大学・短期大学・高等専門学校における障害学生の修学支援に関する実態調査報告書
本編
7.支援の申し出があり、学校が何らかの支援を行っている障害学生数
(1)課程別
- 障害学生のうち、学校に支援の申し出があり、それに対して学校が何らかの支援を行っている(予定を含む。以下同じ。)障害学生の数は2,029人で、障害学生総数に占める割合は37.3%であった。なお、学校基本調査(文部科学省)における全学生数に対する在籍率は0.06%【参考値】であった。
- また、大学(短期大学を含む。)の学部(通学)における、学校に支援の申し出があり、それに対して学校が何らかの支援を行っている障害学生数は1,719人で、同区分の全学生数に対する在籍率は0.06%【参考値】であった。
- 学校に支援の申し出があり、それに対して学校が何らかの支援を行っている障害学生の障害学生総数に占める割合を課程別にみると、大学の学部(通信)が他課程に比べて若干低くなっている。
全学生数(*1) (a) |
障害学生数 (b) |
学校が何らかの支援を行っている障害学生数(*2) (c) |
【参考値】 在籍率 (c/a) |
(c/b) | ||
---|---|---|---|---|---|---|
大学 (*3) |
学部(通学) | 2,829,941 | 4,494 | 1,719 | 0.06% | 38.3% |
学部(通信) | 227,166 | 583 | 150 | 0.07% | 25.7% | |
大学院 | 257,813 | 272 | 115 | 0.04% | 42.3% | |
高等専門学校 | 59,160 | 95 | 45 | 0.08% | 47.4% | |
計 | 3,374,080 | 5,444 | 2,029 | 0.06% | 37.3% |
(*1)全学生数:「学校基本調査(平成17年度速報値)」の数値。
(*2)学校が何らかの支援を行っている障害学生数=学校に支援の申し出があり、それに対して学校が何らかの支援を行っている(予定を含む。)障害学生数
(*3)大学には短期大学を含む。
(2)学校種別
- 学校に支援の申し出があり、それに対して学校が何らかの支援を行っている障害学生の在籍数を学校種別にみると、大学では1,612人で全学生数に占める割合は0.05%【参考値】。同じく短期大学では372人で0.15%【参考値】、高等専門学校では45人で0.08%【参考値】であった。
回答校数 | 全学生数 (*1) (a) |
障害 学生数 (b) |
学校が何らかの支援を行っている障害学生数(*2) (c) |
構成比 | 【参考値】 在籍率 (c/a) |
(c/b) | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
大学 | 647 | 3,068,790 | 4,842 | 1,612 | 79.4% | 0.05% | 33.3% |
短期大学 | 295 | 246,130 | 507 | 372 | 18.3% | 0.15% | 73.4% |
高等専門学校 | 59 | 59,160 | 95 | 45 | 2.2% | 0.08% | 47.4% |
計 | 1,001 | 3,374,080 | 5,444 | 2,029 | 100.0% | 0.06% | 37.3% |
(*1)全学生数:「学校基本調査(平成17年度速報値)」の数値。
(*2)学校が何らかの支援を行っている障害学生数=学校に支援の申し出があり、それに対して学校が何らかの支援を行っている(予定を含む。)障害学生数
(3)障害種別
- 学校に支援の申し出があり、それに対して学校が何らかの支援を行っている障害学生数を障害種別にみると、「視覚障害」が326人(全体の16.1%)、「聴覚・言語障害」が668人(同32.9%)、「肢体不自由」が606人(同29.9%)、そのほか「病弱・虚弱」が194人(同9.6%)であった。
- 学校に支援の申し出があり、それに対して学校が何らかの支援を行っている障害学生数の障害学生総数に占める割合を障害種別にみると、視覚障害:63.9%、聴覚・言語障害:57.7%、肢体不自由:35.6%、病弱・虚弱:14.6%であった。
- 視覚障害においては「盲」が73.5%、「弱視」が59.5%、また聴覚障害においては「聾」が85.9%、「難聴」が48.8%と、障害の程度による差がみられた。
障害学生数 (a) |
学校が何らかの支援を行っている障害学生数(*1) (b) | 構成比 | (b/a) | ||
---|---|---|---|---|---|
