[米国]障害者権利条約の批准が山場に

リハ協ブログ2014年3月6日より転載

以前のブログでも紹介していますように、米国は障害者権利条約を批准していませんが、条約の批准には、上院の承認が必要であることから、障害者団体などが上院議員にさまざまな働きかけをしてきました。しかし、上院(第113議会)での承認はなかなか難しそうです。しかも、事情がかなり込み入っています。

BloombergView紙によれば、上院で障害者権利条約に反対しているのは共和党議員の一部です。民主党議員55名は、全員賛成していますので、100人の議員定数の2/3の賛成を得るためには、あと12名必要ですが、共和党議員45名のうち6名は賛成していますが、まだ、6名足りません。つまり、共和党は、本件に関して分裂しており、賛成派が少数派ということになります。

障害者権利条約に賛成しているのは、 John Barrasso(ワイオミング出身:権利条約推進の中心人物、医師)、John McCain(アリゾナ出身:障害者、退役軍人), Kelly Ayotte(ニューハンプシャー出身), Lisa Murkowksi(アラスカ出身), Susan Collins(メイン州出身)、Mark Kirk(イリノイ州出身:脳卒中後遺症による障害者)です。4つの退役軍人の会や、米国商工会議所、コカ・コーラ社やナイキ社などの大企業によって支持されています。

反対しているのは、Bob Corker上院議員(テネシー州出身)、Rick Santorum元上院議員(ペンシルバニア出身)、ホームスクールの支持者、少数の右派カトリック組織たちですが、その主張は、権利条約を批准することで、国際機関が米国の障害者政策に口出しするようになりそれが国家主権を脅かしたり、権利条約が連邦法や州法にとってかわる危惧を主張します。例えば、安易に中絶がみとめられたり、ホームスクールの制度に異議が唱えられたりということを心配しているとのことです。これらの団体の数は多くありませんが、主張が強力で、共和党議員もなかなか賛成に回る人が増えないとのことです。

詳しいことは、下のサイトをご覧ください。(寺島)

http://www.bloombergview.com/articles/2014-02-22/a-republican-schism-engulfs-protections-for-the-disabled

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