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30年のあゆみ

日本障害者リハビリテーション協会30年、戸山サンライズ10年

NO.13


1 全国身体障害者総合福祉センター
「戸山サンライズ」の概要

(1) 概要


目的
 身体障害者にかかる各種の相談に応じ、身体障害者福祉センターの職員、身体障害者スポーツ指導者等関係者の研修を行うとともに、情報の提供、スポーツ、レクリエーション等の実施、又は、これらに必要な便宜を提供し、もって身体障害者の自立更生と福祉の増進を図ることを目的とする。

設置運営主体
 国が設置し、運営については、財団法人日本障害者リハビリテーション協会に委託している。
設置場所等
 設置場所  東京都新宿区戸山1丁目22番地1号
 開設年月日 昭和59年10月1日
 施設の概要 (敷地)3,305m2 (建物)7,836m2


写真  戸山サンライズ全景
戸山サンライズ全景

事業内容

1 相談事業
  ア 身体障害者にかかる生活、就職、補装具等に関する相談
  イ 国立身体障害者リハビリテーションセンターの入所等の相談
  ウ 障害年金受給者等に関する年金相談
  エ 障害年金受給者等に関する法律相談
2 研修事業
  ア 身体障害者福祉センター職員等の研修
  イ 身体障害者スポーツ指導者の養成、研修
  ウ 身体障害者健康増進指導者の研修
3 情報啓発事業
  国内外の身体障害者に関する資料の収集、健康づくり情報誌の発行
4 スポーツ、レクリエーション等の指導
5 身体障害者福祉関係団体等に対する便宜の供与等
6 その他
  身体障害者及びその家族並びに研修受講者等のための宿泊提供事業を行う。
  (注)宿泊施設、食堂、会議室等の利用にかかる経費は、利用者の負担とする。
  (参考) 施設の概況

地階 トレーニングルーム(運動機器整備108m2)
駐車(15台)
特別会議室A 定員12名
1階 相談室、事務室、食堂、体育館(バレーボール、テニス、バスケットボール可520m2) 小会議室 定員20人
2階 大研修室   定員400人(机席の場含200人)
中研修室   定員60人
特別会議室  定員18人
大会議室   定員70人中会議室 定員50人
2F小会議室 定員10人
3・4階 教養研修室  2室
宿泊室
  和室        10室 38人
  洋室 シングル  8室 8人
      ツイン   17室 34人

沿革

 そもそも、このセンターが設置されることとなった経緯は、「国立身体障害者リハビリテーションセンター」が、埼玉県所沢市に新たに建設されるというプロジェクトができ、従前東京都下にあった3施設(肢体不自由者、ろうあ者、視力障害者の3施設)がすべて所沢に移転吸収されるという、きわめつきの大事業が打ち出されたことに端を発している。
 在京の3施設の修了生で構成されている団体からは、いろいろな意味合いから(卒後指導、各種のケアやその利便を考慮して)移転後の旧国立身体障害センター(戸山町)の跡地に所沢の新センターの分館を設置してほしいという強い要望が出された。度重なる交渉の結果、昭和48年6月、時の齋藤邦吉厚生大臣がこの要望を受け入れ、団体に対して正式に分館の設立を確約したのである。
 この約束を実現するため、昭和49年4月にはすでに財務当局に返上されていた旧戸山町センターの跡地12,360平方メートルのうち3,305平方メートルを分館建設用地に当てることが決定され、再び厚生省所管の土地となった。
 この分館設立にあたり各団体等の要望を集約するため、昭和54年7月(所沢の新センター設立発足の年)学識経験者、障害者代表を含めた跡地検討委員会を設け、いよいよ本格的な検討に入った。
 さらにこのセンターができるため、最も力強い援助をしたのが「国際障害者年推進本部(本部長内閣総理大臣)」である。同本部は昭和55年8月、国際障害者年推進事業に関する(政府の)推進方針の中で「身体障害者総合福祉センターの設立」を閣議決定し、このセンターが名実ともに国際障害者年の記念事業として公に認知されることとなったのである。
 かくして昭和56年度には「全国身体障害者総合福祉センター」の整備費(3か年計画の初年度分)が予算化され、センターの建設が緒につくこととなった。
 整備費予算の内訳(昭和56~58年度)は、一般会計が4.8億円(20%)、特別会計が19.2億円(80%)、合計24.0億円であった。
 しかしながら、センターの性格、使命、事業内容等をめぐる跡地検討委員会の慎重な審議、度重なる地元住民との折衡等に多大の日時を費やし、ようやく昭和59年10月1日に竣工、同年12月9日(障害者の日)オーブンする運びとなった。いずれにしても、全国的な身体障害者を対象とした、わが国唯一の総合福祉センターが長い年月と幾多の難関を乗り越えて、うぶ声をあげることができたのである。

