再生して読み上げ、それを確認していく。このようなことができるといいなと思っております。また、今後のDAISYに対しては、もう少し簡便化することが必要というのが私の提言です。もちろん、そのほかにここに書いてあるようなものが海外では支援ツールとして使われております。以上で終わりです。