行政の動き-令和2年度障害保健福祉関係予算について

「新ノーマライゼーション」2020年4月号

厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課

令和2年度障害保健福祉関係予算については、対前年度7.5%増の2兆1,528億円を計上しています。主な内容は、次のとおりです。

1 障害福祉サービス等の確保、地域生活支援などの障害児・障害者支援の推進 2兆1,304億円

○障害児・障害者に対する良質な障害福祉サービス、障害児支援の確保 1兆5,842億円 うち障害児支援関係 3,420億円

障害児・障害者が地域や住み慣れた場所で暮らすために必要な障害福祉サービスや障害児支援を総合的に確保する。

○地域生活支援事業等の拡充【一部新規】 505億円

障害者の理解促進や意思疎通支援など障害児・障害者の地域生活を支援する事業について、地域の特性や利用者の状況に応じ、事業の拡充を図る。

○障害福祉サービス提供体制の基盤整備(社会福祉施設等施設整備費) 174億円

障害者等の社会参加支援や地域生活支援をさらに推進するため、就労移行支援事業等を行う日中活動系事業所やグループホーム、障害児支援の拠点となる児童発達支援センター等の整備を促進するとともに、耐震化整備を進めることにより防災・減災対策を推進する。

○障害福祉の仕事の魅力発信【新規】 15百万円及び地域生活支援事業の内数

障害福祉分野における多様な人材の参入を促進するため、障害福祉の仕事の魅力を伝えるためのパンフレット・動画等の作成や、地域の関係機関等と連携し、障害福祉の現場を知るための体験型イベント等の開催を行う。

○聴覚障害児支援のための中核機能の強化【新規】 地域生活支援促進事業のうち 1.7億円

保健・医療・福祉・教育の連携強化のための協議会の設置や保護者に対する相談支援、人工内耳・補聴器・手話の情報等の適切な情報提供、聴覚障害児の通う学校等への巡回支援などを行う聴覚障害児支援のための中核機能の整備を図る。

障害福祉サービス等予算の推移拡大図・テキスト

2 地域移行・地域定着支援などの精神障害者施策の推進 216億円

○精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築【一部新規】 6.4億円

精神障害者が地域の一員として安心して自分らしく暮らせるよう、住まいの確保支援を含めた精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築を目指す。このため、障害保健福祉圏域ごとの保健・医療・福祉関係者による協議の場を通じて、精神科病院、その他医療機関、地域援助事業者、市町村などとの重層的な連携による支援体制を構築し、地域の課題を共有した上で、地域包括ケアシステムの構築に資する取組を行う。

また、新たに、精神保健福祉士等を精神科病院等に配置し、精神障害者の一般住宅での継続的な地域生活を実現するためのモデル事業等を実施する。

3 発達障害児・発達障害者の支援施策の推進 4.2億円

○発達障害児・発達障害者とその家族に対する支援【一部新規】 地域生活支援促進事業のうち 1.6億円

都道府県及び市町村において、同じ悩みを持つ本人同士や発達障害児者の家族に対するピアサポートや発達障害児者の家族に対するペアレントトレーニング等のほか、新たに発達障害者の青年期の居場所作り等を実施することにより、発達障害児者及びその家族の支援を推進する。

4 障害者に対する就労支援の推進 14億円

○雇用施策と福祉施策の連携による重度障害者等の就労支援【新規】 地域生活支援事業の内数

重度障害者等に対する就労支援として、雇用施策と福祉施策が連携し、職場等における介助や通勤の支援を実施するため、意欲的な企業や自治体について、障害者雇用納付金制度に基づく助成金に加え、自治体が必要と認める場合には、地域生活支援事業の新事業により各自治体が支援を行う。

○林・水産業等向け障害者就労のモデル事業の実施【新規】 52百万円

農福連携をはじめとする産業・福祉連携を推進するため、農業以外にも林業や水産業等といった地域に根ざした第1次産業分野での地域課題解決型の障害者就労のモデル事業を実施し、ガイドブック(事例集・マニュアル)を作成するとともに関係者による農福連携等推進協議会を開催することにより、横展開を図る。

5 アルコール健康障害対策・薬物依存症対策・ギャンブル等依存症対策等の推進 9.5億円

○全国拠点機関における依存症治療・支援体制の整備 1.1億円

依存症者やその家族等が適切な治療や必要な支援を受けられるよう、アルコール・薬物・ギャンブル等の依存症対策の全国拠点機関において、都道府県等の指導者の養成研修を実施するとともに、ICD-11に新たな疾患として位置付けられたゲーム障害にも対応できる指導者の養成研修を実施することにより、依存症に係る治療・支援体制の整備を強化する。

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