視覚障害 | 盲 | 162 | 119 | 5.9% | 73.5% |
弱視 | 348 | 207 | 10.2% | 59.5% | |
小計 | 510 | 326 | 16.1% | 63.9% | |
聴覚・言語障害 | 聾 | 298 | 256 | 12.6% | 85.9% |
難聴 | 834 | 407 | 20.1% | 48.8% | |
言語障害のみ | 26 | 5 | 0.2% | 19.2% | |
小計 | 1,158 | 668 | 32.9% | 57.7% | |
肢体不自由 | 上肢機能障害 | 314 | 70 | 3.4% | 22.3% |
下肢機能障害 | 917 | 367 | 18.1% | 40.0% | |
他の機能障害 | 469 | 169 | 8.3% | 36.0% | |
小計 | 1,700 | 606 | 29.9% | 35.6% | |
重複 | 196 | 68 | 3.4% | 34.7% | |
病弱・虚弱 | 1,327 | 194 | 9.6% | 14.6% | |
その他 | 553 | 167 | 8.2% | 30.2% | |
計 | 5,444 | 2,029 | 100.0% | 37.3% |
- (*1)学校が何らかの支援を行っている障害学生数
- =学校に支援の申し出があり、それに対して学校が何らかの支援を行っている(予定を含む。)障害学生数
(4)支援の申し出があり、学校が何らかの支援を行っている障害学生在籍数の階層別学校数
- 学校に支援の申し出があり、それに対して学校が何らかの支援を行っている障害学生数が一校に在籍する数は、1人の学校が142校(回答校全体の14.2%)、2~5人の学校が180校(同18.0%)、6~10人の学校が48校(同4.8%)、11~20人が17校(同1.7%)、21人以上が9校(同0.9%)であった。
- また、学校に支援の申し出があり、それに対して学校が何らかの支援を行っている障害学生が在籍しない学校数は605校で、回答校全体の60.4%を占める(この中にはそもそも障害学生が在籍していない学校409校(40.9%)が含まれている。)。
- 該当する学生がいないと回答した学校が全体の6割以上を占めており、過去に受け入れていた可能性はあるが、今後、支援ノウハウを持たない状況下で支援を行うこととなる学校が多いことが想定される。今後、すでに受け入れを行っている学校との連携・協力体制づくりが望まれる。
在籍校数 | 構成比 | |
---|---|---|
21人以上 | 9 | 0.9% |
11~20人 | 17 | 1.7% |
6~10人 | 48 | 4.8% |
2~5人 | 180 | 18.0% |
1人 | 142 | 14.2% |
0人 | 605 | 60.4% |
計 | 1,001 | 100.0% |
(5)学年別
- 学校に支援の申し出があり、それに対して学校が何らかの支援を行っている障害学生の在籍状況を学年別にみると、1年が564人、2年が569人、3年が476人、4年が393人となっている。
大学 | 大学院 | 高等 専門学校 |
計 | 構成比 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
学部(通学) | 学部(通信) | |||||
1年 | 502 | 12 | 35 | 15 | 564 | 27.8% |
2年 | 475 | 28 | 59 | 7 | 569 | 28.0% |
3年 | 410 | 43 | 15 | 8 | 476 | 23.5% |
4年 | 315 | 67 | 2 | 9 | 393 | 19.4% |
5年 | 10 | / | 4 | 6 | 20 | 1.0% |
6年 | 0 | / | / | / | 0 | 0.0% |
不明 | 7 | - | - | - | 7 | 0.3% |
計 | 1,719 | 150 | 115 | 45 | 2,029 | 100.0% |
※大学には短期大学を含む。
8.障害学生の修学支援に関する体制等
(1)専門の組織を設置している学校数
- 障害学生の修学支援に関する委員会やセンターなどの専門の組織(以下、「専門の組織」という)を設置していると回答した学校は114校(回答校全体の11.4%)であった(検討中1校を含む。)。
- 障害学生在籍数の階層別にみると、在籍数が多い学校ほど専門の組織を設置している比率(設置率=設置校数÷回答校数)が高くなっており、6人以上在籍している学校は設置率が20%を超えている。ただし、21人以上在籍している学校においても設置率は30%に達していない。
