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約束を達成するために
アメリカにおけるメンタルヘルスケアの変革
(要旨)

目標6 メンタルヘルスケアサービス及び情報へのアクセスに技術が利用される

変革後のメンタルヘルスシステムでは、高度の情報通信技術により利用者とその家族の状況が改善される。またこのような技術は、サービス提供者が最善のケアを提供するための手段としても利用される。利用者とその家族は、治療と支援サービスの提供及び個別ケアプランにまとめられた目標の達成に責任を持つ機関やスタッフと、定期的に連絡を取り合うことができる。また利用者とその家族は、病気や効果的な治療法と地域社会におけるサービスに関する情報をいつでも利用することができる。

情報へのアクセスが可能になると、病歴を伝えたり、ケアの内容を自己管理したりできるようになり、また多数のサービスシステムにコンピューターを通じて結ばれるので、利用者と提供者の間に、継続的な介護関係が築かれる。サービス提供者は、最善のケアの選択を容易にするため、最新情報と最大限の成果をあげるための研究が集中する専門システムにアクセスする。このように、共通の健康通信システム基準、薬剤コード、画像基準、実験用テストネームの使用に合意が得られた結果、国の健康システムは共通の言語を使用し、患者に上質のケアを提供するシステムへと、いっそう近づいていく。利用者や提供者が情報を得ることによってより良い結果が得られ、また資源もより効率的に利用される。

コンピューターを利用した電子カルテは、医療上の記録や、医学的治療の指針、医学的な決断を支援する手段、コンピューターによる注文登録、患者の安全警報システムを取り入れて、実証に基づいた治療法の採用と支持を促進すれば、ヘルスケアサービスの質を向上させることができる。たとえば、薬の処方や、特別な薬に対するアレルギーがわかれば、薬の相互作用や過剰投与、或いはアレルギー反応による深刻な損害や死を防ぐことができる。

サービスを受けられない多くの地方及び都市部のコミュニティーにおいては、健康に関する技術、遠隔医療の利用により、ケアへのアクセスが改善される。健康に関する技術やテレヘルス(遠隔医療保健サービス)は、サービスを受けられない地方や遠隔地におけるメンタルヘルスケアへのアクセスの改善にとって強力な武器となる。特に精神病の場合、健康に関する個人情報のプライバシーは強力に保護され、利用者とその家族によって管理される。適切なプライバシー保護が伴えば、電子カルテの利用により、公共部門と民間部門の間で主要な医療情報やメンタルヘルスに関わる情報を共有することが可能となる。

実証に基づく治療を実施し、また従来の医療ケアと遠隔医療の両方を組み合わせた治療に十分対応できるように、払い戻し制度を柔軟にする。そして、公共・民間両部門において、これらの革新的なアプローチを支えるために、政策が変更される。

特に精神病の場合、健康に関する個人情報のプライバシーは強力に保護され、利用者とその家族によって管理される。

前述の5つの目標の達成と、アメリカにおけるメンタルヘルスケアシステムの変革には、情報技術と通信インフラストラクチャーの統合が不可欠である。このメンタルヘルスケアシステムにおける技術的なニーズに取り組むために、目標6に関連して、以下の2つの技術的要素が重要であると考えられる。

  • ケアへのアクセスを改善するための確固としたテレヘルス(遠隔医療保健サービス)システム
  • サービス提供者及び患者のための健康記録システムと個人健康情報システムの統合
6.1 特に遠隔地に住むアメリカ国民や、サービスをあまり受けられない国民に対して、メンタルヘルスケアへのアクセスの改善と調整をするため、健康に関する技術及びテレヘルス(遠隔医療保健サービス)を利用する。
6.2 電子カルテ及び個人健康情報システムの統合を開発、実施する。

精神病の予防については、依然として今後の進展が期待される。当然、どんな疾病でも、予防や発病を遅らせることが最善の選択といえるが、コミッションに対する大統領命令では、メンタルヘルスサービスの提供について総合的な調査を実施することが命ぜられた。コミッションは、治療よりも予防の方が良いということは認めてはいるが、現在精神病にかかっているにもかかわらず、助けを求められずにいる数百万人ものアメリカ国民に手を差し伸べるためには、未だに満たされていないニーズや、サービスに対する障壁がまず明らかにされなければならないと判断した。サービスに対する障壁が存在するのは、以下の理由によると考えられる。

  • スティグマ
  • 統一されていないサービス
  • 高い費用
  • スタッフの不足
  • 利用できないサービス
  • どこで、どのようにしたらケアを受けられるかについて、知識が無いこと

これらの問題点は、すべて本報告書内で検討されている。

コミッションは、資源に対する制限全てを認識し、厳しい自覚をもって連邦政府の資金を調整する方法を検討してきた。その結果、本最終報告書が勧告する政策及び改善策では、強力な責任措置を設けるとともに、最小限のコストで最大限の効果をあげるためコストパフォーマンスを高め、負担の大きい不必要な規制障壁を低くすることによって、既存の資金を最大限活用できるよう、政策とプログラムを変更することが提案されている。変革後のメンタルヘルスシステムでは、最適のケアを提供するために、限られた資源が最大限活用されると同時に、より賢明な投資が行われる。

アメリカにおけるメンタルヘルスケアシステムの変革が進むにつれて、ケアに関わる決定が下される際に、利用者により広い選択の自由が与えられるシステムへと移行していくようになる。この変換により、自分たちのニーズに敏感に対応できるケアが必要であること、そして最適の治療と支援が利用できるようにならなければならないこと、更に効果が実証できる技術が様々な状況の下で広く繰り返し適用されなければならないことを、サービスの利用者がこれまで以上に確信するようになる。そしてこのような確信が、回復という希望を利用者と共有するメンタルヘルスケアの専門家との協力関係を強化することにもつながっていく。

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