6.ヨーロッパ委員会eインクルージョン・ユニット
(e-inclusion Unit, European Commission)
阿由葉 寛
平成17年3月9日(水)午前10時~12時
訪問者:寺島・川畑・小松・阿由葉・中村
対応者:Per G.BLIXT(Head of Unit eInclusion)
Francois JUNIQUE (Scientific Officer)
寺島委員長から訪問趣旨説明、各自の自己紹介の後、説明を受ける。
(1)目的・内容
障害を持つ人達のインクルージョンのためのIT技術の調査の実施
調査費用 1,300万ユーロ(約18億2000万円 €1=140円で計算)
現在、30位のプロジェクト進めており、主なものは、
高齢化問題
人権と完全参加
いかに進歩を統合して利用するか(デジタルTV)
電信、通信、放送についてのバリア
などである。
EUのすべての参加国家がこの事業に参加し貢献しなければならないが、すべての国をいかに巻き込むかが課題でもある。
それらに関する、すべてをここが中心になって行っている。
(2)eEuropの二つの大きな目的
eAccessibility:アクセスできる。
インクルーズオブコミュニケート:色々な専門家が集まってワーキンググループを作っている。
(3)アナログからデジタルに移行するときに障害者に配慮すること
①サービスへのアクセスに関して(配慮)
②機器とのインターフェースをどうしていくか
③インフォメーション(番組の情報提供)
以上について、EUとしての法律化は出来ていないが、現在ガイドラインの作成を進めている。
今までは、字幕解説方法などについての調査を中心に行ってきた。
アクセシビリティーについて、EUとして標準化したものはないが、インフォーマルな形では、ヨーロッパ障害者年から提案されてきている。
EUとして法律化する力はないが、一部からは必要性を唱えられている。
いくつかの加盟国では、障害者がプログラムに参加している。スペインではダウン症の方が出演して高い評価を得ている。聴覚障害者が出演する番組では、役者が手話を使うので、見ている人にわかるように字幕をつけるなどの配慮がされている。
デジタル放送の可能性について(主要な調査結果)
デジタル化によって、色々な可能性があるために逆に複雑になってしまうおそれ
デジタル放送のために機器の利用方法が複雑化してしまうおそれ
ガイドラインがないまま機器が発達してしまうことにどう対応するのかについては、EUの指令レベルでは配慮することになっているが、ガイドラインは無いので、それぞれの国が作ることになる。
(4)インターネットウェブのアクセシビリティーの専門家
EU加盟国をどうやって参加させるかについては、議会に提案する段階にある。その中には、皆が協調してアクセシビリティーを高めるということが示されている。
アメリカではすでに法律化されている。
カナダでもToolkitとして制度化されており、同様に制度化したいと25カ国に呼びかけているので、来年の今頃までには25カ国全体が「やるぞ」となるように働きかけている。自発的な合意を取り付けたいが、もし、出来なければ、もう一度指令として出したい。
EUでは公的機関のすべてのウェブサイトは、W3Cに沿ったウェブでなくてはいけないという合意が得られている。
2001年9月にヨーロッパ議会で合意されて最低限レベルAのアクセシビリティーを持っていなければならない。
法律化しているところもあるが、すべてではなく、各国の実施方法にまかせている。
実際達成されているかをモニタリングしているが、ガイドラインの解釈が難しい部分もあり「モニター」も難しい。
現在、いかにしてW3Cの認知を高めるのかの研究をしている(6回目)。
現在の4つのプロジェクト。
1.普及とテストするための方法論の確立
W3Cのガイドラインバージョン1からバージョン2に移行しようとしているが、まだバージョン1が充分でない国もあるのでできないでいる。
2.ヨーロッパ全体でのウェブをモニタリングシステムを作る
2段階を考えている
①自動でチェックできるもの。
②手作業で実際に障害者が確認する方法。
ガイドラインバージョン2に移行すれば、自動チェックがしやすくなる。
3.ヨーロッパ優良基準→優良マークを発行しようとしている(推進の道具として)
国によっては実施しているところもある。
4.移動端末を用いた良いアクセシビリティー(enabled)
(5)EUでは、視覚障害者は圧力が強く、聴覚障害者は必要がないようだ。認知知的障害者のアクセシビリティーを検討する必要がある。
どのようにPRしているかについては、
W3Cのカンファレンス、説明会を行っている。
政府を通して、障害者団体を通じて、WEBを通じて。
EU議会でも障害者のアクセスを高めるための協力、等々。