(2) 事業の実施状況

ア 相談事業

 障害児・者の種々の問題を常駐相談員及び専門相談員が面接、電話、文書等で相談に応じ、適切な指導・助言を行い、障害者の自立を助長することを目的とした事業である。
 おもな内容として、(1)障害者の施設への入所相談、(2)生活全般に関する相談、(3)障害者自身の育児相談、障害児を持った時の相談、(4)健康増進、維持あるいは二次的障害の防止等に関する保健・医療相談、(5)職業、就職相談、(6)義肢装具士による補装具、補助具相談、(7)社会保険庁・中央年金相談室の相談員による障害年金・保障相談(月1回)、(8)障害者用の住宅改造、新築時の生活環境相談、(9)弁護士による法律相談(月1回)、(10)ボランティア志望の方と障害者の相互の悩み等に関する相談、(11)趣味・教養活動、スポーツ、旅行のプランニング等に関する相談等があげられる。


写真  日常相談風景
日常相談風景


相談事業 昭和59年度~平成5年度                             (単位:件)

  59年度 60年度 61年度 62年度 63年度 元年度 2年度 3年度 4年度 5年度 合計
入所相談 17 17 15 72
生活相談 187 203 56 170 156 123 167 181 111 155 1,509
教育・進路相談 13 45 10 58 30 54 18 31 259
保健・医療相談 129 64 56 92 67 79 53 99 49 688
職業・就職相談 72 79 37 27 49 51 40 41 45 450
補装具・補助具相談 171 75 118 113 101 156 133 89 117 1,073
障害年金・保障相談 278 66 47 87 91 72 47 35 37 760
住いの生活・環境相談 10 18 63 53 14 169
結婚相談 42 12 32 20 19 144
法律相談 61 31 54 110 91 115 53 82 59 661
福祉奉仕・ボランティア相談 23 20 20 24 24 83 201
レジャー・スポーツ相談 128 234 140 141 95 57 57 41 904
その他 193 312 316 360 213 219 216 217 258 354 2,668
合計 457 1,361 903 1,124 1,061 1,018 985 870 785 994 9,558

グラフ  上の表のグラフにしたもの

イ 養成・研修事業

 養成・研修事業は昭和59年度の開設以来、平成5年度までに通算169回実施し、延べ日数650日、延べ5,861人の参加者を得た。
 各養成・研修事業の概要は以下の通りである。
1 身体障害者相談員研修会
 身体障害者福祉行政の現状と課題、身体障害者と年金問題、身体障害者福祉機器等に関する身体障害者相談員としての必要な知識・技術を習得させることを目的としている。
 昭和59年度より平成2年度まで15回実施し、延べ日数39日、延べ789人の参加者を得た。
2 身体障害者福祉センター等職員研修会
 身体障害者福祉センターの管理者・職員及び機能訓練担当者について、施設管理、相談指導、身体障害者の機能回復訓練及びレクリエーション活動の実施等、その職務に必要な知識・技術等を習得させることにより、身体障害者福祉センターの活動の充実を図ることを目的としている。
 昭和59年度より平成5年度まで32回実施し、延べ日数86日、延べ1,014人の参加者を得た。


写真  研修・講義風景
研修・講義風景

写真  研修・実技風景
研修・実技風景

3 身体障害者スポーツ指導員養成研修会
 身体障害者の適性に応じた運動競技種目及び身体運動の実施方法並びにリハビリテーションとの関連性等について研修を行い、身体障害者スポーツの指導に習熟した指導者の育成を図ることにより、身体障害者スポーツの推進に寄与することを目的としている。
 昭和59年度より平成5年度まで73回実施し、延べ日数356日、延べ2,117人の参加者を得た。
4 公認身体障害者スポーツ指導者特別研修会
 公認身体障害者スポーツ指導員に特定の種目についてより高度な知識・技術を習得させ、また新しい技術の研究・開発を行うことを目的としている。
 昭和63年度より平成3年度まで8回実施し、延べ日数24日、延べ288人の参加者を得た。
5 身体障害者のためのレクリエーション指導者養成研修会
 身体障害者に適したレクリエーション種目及びレクリエーションワークの実施方法並びにリハビリテーションと余暇生活との関連性等について研修を行い、身体障害者レクリエーション活動・支援に習熟した指導者の育成を図ることにより、身体障害者レクリエーション事業の振興に寄与することを目的としている。
 昭和61年度より平成5年度まで22回実施し、延べ日数88日、延べ683人の参加者を得た。
6 福祉レクリエーション(ワークショップ)
 障害者の生活における多様な文化活動の活性化を支援する方法の研究や、そのための人材を養成することを目的としたワークショップである。
 平成5年度に初めて実施し、延べ日数3日、延べ42人の参加者を得た。
7 身体障害者健康増進指導者研修会
 身体障害者の健康管理・健康増進に関する知識・技術等を習得し、その具体的方法について指導できる者を育成することにより、身体障害者が健康で豊かな生活設計ができるよう援助することを目的としている。
 昭和60年度より平成5年度まで18回実施し、延べ日数54日、延べ928人の参加者を得た。

