[米国]連邦政府と契約している企業の最低賃金アップは障害者には適用されず

リハ協ブログ2014年2月1日より転載

オバマ大統領が2014年1月27日に行った一般教書演説において、連邦政府と契約している業者は、最低1時間10ドルの最低賃金を労働者に支払うよう大統領命令を出すことを発表しましたが、それには、最低賃金法の適用を除外されている障害者は該当しないということがわかりました。

disabilityscoop紙によれば、演説後に関係者が労働長官トム・ペレス労働長官とジョー・バイデン副大統領に呼び出され、最低賃金法の適用除外を認められた事業者に対して大統領命令は効果がないということを告げられたとのことです。

障害者に対する最低賃金法の適用除外は、1938年に成立した「公正労働基準法(Fair Labor Standards Act:FLSA)」に基づいて実施されており、事業主が障害者の生産性が低いことを証明して労働局長に申請して適用除外が認められているために、大統領命令ではこれに対抗できないとのことで、根本的には、議会がFLSAを改正する必要があるとのことです。

ちなみに、米国の保護工場はもともと、「ジャビッツ・ワグナー・オデイ法」に基づく事業として、「ジャビッツ・ワグナー・オデイプログラム(Javits-Wagner-O’Day Program)」と呼ばれていましたが、現在は、アビリティ・ワン・プログラム(AbilityOne Program)と呼ばれており、「全国盲人産業(NIB)」と、「ソース・アメリカ(SourceAmerica)」という重度障害者団体が委託を受けています。(ソース・アメリカについては以前のブログで紹介しています。)

連邦機関は年間計画に基づき、これら2つの障害者団体に製品を発注します。例えば、航空機や乗用車などの部品、電気製品、衣類、食品加工、包装、輸送などの材料、医療用品、事務用品などを発注します。障害者団体は傘下の保護工場などでこれらの製品を製作し納入するというシステムです。特に国防省の購入額が多くなっています。2012年の時点で、これらの保護工場で働く障害者のうち、5万人近い障害者が最低賃金以下で働いているとのことです。

オバマの一般教書は、

http://www.whitehouse.gov/the-press-office/2014/01/28/president-barack-obamas-state-union-address

disabilityscoopの記事は、

http://www.disabilityscoop.com/2014/01/31/workers-disabilities-left-out/19068/をご覧ください。(寺島)

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