トピックス-国際リハビリテーション協会(RI)の最近の動き

「新ノーマライゼーション」2019年12月号

公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会
副会長
松井亮輔(まついりょうすけ)

今年の国際リハビリテーション協会(以下、RI)総会等は、10月30日(水)から11月2日(土)にかけてモスクワ市内のホテル・イズマイロヴォ及び国家経済達成展示センターの会議室で開かれた。その総会(参加者は約50名)にあわせ、今年新設されたRI卓越賞の表彰式及び祝賀会(参加者は約300名)が行われた。ここでは、その賞及び総会で報告があった、RI世界障害開発基金とアフリカ基金による助成事業、2022年のRI創立100周年記念事業及び2020年のRI世界会議について紹介する。

1.RI卓越賞の新設と第1回受賞者の表彰

RI卓越賞は、今年マカオの財団からRIに寄付された100万ドルを基金にして新設。障害者の人権及びインクルージョンを推進する上で世界的に卓越した貢献をしてきた団体または個人を顕彰することを意図したもので、表彰対象は、1.人道分野、2.リハビリテーション分野、及び3.革新的取り組みである。

全体で64団体・個人の推薦があり、審査の結果、次の2団体と1個人が選ばれた。

1.人道分野の受賞団体:エチオピアのアルファろう学校。音のない世界の人びとのためシンフォニーを作曲してきたこと。

2.リハビリテーション分野の受賞団体:スリランカの眼提供協会(Sri Lanka Eye Donation Society)。50年以上にわたり40か国以上の人びとの視力回復に携わり、顕著な実績を上げてきたこと。

3.革新的取り組みの受賞者:エクアドルのマリア・フェルナンダ・エスピノサ前国連総会議長。国連を舞台に障害者の人権推進に革新的な取り組みをしてきたこと。

各受賞者には、メダルと20万ドルの賞金が贈られた。

2.RI世界障害開発基金等による助成

RI世界障害開発基金とアフリカ基金は、中国政府からの寄付金500万ドルを基金にして、障害関連プロジェクトを支援するため2016年に創設されたもの。助成対象分野は、リハビリテーション、権利擁護、教育、雇用、福祉機器、アクセシビリティ、データ収集及び研究など。

2016年から2018年までの3年間に全体で18のプロジェクトを支援。基金からの助成期間は原則として1年で、助成の限度額は20万ドルである。

2019年には第4回目の助成プロジェクトの公募(応募期間は、2019年9月1日~10月15日)があり、現在その審査が行われている。

3.RI創立100周年記念事業の実施

1922年に前身組織である国際肢体不自由児協会として設立されたRIが、2022年に創立100周年を迎えることから、記念誌の編纂と記念式典の実施が計画されている。記念式典は、ハイディ・ザン(Haidi Zhan)現会長(任期は2023年まで)の出身国である中国での開催がすでに決まっているが、具体的な場所及び日程は、今のところ未定。

4.第24回RI世界会議の開催

同会議の概要は、次のとおりである。

開催期間:2020年9月8日(火)~10日(木)

開催地:デンマーク・オーフス市

メインテーマ:社会を動かす

登録料:早期登録(2020年3月15日まで)740ユーロ、通常登録(2020年3月16日以降)880ユーロ

発表要旨提出期限:2020年1月15日

同会議ウェブサイト:www.riworldcongress2020.com

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