養成・研修事業 昭和59年度~平成5年度                      (単位:人)

  59年度 60年度 61年度 62年度 63年度 元年度 2年度 3年度 4年度 5年度 合計
身体障害者相談員研修会 49 62 128 139 94 128 189 789
身体障害者福祉センター等職員研修会 27 62 81 64 78 148 105 145 162 142 1,014
身体障害者スポーツ指導員養成研修会 64 197 210 152 204 182 199 304 315 290 2,117
公認身体障害者スポーツ指導者特別研修会 69 67 81 71 288
身体障害者のためのレクリエ一ション指導者養成研修会 47 70 75 58 112 104 97 120 683
福祉レクリエーション(ワークショップ) 42 42
身体障害者健康増進指導者研修会 93 106 131 111 101 113 91 96 86 928
合計 140 414 572 556 631 684 799 715 670 680 5,861

グラフ  上の表のグラフにしたもの

ウ スポーツ・レクリエーション事業

 身体障害者のスポーツ、レクリエーションの指導、援助等により身体障害者の健康づくりと、その社会活動参加への意欲の助長を図っている。

スポーツ施設利用〔会員〕昭和59年度~平成5年度                   (単位:人)

  59年度 60年度 61年度 62年度 63年度 元年度
障害者 健常者 障害者 健常者 障害者 健常者 障害者 健常者 障害者 健常者 障害者 健常者
フィットネス 168 451 432 216 12 414
シェイプアツプ 15 510 15 552 12 564 18 642 558
エアロトレーニング 17 130 482 117 547 156 636 186 552 114 384
登録障害者団体 205 455 823 1,320 1,308 1,620 132
合計 33 350 1,615 955 1,550 1,488 1,632 1,512 1,410 1,746 1,488
  2年度 3年度 4年度 5年度 合計
障害者 健常者 障害者 健常者 障害者 健常者 障害者 健常者 障害者 健常者 総数
フィットネス 48 1,528 962 1,066 1,060 60 6,304 6,364
シェイプアツプ 2,382 1,222 1,235 2,130 61 9,804 9,865
エアロトレーニング 528 1,278 42 1,066 104 845 280 1,480 1,665 7,287 8,952
登録障害者団体 1,860 408 2,688 360 2,814 425 3,686 507 16,324 2,287 18,611
合計 2,436 5,596 2,730 3,610 2,918 3,571 3,966 5,177 18,110 25,682 43,792

グラフ  上の表のグラフにしたもの

スポーツ施設利用〔一般〕 昭和59年度~平成5年度                   (単位:人)

  59年度 60年度 61年度 62年度 63年度 元年度
障害者 健常者 障害者 健常者 障害者 健常者 障害者 健常者 障害者 健常者 障害者 健常者
バドミントン 229 27 184 38 180 129 122
卓球 11 196 545 83 283 80 209 13 246 250
テニス 166 1,621 517 1,626 1,103 1,043 1,478 889 1,415 723
バレーボール 30 350 941 524 1,133 445 512 66 684 10 1,727
バスケットボール 85 30 108 370 206 456 330 466 280 442 290 1,012
その他 30 125 671 262 940 632 226 547 200 701 221
合計 126 206 823 4,377 1,618 4,621 2,628 2,636 2,393 2,589 2,410 4,055
  2年度 3年度 4年度 5年度 合計
障害者 健常者 障害者 健常者 障害者 健常者 障害者 健常者 障害者 健常者 総数
バドミントン 470 721 38 645 673 121 3,361 3,482
卓球 336 87 40 108 405 2,111 2,516
テニス 1,730 872 1,634 656 1,583 577 1,418 276 11,094 8,287 19,381
バレーボール 238 2,716 278 2,429 580 2,696 267 3,391 2,758 16,259 19,017
バスケットボール 365 920 544 1,693 478 2,529 525 3,423 3,200 11,341 14,541
その他 698 554 1,308 230 1,797 527 1,348 1,211 7,323 4,905 12,228
合計 3,033 5,868 3,823 5,816 4,483 7,014 3,564 9,082 24,901 46,264 71,165