- 一方で、障害学生が在籍していない学校の中にも専門の組織を設置している例が14校(設置校数の12.3%)みられるが、これは過去に受け入れた実績がある、あるいは将来的に受け入れる予定があることなどが理由として考えられる。
- 学校に支援の申し出があり、それに対して学校が何らかの支援を行っている障害学生在籍数の階層別にみると、在籍数の多い学校ほど設置率も高くなっており、11~20人の学校で約半数、21人以上の学校では2/3の学校で専門の組織が設置されている。
障害学生 | 学校が何らかの支援を 行っている障害学生(*1) |
|||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
回答 校数 (a) |
設置 校数 (b) |
構成比 | 設置率 (b/a) |
回答 校数 (c) |
設置 校数 (d) |
構成比 | 設置率 (d/c) |
|
21人以上 | 46 | 13 | 11.4% | 28.3% | 9 | 6 | 5.3% | 66.7% |
11~20人 | 80 | 18 | 15.8% | 22.5% | 17 | 8 | 7.0% | 47.1% |
6~10人 | 104 | 23 | 20.2% | 22.1% | 48 | 14 | 12.3% | 29.2% |
2~5人 | 197 | 32 | 28.1% | 16.2% | 180 | 40 | 35.1% | 22.2% |
1人 | 165 | 14 | 12.3% | 8.5% | 142 | 21 | 18.4% | 14.8% |
0人 | 409 | 14 | 12.3% | 3.4% | 605 | 25 | 21.9% | 4.1% |
計 | 1,001 | 114 | 100.0% | 11.4% | 1,001 | 114 | 100.0% | 11.4% |
- (*1)学校が何らかの支援を行っている障害学生
- =学校に支援の申し出があり、それに対して学校が何らかの支援を行っている(予定を含む。)障害学生
(2)専門のスタッフを配置している学校数
- 障害学生の修学支援にかかわるコーディネイト業務を専門に行っているスタッフ(以下、「専門スタッフ」という。)を配置していると回答した学校数は33校(回答校全体の3.3%)で、そのうちの22校(配置校全体の66.7%)に6人以上の障害学生が在籍している。
注)コーディネイト業務:障害学生と支援する学生等とのマッチング、障害学生からの相談対応など
- 障害学生在籍数の階層別にみると、在籍数が多い学校ほど専門スタッフを配置している比率(配置率=配置校数÷回答校数)も概ね高くなっている。ただし、21人以上の学校でも配置率は1割を超える程度である。
- 学校に支援の申し出があり、それに対して学校が何らかの支援を行っている障害学生在籍数の階層別にみると、在籍数の多い学校ほど配置率も高い傾向にあり、11~20人の学校で約1/4、21人以上の学校では1/3の学校に専門スタッフが配置されている。
障害学生 | 学校が何らかの支援を 行っている障害学生(*1) |
|||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
回答 校数 (a) |
設置 校数 (b) |
構成比 | 設置率 (b/a) |
回答 校数 (c) |
設置 校数 (d) |
構成比 | 設置率 (d/c) |
|
21人以上 | 46 | 5 | 15.2% | 10.9% | 9 | 3 | 9.1% | 33.3% |
11~20人 | 80 | 7 | 21.2% | 8.8% | 17 | 4 | 12.1% | 23.5% |
6~10人 | 104 | 10 | 30.3% | 9.6% | 48 | 7 | 21.2% | 14.6% |
2~5人 | 197 | 9 | 27.3% | 4.6% | 180 | 12 | 36.4% | 6.7% |
1人 | 165 | 1 | 3.0% | 0.6% | 142 | 5 | 15.2% | 3.5% |
0人 | 409 | 1 | 3.0% | 0.2% | 605 | 2 | 6.1% | 0.3% |
計 | 1,001 | 33 | 100.0% | 3.3% | 1,001 | 33 | 100.0% | 3.3% |
- (*1)学校が何らかの支援を行っている障害学生
- =学校に支援の申し出があり、それに対して学校が何らかの支援を行っている(予定を含む。)障害学生数
