音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

大学・短期大学・高等専門学校における障害学生の修学支援に関する実態調査報告書

概要

□調査概要及び集計結果

①対象:大学、短期大学、高等専門学校
②調査方法:郵送配布・回収による悉皆調査(一部FAX・電子メールにて回収)
③調査期日:平成17年5月1日現在
④配布・回収状況:下表の通り

  対象校数 回答数 回収率
大学 720 647 89.9%
短期大学 332 303 91.3%
高等専門学校 63 59 93.7%
1,115 1,009 90.5%

※大学には大学院大学を含む。

□結果の概要

【注意】
①本調査の回答率は90.5%である。
②本調査における「障害学生数」は、以下の説明により回答を得た数値である。
各種手帳を有している学生数、および入学時の健康診断の際に支援等が必要と判断された学生の合計数(重複する場合は実数)。(※国公立大学・短期大学においては文部科学省に報告している数値、私立大学・短期大学においては日本私立学校振興・共済事業団に報告している数値で可)。
※そのほか、「病弱・虚弱」の注釈として「慢性の呼吸器、心臓、腎臓疾患等の状態が継続して医療・生活規制を必要とする程度の者又はこれに準ずる者。」を、「その他」の例示として「学習障害」や「障害種別不明」を挙げている。
③回答校数は1,009校であるが、同一法人が有する四年制大学と短期大学を合算して回答した大学が8校あったため、本報告における回答校数は1,001校とする。また、短期大学部は大学に合算して集計しているが、短期大学部のみの回答であったものは集計から除外した。
④「全学生数」は、「学校基本調査(平成17年度速報)」(文部科学省)における数値を使用した。同調査と本調査では調査内容等に若干の違いがあるため、本報告において「全学生数」を用いて算出した数値には、参考値であること(【参考値】)を付記した。

(1)入試時に特別な措置を行った受験者数等

  • 大学、短期大学、高等専門学校(以下「学校」という。)において、平成17年度入試(平成17年4月入学者)の際に特別な措置を行った受験者数は1,734人であった。また、合格者は632人、入学者数は527人であった。
  受験者数 合格者数 入学者数
大学(学部)、短期大学、
高等専門学校
1,677 595 492
大学院 57 37 35
1,734 632 527

(2)障害学生数

  • 学校における障害学生の在籍数は5,444人であった。全学生数(学校基本調査)に対する在籍率は0.16%【参考値】であった。
  • また、大学(短期大学を含む。)の学部(通学)に在籍する障害学生数は4,494人で、同区分の全学生数に対する在籍率は0.16%【参考値】であった。

  • 障害別の内訳をみると、視覚障害が510人(障害学生総数の9.4%)、聴覚・言語障害が1,158人(同21.3%)、肢体不自由が1,700人(同31.2%)、そのほか病弱・虚弱が1,327人(同24.4%)であった。
  • なお、「その他」の内訳については、記述があったものをみると、精神障害、発達障害(ADHD、アスペルガー症候群など)、うつ病、パニック障害、種別不明などがみられた。

  • 一校に在籍する障害学生数による階層別学校数は、1人の学校が152校(回答校全体の15.2%)、2~5人の学校が210校(同21.0%)、6~10人の学校が104校(同10.4%)、11~20人が80校(同8.0%)、21人以上が46校(同4.6%)であった。
  • また、障害学生が在籍していないと回答した学校は409校で、回答校全体の40.9%を占める。

(3)支援の申し出があり、学校が何らかの支援を行っている障害学生数

  • 障害学生のうち、学校に支援の申し出があり、それに対して学校が何らかの支援を行っている(予定を含む。以下同じ。)障害学生数は2,029人で、障害学生総数に占める割合は37.3%であった。
  • 障害種別にみると、視覚障害:63.9%、聴覚・言語障害:57.7%、肢体不自由:35.6%、病弱・虚弱:14.6%であった。

(*1)学校が何らかの支援を行っている障害学生数
=学校に支援の申し出があり、それに対して学校が何らかの支援を行っている(予定を含む。)障害学生数

(4)障害学生の修学支援に関する体制等

  • 障害学生の修学支援に関する委員会やセンターなどの専門の組織(以下、「専門の組織」という。)を設置していると回答した学校は114校(回答校全体の11.4%)であった(検討中1校を含む。)。
  • 学校に支援の申し出があり、それに対して学校が何らかの支援を行っている障害学生在籍数の階層別にみると、在籍数の多い学校ほど専門の組織を設置している比率(設置率=設置校数÷回答校数)も高くなっており、11~20人の学校で約半数、21人以上の学校では2/3の学校で専門の組織が設置されている。

  • また、障害学生の修学支援にかかわるコーディネイト業務を専門に行っているスタッフ(以下「専門スタッフという。」)を配置していると回答した学校の数は33校(回答校全体の3.3%)で、そのうちの22校(配置校全体の66.7%)に6人以上の障害学生が在籍している。

注)コーディネイト業務:障害学生と支援する学生等とのマッチング、障害学生からの相談対応など

  • 学校に支援の申し出があり、それに対して学校が何らかの支援を行っている障害学生在籍数の階層別にみると、在籍数の多い学校ほど専門スタッフを配置している比率(配置率=配置校数÷回答校数)も高い傾向にあり、11~20人の学校で約1/4、21人以上の学校では1/3の学校に専門スタッフが配置されている。

 

(5)授業保障等の実施状況

  • 授業保障の実施状況をみると、何らかの授業保障を行っていると回答した学校は206校で、回答校全体の20.6%であった。
  • また、障害学生支援にかかわる教員に対する研修などのFD活動への展開を図っている学校は31校で、同じく3.1%であった。