グラフ  上の表のグラフにしたもの

エ 教養・文化事業

 身体障害者の教養・文化活動の助長を図るため、身体障害者福祉センター、身体障害者福祉施設、及び身体障害者福祉関係団体等の協力を得て、昭和61年度より「身体障害者による書道・写真全国コンテスト」及び作品展を行っている。


写真  入賞作品展示会 「書道部門」
身体障害者による書道・写真全国コンテスト
入賞作品展示会 「書道部門」

写真  入賞作品展示会 「写真部門」
身体障害者による書道・写真全国コンテスト
入賞作品展示会 「写真部門」

身体障害者による書道・写真全国コンテスト 昭和59年度~平成5年度応募作品数

59年度 60年度 61年度 62年度 63年度 元年度 2年度 3年度 4年度 5年度 合計
書道 117 149 171 151 145 180 195 186 1,294
写真 101 115 116 121 115 104 114 114 900
合計 218 264 287 272 260 284 309 300 2,194

グラフ  上の表のグラフにしたもの

オ 情報提供・啓発事業

「戸山サンライズ情報」(月刊)の発行
 身体障害者のリハビリテーション分野の中で、障害と健康をテーマに、その指導・啓蒙的役割を祖う情報誌「戸山サンライズ情報」(月刊誌)を発行している。


写真  情報誌 戸山サンライズ情報
「戸山サンライズ情報」

写真  情報誌 戸山サンライズ情報 創刊号
「戸山サンライズ情報」 創刊号

 本誌は五つの柱(リハビリテーション、障害と健康管理、食生活と栄養指導、スポーツ、レクリエーション)を中心に構成されている。その中で、障害者の健康を、医学的側面のみならず多角的にとらえ、栄養、スポーツ、レクリエーション、文化活動等、生活全般にわたるあらゆる活動を通して、より質の高い生活が営めるよう支援していくことを目的としている。
 昭和60年6月に創刊、平成6年の3月で104号をむかえている。全国の福祉施設、保健所等に配布され、障害者福祉に携わる方々に活用いただいている。

点字版情報誌の発行
 重度の視覚障害者は、情報化社会といわれる現代においても、新しい情報を吸収する機会が全般的に不足しており、あらゆる面で経験に基づく行動が基準となっている。このため、体力の維持向上、栄養管理、疾病の予防等の健康づくりに不可欠な知識・技術の習得についても不十分な場合が多く、障害の進行、他の疾病の併発等の危険に常に直面している。
 そこで、平成6年度より、年2回、点字版「戸山サンライズ情報」を作成し、身体障害者相談員等を通して視覚障害者に配布することになった。活字「戸山サンライズ情報」の中から、視覚障害に関する記事と福祉関係の諸情報を要約し、掲載している。

リハビリテーション情報の収集と研究資料の提供
 身体障害者のリハビリテーションに関する資料、図書等を調査、収集して閲覧に供するとともに、必要な情報を適宜関係機関等に提供している。
 なお、身体障害者福祉センター等におけるレクリエーション・マニュアルについて、関係者による研究、及び資料の整備を進めている。
 昭和63年度より刊行したものは以下の通りである。

●機能訓練と楽しいスポーツ ~障害者の自立を助けるために~
●脳血管障害者と自立訓練 「機能訓練と楽しいスポーツ」シリーズ2
●脳性まひと楽しいスポーツ 「機能訓練と楽しいスポーソ」シリーズ3
●障害者のための楽しいボール運動の展開 「機能訓練と楽しいスポーツ」シリーズ4
●車いすで行う楽しいスポーツ 「機能訓練と楽しいスポーツ」シリーズ5
●効果的なレクリエーション・プログラムの進め方 ~障害者の自立を支援するために~
●障害者とレクリエーション -「戸山サンライズ情報」総集編-
●障害者と楽しいスポーツ -「戸山サンライズ情報」総集編-
●障害者の食生活と栄養指導 -「戸山サンライズ情報」総集編-
●障害者の健康管理 -「戸山サンライズ情報」総集編-

主題・副題:
30年のあゆみ
日本障害者リハビリテーション協会30年 戸山サンライズ10年

発行者:
財団法人日本障害者リハビリテーション協会
〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1
TEL 03-5273-0601 FAX 03-5273-1523

頁数:162頁~171頁

発行年月:平成6年11月30日