9.授業保障等の実施状況
- 授業保障の実施状況を見ると、何らかの授業保障を行っていると回答した学校は206校で、回答校全体の20.6%であった。
- また、障害学生支援にかかわる教員に対する研修などのFD活動への展開を図っている学校は31校で、同じく3.1%であった。
注)授業保障:ノートテイク(要約筆記)、手話通訳、音訳、点訳など
- 授業保障の実施状況を障害学生在籍数の階層別にみると、概ね在籍数が多い学校ほど授業保障を実施している比率(実施率=授業保障を実施している学校数÷回答校数)も高くなっており、21人以上の学校では半数の学校で実施している。
- 学校に支援の申し出があり、それに対して学校が何らかの支援を行っている障害学生在籍数の階層別にみると、在籍数の多い学校ほど実施率も概ね高い傾向にあり、11~20人の学校で半数以上、21人以上の学校では2/3の学校で授業保障が実施されている。
- なお、在籍していないと回答した学校において授業保障を実施していると回答した学校が23校あるが、これは過去に受け入れ実績がある、あるいは将来的に受け入れる予定があることなどにより、制度・仕組みとして整えられているため、このような回答があったと考えられる。
障害学生 | 学校が何らかの支援を 行っている障害学生(*1) |
|||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
回答 校数 (a) |
実施 校数 (b) |
構成比 | 実施率 (b/a) |
回答 校数 (c) |
実施 校数 (d) |
構成比 | 実施率 (d/c) |
|
21人以上 | 46 | 23 | 11.2% | 50.0% | 9 | 6 | 2.9% | 66.7% |
11~20人 | 80 | 28 | 13.6% | 35.0% | 17 | 9 | 4.4% | 52.9% |
6~10人 | 104 | 45 | 21.8% | 43.3% | 48 | 29 | 14.1% | 60.4% |
2~5人 | 197 | 74 | 35.9% | 37.6% | 180 | 93 | 45.1% | 51.7% |
1人 | 165 | 27 | 13.1% | 16.4% | 142 | 46 | 22.3% | 32.4% |
0人 | 409 | 9 | 4.4% | 2.2% | 605 | 23 | 11.1% | 3.8% |
計 | 1,001 | 206 | 100.0% | 20.6% | 1,001 | 206 | 100.0% | 20.6% |
- (*1)学校が何らかの支援を行っている障害学生
- =学校に支援の申し出があり、それに対して学校が何らかの支援を行っている(予定を含む。)障害学生数
10.施設・設備の整備状況
- 施設・設備の整備状況は、全1,001校中785校(回答校全体の78.4%)で既に何らかの整備が行われており、今後対応する計画がある学校も282校(同28.2%)見られた。
- なお、「すでに配慮を行っている」(78.4%)に「今後、対応する計画がある」(28.2%)を加えると100%を超えるが、これは「すでに配慮を行っている」と回答した学校の中にも、「今後、対応する計画がある」と回答した学校があり、現状でもある程度配慮を行っているが、今後さらに追加で対応する計画があるものと考えられる。
- また、障害学生が在籍していない学校において、本設問に回答していない例が見られたため、実際の整備率は今回の調査結果(78.4%)より高い可能性がある。
- 施設・設備の整備状況を障害学生在籍数の階層別にみると、2人以上在籍する学校ではいずれも整備率が90%を超えている。ただし、前述の通り、障害学生が在籍していない学校において、本設問に回答していない例が見られたため、実際の整備率は今回の調査結果(78.4%)より高い可能性がある。
回答校数 (a) |
既整備 校数 (b) |
構成比 | 整備率 (b/a) |
|
---|---|---|---|---|
21人以上 | 46 | 42 | 5.4% | 91.3% |
11~20人 | 80 | 75 | 9.6% | 93.8% |
6~10人 | 104 | 97 | 12.4% | 93.3% |
2~5人 | 197 | 185 | 23.6% | 93.9% |
1人 | 165 | 124 | 15.8% | 75.2% |
0人 | 409 | 262 | 33.4% | 64.1% |
計 | 1,001 | 785 | 100.0% | 78.4% |