注)授業保障:ノートテイク(要約筆記)、手話通訳、音訳、点訳など

  • 学校に支援の申し出があり、それに対して学校が何らかの支援を行っている障害学生在籍数の階層別にみると、在籍数の多い学校ほど授業保障を実施している比率(実施率=授業保障を実施している学校数÷回答校数)も概ね高い傾向にあり、11~20人の学校で半数以上、21人以上の学校では2/3の学校で授業保障が実施されている。
  • なお、在籍数0人でも実施しているとの回答が23校あるが、これは過去に受け入れ実績がある、あるいは将来的に受け入れる予定があることなどにより、制度・仕組みとして整えられているため、このような回答があったと考えられる。

(6)施設・設備の整備状況

  • 施設・設備の整備状況は、全1,001校中785校(回答校全体の78.4%)で既に何らかの整備が行われており、今後対応する計画がある学校も282校(同28.2%)見られた。
  • なお、「すでに配慮を行っている」(78.4%)に「今後、対応する計画がある」(28.2%)を加えると100%を超えるが、これは「すでに配慮を行っている」と回答した学校の中にも、「今後、対応する計画がある」と回答した学校があり、現状でもある程度配慮を行っているが、今後さらに追加で対応する計画があるものと考えられる。
  • また、障害学生が在籍していない学校において、本設問に回答していない例が見られたため、実際の整備率は今回の調査結果(78.4%)より高い可能性がある。
  • 施設・設備の整備状況を障害学生在籍数の階層別にみると、2名以上在籍する学校ではいずれも整備率が90%を超えている。ただし、前述の通り、障害学生が在籍していない学校において、本設問に回答していない例が見られたため、実際の整備率は今回の調査結果(78.4%)より高い可能性がある。

①大学、短期大学、高等専門学校における障害学生の在籍数

  障害
学生数
(a)
全学生数
(*2)
(b)
【参考値】
在籍率
(a/b)
大学
(*1)
学部(通学) 4,494 2,829,941 0.16%
学部(通信) 583 227,166 0.26%
大学院 272 257,813 0.11%
高等専門学校 95 59,160 0.16%
5,444 3,374,080 0.16%

(*1)大学には短期大学を含む。
(*2)全学生数:「学校基本調査(平成17年度速報値)」の数値。

②障害別の内訳

  障害
学生数
構成比
視覚障害 510 9.4%
聴覚・言語障害 1,158 21.3%
肢体不自由 1,700 31.2%
重複 196 3.6%
病弱・虚弱 1,327 24.4%
その他 553 10.2%
5,444 100.0%

③一校に在籍する障害学生数による階層別学校数

  在籍する
学校数
構成比
21人以上 46 4.6%
11~20人 80 8.0%
6~10人 104 10.4%
2~5人 210 21.0%
1人 152 15.2%
0人 409 40.9%
1,001 100.0%

④支援の申し出があり、学校が何らかの支援を行っている障害学生数

  障害
学生数
(a)
学校が何らかの支援を行っている
障害学生数
(*) (b)
(b/a)
視覚障害 510 326 63.9%
聴覚・言語障害 1,158 668 57.7%
肢体不自由 1,700 606 35.6%
重複 196 68 34.7%
病弱・虚弱 1,327 194 14.6%
その他 553 167 30.2%
5,444 2,029 37.3%
(*)学校が何らかの支援を行っている障害学生数
=学校に支援の申し出があり、それに対して学校が何らかの支援を行っている(予定を含む。)障害学生数

⑤専門の組織を設置している学校数(学校に支援の申し出があり、それに対して学校が何らかの支援を行っている障害学生在籍数階層別)

  回答
校数
(a)
設置
校数
(b)
構成比 設置率
(b/a)
21人以上 9 6 5.3% 66.7%
11~20人 17 8 7.0% 47.1%
6~10人 48 14 12.3% 29.2%
2~5人 180 40 35.1% 22.2%
1人 142 21 18.4% 14.8%
0人 605 25 21.9% 4.1%
1,001 114 100.0% 11.4%

⑥専門のスタッフを配置している学校数(学校に支援の申し出があり、それに対して学校が何らかの支援を行っている障害学生在籍数階層別)

  回答
校数
(a)
配置
校数
(b)
構成比 配置率
(b/a)
21人以上 9 3 9.1% 33.3%
11~20人 17 4 12.1% 23.5%
6~10人 48 7 21.2% 14.6%
2~5人 180 12 36.4% 6.7%
1人 142 5 15.2% 3.5%
0人 605 2 6.1% 0.3%
1,001 33 100.0% 3.3%

⑦授業保障等の実施校数(学校に支援の申し出があり、それに対して学校が何らかの支援を行っている障害学生在籍数階層別)

  回答
校数
(a)
実施
校数
(b)
構成比 実施率
(b/a)
21人以上 9 6 2.9% 66.7%
11~20人 17 9 4.4% 52.9%
6~10人 48 29 14.1% 60.4%
2~5人 180 93 45.1% 51.7%
1人 142 46 22.3% 32.4%
0人 605 23 11.2% 3.8%
1,001 206 100.0% 20.6%

⑧施設・設備の既整備校数(障害学生在籍数階層別)

  回答
校数
(a)
既整備
校数
(b)
構成比 整備率
(b/a)
21人以上 46 42 5.4% 91.3%
11~20人 80 75 9.6% 93.8%
6~10人 104 97 12.4% 93.3%
2~5人 197 185 23.6% 93.9%
1人 165 124 15.8% 75.2%
0人 409 262 33.4% 64.1%
1,001 785 100.0% 78.4%