快適生活・暮らしのヒント-重度身体障害者のパソコン操作と工夫

「新ノーマライゼーション」2020年4月号

兵庫頸髄損傷者連絡会
島本卓(しまもとたかし)

私は交通事故で、頸髄を損傷し完全四肢麻痺になりました。3年前から一人暮らしを始め、日常生活の大半を電動車いす上で過ごしていました。昨年の初め頃に、右座骨部分に発赤がみられ、危機感が薄いまま電動車いすに乗り続けたことで、10月に褥瘡(じょくそう)を悪化させてしまい、ベッドで療養をすることになりました。パソコン操作を電動車いす上でできるように調整していたので、ベッド上で操作ができるように考えなくてはなりませんでした。そこで「画面」「キーボード」「マウス」の3つを工夫したのでご紹介します。

画面

まず一番の問題になったのが、ベッドをギャッジアップせずに見やすい画面を考えることでした。ベッドをギャッジアップすると体が下方向に下がってしまい、皮膚の引っ張り、ズレが加わることで褥瘡を悪化させてしまうことになります。なるべく褥瘡に負担の少ない姿勢で、見やすい画面角度を考えました。オーバーテーブルにノートパソコンを置いて試してみましたが、顎を引いて画面を見るので、首への負担が大きくなります。そこでパソコンとプロジェクターをHDMIでつなぎ、天井に照射してみることにしました。その結果、首への負担も軽く、ベッド上で画面を見ることができました(写真1、2)。
※掲載者注:写真の著作権等の関係で写真1・2はウェブには掲載しておりません。

キーボード

私はスマートフォンを口に棒をくわえて操作しています。それと同じ操作の仕方で、キーボード入力もできます。しかし、顔の前に大きなキーボードがあると、天井に映し出されている画面が見えにくく、固定する方法に頭を悩ませました。そこで、1.ブルートゥース対応、2.小型(スマートフォンと同じサイズ)、3.押しやすい硬さのボタンの3つで探したところ、3つの条件をクリアするワイヤレスキーボードが見つかりました。キーボードを固定するためのフレキシブルアームもネット通販で見つけられ購入しました(写真3)。
※掲載者注:写真の著作権等の関係で写真3はウェブには掲載しておりません。

マウス

電動車いす上でパソコン操作をしていた時は、「トラックボール」を使い、それを顎で動かしてカーソル操作をしていました。しかし、この製品はボールを動かして操作するので逆さにすると、ボールが接触面から離れ操作ができなくなるという問題がでてきました。逆さにしても使えて、マウスに代わる機器を探した結果「テンキーパッド」を見つけました。テンキーを設定することで、ボールが落ちてくる心配もなく操作することができました(写真3)。

今回の工夫を取り入れたことで、ベッド上で以前と同じようにパソコンを使うことができます。私は機器操作の選択肢が広がることにより、日常生活が快適になると考えます。

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